2016年12月24日

無良崇人、ほぼ完璧の首位発進/宇野昌磨、不本意ながら僅差の2位 〜フィギュア全日本選手権・男子シングルSP〜

フィギュアスケート暮れの風物詩・全日本選手権が開幕した。しかし今年は、開幕前に激震が発生! GPファイナルで前人未到の4連覇を果たし、この全日本も4連覇中の大本命・羽生結弦が、インフルエンザを発症して欠場。男子シングルはにわかに混戦模様となった。優勝候補は、GPファイナル3位の宇野昌磨、歴戦の猛者・無良崇人、NHK杯でGPシリーズ初の表彰台に昇った田中刑事誰が勝っても初優勝である。


第4グループ第3滑走となった宇野昌磨。冒頭、コンビネーションを予定していた4フリップでステップアウト。代わりにコンビネーションにしようとした4トウループで転倒。GPファイナルに続いて、SP最大の得点源であるコンビネーションジャンプにミスが出てしまった。しかし後半の3アクセルはきれいに決め、スピンとステップも音楽とマッチした流れるような動きでプログラムを盛り上げる。得点は88.05、コンビネーションジャンプが抜けるという大きなミスがあったにしては高い得点である。これはつまり地力の向上、大きなミスがなければ世界のトップを争える基盤能力が身に着いたことを示している。「世界の地力」を身に着けた宇野昌磨、FSでその力を見せつけることができるか。


宇野の直後に滑った無良崇人。今季はGPシリーズでは今一つで、この全日本に世界選手権への切符がかかっている。冒頭の4トウループをこらえ、続く無良の代名詞・3アクセルを豪快に決める。後半の3ルッツ−3トウも流れよく決め(セカンドジャンプの3トウがすばらしい高さだった)、タンゴのタップ音だけをバックに滑るステップシークエンスもダイナミックにこなす。得点は90.34、シーズンベスト(SB)でトップに立った。GPシリーズの不振を振り払う、今季のベスト演技だった。


最終グループでは、先のNHK杯での経験を生かした2人が強く印象に残った。山本草太の欠場で急遽GPシリーズ(NHK杯)に初出場した日野龍樹。この大舞台での経験が大きな糧になったのか、全日本の最終グループでの第1滑走というプレッシャーがかかる場面で、実にのびのびした演技を見せてくれた。まず冒頭の3ルッツ−3トウを鮮やかに決め、続く3アクセルもきれいに降りる。後半の3ループも着実に決める。場内の手拍子に乗りながら流麗にステップを踏み、大きな盛り上がりの中でフィニッシュ。最後のポーズを決めると破顔一笑、渾身のガッツポーズを見せた。得点はSB更新の78.65、優勝候補3人に続く4位につけた。NHK杯の時は緊張感がありありだったが、この全日本ではしなやかで流麗な演技。これがこの人本来の演技なのだろう。

(振付師の名を見て驚いた。ナタリア・ベステミアノワ1988年カルガリー五輪アイスダンスの金メダリストである。彼女とアンドレイ・ブーキンの、大人の香り漂う妖艶な演技は絶品だった


NHK杯でGPシリーズ初メダルと、大きく飛躍した田中刑事。演技冒頭の4サルコウはステップアウトしたが、続く3アクセルはきれいに着氷。後半のコンビネーション・3フリップ−3トウも流れの中で決め、ステップシークエンスも体全体が実にダイナミックな動きで、観衆から自然に手拍子が沸く。盛り上がり最高潮の中フィニッシュ、得点は85.68のSB。トップ無良に5点差未満の射程圏内につけた。


羽生の欠場で盛り上がりに欠けるかと思われた男子シングルだったが、上位4選手がハイレベルな演技を見せてくれたおかげで予想以上にエキサイティングになってきた。世界選手権への出場権のかかる今夜のFSでも、SP同様のすばらしい演技の競演を観たいものだ。

posted by デュークNave at 10:22| Comment(0) | スポーツ-フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月18日

久方ぶりの映画館での鑑賞:最後にようやく「ホッ」

昨日、何年ぶりかで映画館で映画を観た。場所はシネマサンシャイン池袋、観た映画は「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」、主演は天下の名女優メリル・ストリープ。数か月前、彼女が主演したミュージカル「マンマ・ミーア!」を遅ればせながらDVDを購入して観て、あまりの楽しさに何度も繰り返して観てしまった。だから「マダム・フローレンス!」の紹介記事を新聞で読んだ時、これは観に行こうと思っていた。加えて私が購読している週刊英字新聞”Mainichi Weekly”のトップにこの映画に関するストリープのインタビュー記事が載り、おまけにこの時の号に「マンマ・ミーア!」でストリープの娘役を演じた女優の記事まで掲載され、ますます背中を押された。池袋だから早い時間に観ないと混むだろうと、一番早い9:05に合わせて部屋を出た。休日の朝早くに出かけることなどめったにない私だが、冬晴れの心地よい陽光の中、私は勇躍映画館に向かった。

ところが、館内はあきれるほどガラガラだった。地下2階の200席ほどのコンパクトなスペースなのだが、座っているのは10名足らず。「一番早い9:05」と書いたが、実はこの日はこの時間だけの上映で、22日には打ち切られるという。1週間前に調べた時は4回ほどあった上演回数が、もうここまで減っている。「あれ、あまり評判はよくないのかな」といぶかりながら、私は席に着いた。


あらすじはこうだ。時は1944年、音楽家たちのパトロンをしていた資産家のマダム・フローレンスが、趣味が高じて自ら歌を歌い始める。ところが、これがとんでもなくヘタ。ヒュー・グラント演じる夫が献身的に彼女を支援し、伴奏を務める若手ピアニストも懸命に彼女のド外れた歌に合わせるが、どんなにレッスンを重ねてもどうにもならない。しかし富豪という社会的地位と夫のフォローにより、彼女はコンサートで高い評価を受け続け、ついにはカーネギー・ホールでコンサートを開くことになる。軍人たちを大勢招いたコンサートは、初めはこの夫婦と何のつながりもない彼らの「素直な嘲笑」を浴びるが、心の中で酷評しながらも彼女の歌を聴き続けてきた女性が「こんなに懸命に歌っているのに、笑うなんて失礼よ!」と聴衆を一喝し、その後は拍手喝采の中でコンサートは終わる。だが彼女の歌を「素直に酷評」した新聞記事を目にした彼女はショックで倒れ、そのまま息を引き取る。しかし彼女の懸命な歌声は戦時中の人々の心に響き、レコードはベストセラーとなった。


・・・と、こう書くと最後はハッピーエンドの感動の物語のようだが、私にはどうにも解せなかった。とにかく、マダム・フローレンスの歌がヘタすぎるのだ。どんなに懸命に歌っていようと、あんな突拍子もなく外れたキンキン声を聞かされるのはたまらない。正直、観ていて不快になった。

それ以上に観ていて思ったのが、本当は歌がとても上手なメリル・ストリープが、ドへたくそに歌っているのが気の毒でしょうがなかった。そういう役だから仕方がないのだが、それを割り引いて見ても「お気の毒に」という思いを消せなかった。だから臨終の際に夢で歌っているシーンが現れ、持ち前の美声そのままに高らかに歌い上げる彼女を見て、ようやくホッとすることができた。ずっと味あわされていたフラストレーションを、最後の最後でやっと解消できた、そんな感じだった。この作品の評判があまりよくないらしいのは、私と同じようなフラストレーションを味わった人がたくさんいたからではないだろうか。これも日本人の生真面目さの表れなのかもしれない(本国のアメリカではけっこうヒットしたのかもしれないな)。


作品はイマイチだったが、久々の映画館での鑑賞そのものはよかった。やはりたまにはこういう臨場感を味わいながら映画を観るのもいい。次は「聖の青春」でも観に行こうかな。

posted by デュークNave at 05:52| Comment(0) | 映画・TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月17日

「言わせろ!ナンバー」に我がコメントがトップ掲載!(ただの自慢)

スポーツ専門誌・Numberの最新号(917・918合併号)の読者投稿コーナー「言わせろ!ナンバー」に、私のコメントがトップ掲載された。しかもこれまで掲載された我がコメントの中でも最大のスペースを取っている。あまりうれしかったので、ここに掲載させていただく。(ごめんね〜、例によってただの自慢です)


お題:ハリルジャパンの2016年を採点する。(選択肢:優・良・可・不可)

採点:可「ホームのUAE戦を落とした時はとんでもないことになったと思ったし、イラク戦を後半ロスタイムで辛うじて勝つのを見て「これではアカン」と思っていた。流れが変わったのはアウェーの豪州戦で引き分けたところからで、サウジアラビア戦で「今パフォーマンスがいい選手」に大きく舵を切り、勝ち切ったのは評価できる。」


ちなみにこの元原稿はこれだ。


《スポーツは結果がすべて。だから評価も結果を見て決める。ホームのUAE戦を落とした時はとんでもないことになったと思ったし、これもホームのイラク戦を後半ロスタイムで辛うじて勝つのを見て「これではアカン」と思っていた。

流れが変わったのはアウェーの豪州戦で引き分けたところからで、サウジ戦でハリル監督が「今パフォーマンスがいい選手」に大きく舵を切り、勝ち切ったのは評価できる。ただ得失点差がモノを言いそうな今後の熾烈な戦いを考えると、1点取られたのはかなり痛かった。後半戦はアウェーでの中東勢との戦いが続くことを考えると、高い評価はできない。

これらの結果を総合して考えると、まあぎりぎり及第点かな、と思う。》



長いのでかなりカットされているが、それでも今までと比べると掲載スペースは格段に大きい。我ながらこのコメントはよくポイントが突けているなと自賛していたんだが、「いいね!」がゼロだったので、まさか本誌に掲載されるとは思わなかった。


ただ実は、3か月ほど前にも同じことがあったのだ。9月9日号「特別増刊号・リオ五輪総力特集」に掲載された「言わせろ!ナンバー」での「名横綱・千代の富士、思い出に残るライバルは?」のお題に投稿した私のコメントが、ここでもトップに掲載されたのだが、この時も「いいね!」はゼロだった。どうやら本誌に掲載されるかどうかは、「いいね!」の数の多さよりもコメントそのものの内容によるようだ。

ちなみにこの時の掲載コメントはこれだ。


北の湖:速攻相撲を身につけた千代の富士が番付を駆け上がっていたころ、立ちはだかったのが大横綱・北の湖だった。初優勝時の優勝決定戦も、横綱昇進を決めた一番も、ともに相手は北の湖。ふたりの「パワー対スピードの勝負」は、見どころ満載だった。》


思い入れたっぷりに書いたので、掲載されたのはうれしかった。(ごめんね、またまたただの自慢です〜)


今回もまたNumber編集部の策略に乗って本誌を買ってしまった(コメントが本誌に掲載される旨のメールが編集部から届くのだ)。でも今回は「有馬記念特集」。目次を見ただけで読みたくなったので、必ずしも策略に引っかかったわけじゃない。さて、有馬記念名勝負ヒストリーを堪能致すとするか。

posted by デュークNave at 07:15| Comment(0) | スポーツ-全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月13日

羽生結弦、苦笑い?の4連覇/宇野昌磨、逆転の連続表彰台 〜フィギュアGPファイナル・男子シングルFS〜

男子シングル・FSの戦いを観終わっての率直な感想:「女子と比べるとちょっと低調だったな。結局ミスのより少なかった選手が表彰台を占めたということか」。百戦錬磨のベテランが思わぬミスを連発し、伸び盛りの若手が爆発力を見せて「下剋上」。その「戦国乱世」を、3連覇中の王者が踏みとどまって王座を死守した、という構図だ。


演技構成に4ジャンプを1本しか入れていないアダム・リッポン彼はジャンプ競争よりも表現力とエンターテインメント性でアピールすることを“My Way”と考えており、これも1つの道でありポリシーだ。その唯一の4ジャンプ、4トゥでは転倒&ダウングレードとなり、他のジャンプでも転倒などの失敗があった。しかし多彩で繊細な表現力で持ち味はしっかりと見せてくれた。これが彼が熱狂的なファンを持つゆえんであり(地元スケートアメリカでの歓声はすごかった)、この個性をこれからも磨いていってほしいものだ。


SPで思わぬジャンプのミスが出て4位にとどまった宇野昌磨巻き返しを誓ってのFSでは、すばらしい気迫の演技を見せた。冒頭の4フリップをしっかり決め、続く4トゥも着氷がやや乱れたがこらえる。すごかったのが後半のジャンプで、2つのコンビネーションでそれぞれ+2.00と+1.86の大きなGOE加点を得た。これが今季初めて海外でトレーニングを積み、筋力とスタミナを鍛えてきた成果か。コレオシークエンスとスピンでも大きなプラス評価を受け、大きな盛り上がりの中でフィニッシュ。得点は195.69のPB、あとわずかでチャン、羽生、フェルナンデスに続く「200点マーカー」の仲間入りだった。第1滑走の宇野のこの高得点は、後続の選手たちにプレッシャーをかけたに違いない。


しかし、それをものともせずに大爆発したのが17歳・初出場のネイサン・チェンだった。前半に組み入れた4本の4ジャンプをすべて決め(そのうち2本はコンビネーション!)、GOEと合わせて58.90点を荒稼ぎ。後半の4本の3ジャンプもミスなく決め、ステップやスピンでもすべてプラス評価を得る。見事なノーミス演技で、技術点は驚異の113.13。トータルで宇野をわずかに上回り、この時点でトップに立った。宇野はトップ3を残して2位、この時は連続表彰台はかなり厳しいと思われたのだが・・・。


ともに世界選手権を複数回制覇しているハビエル・フェルナンデスパトリック・チャンこの百戦錬磨の世界王者が、今は亡き忌野清志郎じゃないが「どうしたんだ、Hey Hey Baby !」と叫びたくなるようなミスを連発した。フェルナンデスはSPで苦しんだジャンプがここでも不調。冒頭の4トゥが3回転になり、後半の4サルコウが回転不足、そして3アクセルで転倒。流れがよければすばらしく盛り上がる「エルビス・プレスリーメドレー」だが、今一つノリが悪い。FSでは4位、表彰台を逃した。チャンはさらに低調だった。ジャンプでまさかの3度の転倒を犯し、これだけで4点の減点、当然GOEもマイナス。今季から取り組んだ4サルコウは+1.71のプラス評価を得たが、この転倒が響いて技術点が伸びず、総合5位に沈んだ。

「ジャンプの落とし穴」にはまった感がある2人の世界王者。しかしスコアをよく見ると、2人ともステップシークエンスやコレオシークエンスでは大きく加点されており、5コンポーネンツでも5項目のうち4項目が9点台。つまりスケート技術や表現力といった「水物ではない絶対能力」ではやはり高い評価を受けているのだ。ハイレベルな地力を持つ両者、来る世界選手権では、「落とし穴」から抜け出した本来の「王者の演技」を見たいものだ。


この乱戦模様の中で、若きティーネージャーたちの挑戦をはねのけ、羽生結弦が史上初のGPファイナル4連覇を達成した。羽生も他の世界王者2人と同様、ミスは出た。冒頭の4ループ、4サルコウはよかったが、後半、コンビネーションの予定の4サルコウで転倒し、GOEのマイナスに加え、同じ4ジャンプのリピートとなって基礎点が7割に。さらに3連続ジャンプがダウングレードと2回転に抜け、最後の3ルッツもシングルに。後半やや息切れした感があったが何とかまとめ、SPの大きな貯金を守って逃げ切った。

羽生の王座を守ったのは、彼が他の世界王者たちと同様に持つ、スケート技術と表現力だった。ステップとコレオでの大きな加点、演技構成点はすべて9点台。ジャンプでよほどメタメタにならない限り、この絶対能力の高さ、地力で勝つことができるのだ。これは一朝一夕で身につくものではなく、これを鑑みると、羽生と若手たちとの差はまだまだ簡単には埋まらないだろう。


「ティーネージャーたちのハイレベルかつ華麗な競演」の女子、「若き爆発力をはね返した絶対王者」の男子。今年のファイナルも見ごたえたっぷりだった。さて次は2週間後の全日本選手権。また「暮れの目移りキラキラ大会」が始まる。

posted by デュークNave at 06:06| Comment(0) | スポーツ-フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月12日

フリーも超ハイレベル! 宮原知子、キャリア最高傑作でガッツポーズ/メドベージェワ、逃げ切りの連覇 〜フィギュアGPファイナル・女子シングルFS〜

SPではわずかなミスが順位を変えるきわどい戦いだったが、このFSもまたハイレベルな戦いになった。表彰台に上がったのは、SP・FSを通して「世界トップ3」にふさわしい高いレベルでの安定感を示した3人だった。


ラジオノワは、SP同様ジャンプの不安定さを克服できなかった。冒頭の3ルッツで転倒&回転不足、後半のコンビネーションも回転不足やダウングレードになった。かつての抜群の安定感が、ここ2シーズンでは陰りが見えているのが残念だ。身長が伸び、雰囲気もぐっと大人びてきた。この体と心の変化をどう克服するか。今後の彼女の競技人生を左右する重要課題だ。

SPではジャンプにミスが出て最下位発進となってしまったソツコワ。しかしこのFSでは、後半の3連続ジャンプで回転不足になったものの、流れのある「魅せる」演技にまとめてきた。スピンとステップはすべてレベル4、GOEでも加点。FSではPBを更新した。淡いピンクのコスチュームと美しい旋律の音楽が彼女の雰囲気とマッチしており、優雅な作品に仕上がっている。この持ち味をさらに伸ばせば、ハイレベルなロシア勢のトップを脅かす存在にもなれるだろう。

SPで完璧な演技を見せて2位発進となったオズモンドこのFSでも、冒頭の3フリップ−3トゥを豪快に決めていいスタートを切った。しかし続く2アクセル−3トゥのセカンドジャンプが2回転に抜ける。さらに後半、3−1−3の3連続ジャンプがともに2回転になってしまった。このミスが響き、惜しくも表彰台を逃した。しかしこの人のスピード感あふれるダイナミックな演技はやはり魅力があるし、5コンポーネンツですべて8点台の後半をマークしているように、表現力にも磨きがかかってきている。来年の世界選手権では、課題のスタミナを克服して後半の演技を仕上げることができるかが、初の表彰台へのカギになりそうだ。


SPではジャンプにわずかなミスが出て4位にとどまったポゴリラヤ。しかしこのFSでは、3フリップがエラーエッジになっただけで、他はほぼ完璧。流れのいいジャンプ、ポジションの美しいスピン。特にステップシークエンスとコレオシークエンスでは、GOEでそれぞれ+1.80と+1.60という大きな加点を得ている。こういう要素で高い評価を受けられるのは、スケーティング技術もさることながら、演技の成熟度が非常に高く、観る者に訴えるプログラムになっているということだ。以前もコメントしたが、昨季の世界選手権3位が大きな自信になったのだろう、今季は安定感が格段に増し、「表現者」としての魅力がスパークしている感がある。「すばらしく魅力的なスケーターになってくれてるなあ」と、感嘆することしきりだ。アンナ、GPファイナル初メダル、本当におめでとう!


今季初めてSPをノーミスで演じ、PBを更新して3位につけた宮原知子迎えたFS、「絶対に完璧に決める!」という気迫が伝わってくる「魂の演技」だった。ジャンプは、前半の3フリップが回転不足になった以外は、すべて流れるようなスムーズなランディングですべてプラス評価。スピンはすべてレベル4、ステップとコレオシークエンスでも大きな加点を得る。時に流麗に、時に力強く。メリハリの利いた流れのいい演技で、圧巻の4分間だった。終了直後、珍しくガッツポーズ。得点は当然のようにPBを更新、ポゴリラヤをかわしてこの時点でトップに立った。シリーズ2戦で味わったフラストレーションを、この大舞台で見事に晴らして見せた。


この宮原の「最高傑作」を見て、メドベージェワにプレッシャーはかかったのか。SPに続いて最終滑走となったFS。冒頭の3フリップからのコンビネーションで、フリップの着氷が乱れて単独に。最初のジャンプでミスが出て、これは苦しい展開になるかと思ったが、ここから世界女王の底力を見せる。スピンとステップを流れよくこなし、後半に入れた5つのジャンプはすべてプラス評価。5コンポーネンツもすべて9点台の圧巻の高得点。この演技構成点の高さが、男女を問わず世界のトップスケーターが持つ強みだ。結局最初のジャンプのミスをものともせず、FSでもトップ。貫禄のファイナル連覇を果たした。


さすがトップ6が終結したファイナル、特に表彰台の3人はSP・FSを通して高いレベルでの安定した演技を披露した。彼女らの最高傑作の競演には、ただただ感嘆。「いいものを見せてもらった」これが率直な感想だ。

posted by デュークNave at 06:08| Comment(0) | スポーツ-フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする