91. きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりかも寝む
(後京極摂政前太政大臣)
こおろぎの鳴く、霜のおりる寒い夜、
むしろの上に衣の片方の袖を敷いて、
私はひとり寂しく寝るのであろうか。
92. わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の
人こそ知らね かわく間もなし
(二条院讃岐)
私の袖は、引き潮の時にも海中に隠れて見えない
沖の石のように、人は知らないだろうが、
涙に濡れて乾く間もない。
2026年02月21日
百人一首( 89 〜 90 )
89. 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
忍ぶることの よわりもぞする
(式子内親王)
わが命よ、絶えてしまうのならば絶えてしまえ。
このまま生きながらえているならば、
堪え忍んでいる気持ちが弱くなって、
外に表われ出てしまうといけないから。
90. 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
ぬれにぞぬれし 色はかはらず
(殷富門院大輔)
血の涙で変わってしまった私の袖を
お見せしたいものです。松島の雄島の
漁師の袖でさえ、波に洗われて濡れに濡れて
しまいました。色は変わりませんのに。
忍ぶることの よわりもぞする
(式子内親王)
わが命よ、絶えてしまうのならば絶えてしまえ。
このまま生きながらえているならば、
堪え忍んでいる気持ちが弱くなって、
外に表われ出てしまうといけないから。
90. 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
ぬれにぞぬれし 色はかはらず
(殷富門院大輔)
血の涙で変わってしまった私の袖を
お見せしたいものです。松島の雄島の
漁師の袖でさえ、波に洗われて濡れに濡れて
しまいました。色は変わりませんのに。
百人一首( 87 〜 88 )
87. 村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に
霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
(寂蓮法師)
降り過ぎていった村雨の露も
まだ乾いていない真木の葉のあたりに、
霧がほの白くわきあがってくる
秋の夕暮れであるよ。
88. 難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき
(皇嘉門院別当)
難波の入り江の芦の刈り根の一節ではないが、
ただ一夜の仮寝のために、あの澪標のように
身を尽くして恋い続けなければ
ならないのでしょうか。
霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
(寂蓮法師)
降り過ぎていった村雨の露も
まだ乾いていない真木の葉のあたりに、
霧がほの白くわきあがってくる
秋の夕暮れであるよ。
88. 難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき
(皇嘉門院別当)
難波の入り江の芦の刈り根の一節ではないが、
ただ一夜の仮寝のために、あの澪標のように
身を尽くして恋い続けなければ
ならないのでしょうか。
百人一首( 85 〜 86 )
85. 夜もすがら もの思ふころは 明けやらで
閨のひまさへ つれなかりけり
(俊恵法師)
一晩中もの思いに沈んでいるこのごろは、
夜がなかなか明けきれないで、
つれない人ばかりか、寝室のすき間までが
つれなく思われるのだった。
86. 嘆けとて 月やはものを 思はする
かこち顔なる わが涙かな
(西行法師)
嘆けといって月が私にもの思いをさせるのか、
いやそうではない。それなのに、
月のせいだとばかりに言いがかりをつけるように、
流れる私の涙であるよ。
閨のひまさへ つれなかりけり
(俊恵法師)
一晩中もの思いに沈んでいるこのごろは、
夜がなかなか明けきれないで、
つれない人ばかりか、寝室のすき間までが
つれなく思われるのだった。
86. 嘆けとて 月やはものを 思はする
かこち顔なる わが涙かな
(西行法師)
嘆けといって月が私にもの思いをさせるのか、
いやそうではない。それなのに、
月のせいだとばかりに言いがかりをつけるように、
流れる私の涙であるよ。
2026年02月20日
百人一首( 83 〜 84 )
83. 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
(皇太后宮大夫俊成)
この世の中には、逃れる道はないものだ。
いちずに思いつめて入った山の奥にも、
悲しげに鳴く鹿の声が聞こえる。
84. ながらへば またこのごろや しのばれむ
憂しとみし世ぞ 今は恋しき
(藤原清輔朝臣)
この先生き永らえるならば、
つらいと感じているこのごろもまた、
懐かしく思い出されることだろうか。
つらいと思って過ごした昔の日々も、
今では恋しく思われることだから。
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
(皇太后宮大夫俊成)
この世の中には、逃れる道はないものだ。
いちずに思いつめて入った山の奥にも、
悲しげに鳴く鹿の声が聞こえる。
84. ながらへば またこのごろや しのばれむ
憂しとみし世ぞ 今は恋しき
(藤原清輔朝臣)
この先生き永らえるならば、
つらいと感じているこのごろもまた、
懐かしく思い出されることだろうか。
つらいと思って過ごした昔の日々も、
今では恋しく思われることだから。

