2015年07月08日

なでしこ、連覇ならず:しかし「あきらめない心」がもたらした、得点差以上の熱戦/決勝戦・その2 〜 Women’s World Cup Canada 2015 Vol.6 〜

【 なでしこ、意気上がる追加点:しかしアメリカがまた突き放す 】

3点差で迎えた後半。まずは早い時間に追加点がほしい日本。一進一退が続いた7分、日本は敵陣浅い位置でFKを得る。宮間がゴール前にロングボールを放り込むと、澤と競ったCBジョンストンが頭で合わせたボールが、アメリカゴールの右隅へ。ソロが懸命にセーブしようとしたが、ボールはわずかにゴールラインを割った。オウンゴールという思わぬ形だったが、早い時間帯に得点できたのは大きかった。これで2点差。にわかに希望が見えてきた。

しかし、このまま流れを取り返されるほどアメリカはヤワなチームではない。このわずか2分後の左CK。ホリデーのクロスはファーに流れるが、これをブライアンが中央に折り返し、これにヒースがきれいに合わせて5点目。日本の追い上げムードが高まってきた時にすかさず突き放すアメリカ、さすがの二枚腰である。

【 最後まで「真摯に戦う姿勢」を貫いたなでしこたち 】

この1点で、事実上「勝負あった」だった。しかしなでしこたちは、意気消沈した様子は微塵も見せず、このあとも懸命にボールを追い続けた。後半15分には、最後の切り札・岩渕を投入。打つべき策はすべて打ち、なでしこたちは最後まで戦う姿勢を貫いた。

その姿は、観る者の胸を打った。彼女らが抱いていた思いは、「あきらめない」ということもあっただろうが、それよりも「とにかく最後まで懸命に、真摯にプレーする」ことだったのではないか。それは彼女らが常日頃から貫いてきた姿勢であり、だからこそ彼女らは今大会もこのステージまで昇ってくることができたのだ。

試合はこのまま2−5で終了。なでしこたちの念願だった、W杯連覇は成らなかった。立ち上がりに受けた、アメリカの強烈な連続パンチのダメージから回復することはついにできなかった。しかし一時は2点差まで追い上げ、突き放されたあとも真摯に戦い続けた。その姿は「大あっぱれ!」であり、彼女らのこの懸命な戦いぶりが最後まで試合に緊張感をもたらし、得点差を忘れさせるような熱戦になったのだ。

【 やはり強かったアメリカ、そのゴールは「芸術品」 】

しかしこの試合では、「やっぱりアメリカは強いな」と改めて思わされた。グラウンダーのCKからのロイドの先制ゴール、浮き球をダイレクトで叩きこんだホリデーの3点目、そしてロイドの超ロングループシュート。まさに目にも鮮やかなゴールの連発であり、観ていた側は悔しさと同時に、ほのかな感銘をも受けていた。

これは男子W杯ブラジル大会の日本戦で、コロンビアが後半に挙げた3得点を見た時に受けた感銘に似ていた。あまりの見事なゴールに、敵味方を忘れて素直に感動してしまったのだ。敵方をも感銘させてしまう、アメリカの芸術的なゴールラッシュだった。


【 「2大会連続の決勝進出」に胸を張れ、なでしこジャパン! 】

これほど強いアメリカに、一時は圧倒されながらも、屈せずに押し返したなでしこたち。その戦いぶりもまた「あっぱれ!」だった。前哨戦であるアルガルベ杯でまさかの9位に失速し、大会前は「連覇なんてとても無理じゃないか」というムードさえ漂っていた。

その中でグループリーグを苦戦しながらも3戦全勝で勝ち上がり、決勝トーナメントでも接戦をものにして決勝まで駆け上がった。6試合すべてが1点差での勝利。この勝負強さがなでしこジャパンの真骨頂であり、特にサドンデスの決勝Tに入ってから、試合ごとに「らしさ」が高まっていった。決して高くはなかった前評判を思うと、2大会連続の決勝進出は、それだけで十分胸を張っていい結果だ。

このすばらしい戦いぶりは日本女子サッカーにとってかけがえのない「財産」であり、間違いなく今後につながる、またつながってほしい貴重な経験だ。前回のドラマチックな優勝でなでしこフィーバーが巻き起こったが、その後やや陰りが見えていた。今回の大活躍は、再びなでしこのサッカーが脚光を浴び、日本女子サッカーが活力を取り戻すための大きなインパクトになるだろう。私も、これからはもっとなでしこリーグの試合を見に行き、彼女らの熱き戦いをじかに味わおう、と改めて思った。


なでしこジャパン、すばらしき戦いの数々をありがとう!


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2015年07月07日

アメリカ、立ち上がりから怒涛の猛攻:しかしなでしこも盛り返す/決勝戦・その1 〜 Women’s World Cup Canada 2015 Vol.5 〜

2011ドイツW杯、2012ロンドン五輪に続き、世界大会で3連続で相まみえることになった日本とアメリカ。対戦成績では圧倒されているが、ここ数年の戦績やスコアは拮抗している。前評判はパワーとスピードで上回るアメリカがやはり上だったが、日本の持ち味である粘り腰、しぶとさでいかに対抗できるかが焦点だった。日本はグループリーグ初戦で負傷して戦線離脱していた安藤梢がチームに合流し、「23人で戦う」態勢が整った。

【 アメリカ、いきなりの「先制連打」 】

・・・しかしそのしぶとさを、開始早々から粉砕された。前半3分、この試合初めてのセットプレー(コーナーキック)。日本はアメリカの高さを警戒したが、ラピノーは意表をついてグラウンダーのクロスを中央に送る。これに後ろから走り込んだロイドが左足で合わせ、ゴールに突き刺した。立ち上がりでのいきなりの失点。これは日本が今大会初めて喫した先制点だった。

さらに5分、ヒースが右サイドをドリブルで突進し、これを倒して深い位置でのフリーキック。ホリデーが低いアーリークロスをニアに送ると、ゴール前の混戦からのこぼれ球をまたもロイドが押し込む。日本は立ち上がり、ともにセットプレーから立て続けの失点を喫した。

【 悔しいほど鮮やかなアメリカのゴールラッシュ 】

これで攻めるしかなくなった日本だが、アメリカは高い位置から厳しいプレスを掛け、日本にいい攻めの形を作らせない。そしてボールを奪うと、左右から速い展開で日本ゴールに迫る。迎えた14分、右サイドからのクロスを岩清水が頭でクリアに行くが、中途半端な浮き球になる。これに詰めたホリデーがダイレクトで蹴り込んで3点目。さらに16分、敵陣でのバックパスをロイドにカットされ、前を向いたロイドはGK海堀が前に出ているのを見て、ハーフライン付近から超ロングループシュート。海堀は懸命に戻るが、ボールは右手を弾いてゴールに吸い込まれた。この2点は、悔しいが「敵ながらあっぱれ」の鮮やかなシュートの連発だった。

前半16分でまさかの4失点。まるで男子W杯ブラジル大会準決勝、ブラジル・ドイツ戦での、前半の6分間でのブラジルの4失点を思い起こすようだ。日本はリズムを取り戻せないまま、大量失点を喫してしまった。

破壊力のある攻撃と、GKソロを中心とする堅固な守備を誇るアメリカ相手に4点差。この時点で、勝敗の行方は事実上決した。観る側は、「これ以上の失点は勘弁してくれ、W杯の決勝という最高の舞台がこれ以上壊れないでくれ」という痛切な思いに変わっていた。

【 粘りが身上のなでしこ、しぶとく反撃 】

・・・しかしここからなでしこたちは、それまでの展開からすれば考えられないような反発力を見せる。ようやく持ち前のパスワークが機能し始めた27分、宮間が右サイドの川澄に長いパスを通す。川澄はドリブルで中に切れ込み、PA中央の大儀見に正確なラストパス。大儀見は巧みなトラップでDFをかわし、反転して左足でシュート。ボールはGKソロのセーブ及ばず、ネットの左隅を揺らした。GKソロの位置を見て、届かない左隅を狙って放ったループシュート。なでしこのエースストライカー・大儀見の冷静さが光った、技ありのゴールだった。

このゴールは、圧倒的に押されていたなでしこたちの息を吹き返させた、貴重な1点だった。ここから日本は攻撃のリズムとコンビネーションがよくなり、敵陣でのプレー時間が増えてくる。さらに佐々木監督は流れを変えるべく、前半から交代カードを切る。33分に澤、39分に菅澤を投入。DFラインを3バックに変え、より攻撃的な布陣に変更した。前半はこのまま1−4で終了。少し押し返してきたなでしこジャパン、後半でのさらなる反撃はなるか?

( to be continued... )

posted by デュークNave at 07:21| Comment(0) | スポーツ-サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月03日

なでしこジャパン、2大会連続でアメリカと頂上決戦:優勝のカギは「しぶとさ・粘り強さ」 〜 Women’s World Cup Canada 2015 Vol.4 〜

迎えた準決勝。相手のイングランドは初のベスト4進出だが、前回ドイツ大会ではグループリーグで0−2と大会で唯一の敗北を喫しており、過去の対戦成績も2引分2敗と、これまで勝ったことがない。いわゆる「相性が悪い」相手だが、前回大会でも勝ったことがなかったドイツやアメリカを破って優勝している。決勝トーナメントに入ってから試合ごとに本領を発揮し始めている今のなでしこジャパンは、このイヤなジンクスを破るに十分な力を備えている。

しかし、試合は苦しい展開になった。開始早々からイングランドは日本のDFラインの裏を狙った速い縦パスを送り、積極的にシュートを打ってきた。ロングボールを多用し、高さとフィジカルの強さで勝負してくる。このシンプルだが圧迫感のある攻撃に日本は苦しめられた。セカンドボールもなかなか拾えず、相手ペースの苦しい時間帯が続いた。

また攻撃でも、中盤でパスミスが出てなかなか攻めの形が作れず、敵陣に入ってもパスワークを意識するあまりシュートにつながらない。「そこまで持って行ってるのにどうしてシュートを打たないんだ!」と心の中で叫んでしまったシーンが何度もあった。4年前になでしこのサッカーを見て感銘した、「積極的な仕掛け」「貪欲にゴールを狙うアグレッシブなプレー」が、この試合では影を潜めていた。

だがそんな中で前半31分、自陣で阪口がボールを持つと、SB有吉が右手を挙げながら前線へ走り出す。阪口がそこに長いスルーパスを送り、有吉がワントラップでペナルティエリアに入ろうとしたところを相手DFに倒され、PKに。これをキャプテン宮間が確実に決め、押され気味だった日本に貴重な先制点がもたらされた。試合後有吉が「(日テレ)ベレーザの阿吽の呼吸」と自画自賛した、阪口−有吉の見事なコンビネーションだった。


しかしこの試合は、簡単に日本ペースにはならなかった。前半40分、右コーナーキックからのゴール前での混戦で、大儀見がホートンを倒したとしてPKの判定。これはスローVTRで見てもはっきりとファウルには見えず、厳しい判定だった。ウイリアムズがこれを決めて同点。日本は今大会初めて同点に追いつかれた。

このあと後半に入っても、前半同様イングランドのパワープレーに押し込まれるシーンが続く。しかし日本の守備陣は連携を保ってしぶとく守り抜き、GK海堀もファインセーブでゴールを割らせなかった。

やや膠着状態が続いた後半25分、大野に代えて岩渕を投入。岩渕はファーストタッチからドリブルでPA内に攻め込み、ラストパスを送る。再度PA内にドリブルで切れ込むと、今度は鋭いシュートを放つ。押され気味だった日本に、岩渕が期待通りのインパクトをもたらした。

(パスワークだけでなく、こういう個人技を生かした「仕掛ける」プレーを混ぜると、相手守備陣は対応に苦慮する。事実、この岩渕の果敢なドリブルに相手は対応できていなかった)

しかしなかなか得点できずに迎えた、後半アディショナルタイム。延長戦突入が濃厚かと思われたその時、思わぬ幕切れが待っていた。CB熊谷からのロングパスを中盤右サイドで受けたMF川澄が、ゴール前に走り込んだ大儀見と岩渕に向かってアーリークロスを送る。これをカットしようとしたCBバセットのクリアがクロスバーの下に当たり、ゴールラインを割った。双方が死力を尽くした熱戦の雌雄を分けたのは、まさかのオウンゴール。これはイングランドにとってはあまりに残酷な形での決着だった。


劇的な決着で決勝進出を決めたなでしこジャパン。しかしこの試合は、過去2試合と比べるとなでしこらしさが出せなかった。守備ではイングランドのパワープレーに押し込まれ、攻撃でもパスワークにいつもの精度を欠いた。

佐々木監督は試合後のインタビューで「前回の試合(オーストラリア戦)の疲労がたまっていて、選手たちの動きの質が今一つだった」と語った。このコメントを聞いて思い出したのが、ロンドン五輪のサッカー男子準決勝。それまでスピードを生かした攻めで勝ち上がってきたサムライジャパンが、疲労の蓄積でいつものスピードが出ず、メキシコに逆転負けを喫したあの試合だ。

しかしそれでも勝ち切るのが、なでしこジャパンの勝負強さ、しぶとさだ。このしぶとさ、粘り強さで、宿命のライバル・アメリカに挑んでほしい。前回大会の決勝でも日本のゴールをこじ開けたワンバック、モーガンの「メガトン級2トップ」は今回も健在。ラピノー、ロイドの「2列目の曲者」も相変わらずの存在感を見せている。GKソロは5試合連続無失点で抑えており、ディフェンスも盤石だ。

このアメリカの牙城を崩すのは、前回同様容易なことではない。しかしなでしこジャパンが前回と違うのは、前回の優勝とロンドン五輪での準優勝という、大舞台でのクライマックスの経験を積んでいることだ。この経験に裏打ちされた自信を胸に、持ち前の粘り強さを出せれば、連覇という結果は自ずからついてくる。

試合後のインタビューでの宮間キャプテンのこの言葉を信じ、祈ろう。

「(ロンドン)オリンピックでは金メダルを持って行かれてるので、ワールドカップは渡さない」



(私は個人的には、こんなシーンを思い描いている。男子のブラジルW杯でドイツの新鋭・ゲッツェが延長後半に優勝ゴールを決めたように、なでしこの若き切り札・岩渕真奈が、後半の最後の最後で劇的優勝ゴールを決める・・・!

posted by デュークNave at 09:42| Comment(0) | スポーツ-サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月28日

岩渕、値千金のW杯初ゴール:なでしこ、2大会連続のベスト4 〜 Women’s World Cup Canada 2015 Vol.3 〜

準々決勝の相手は、同じアジアのオーストラリア。お互いに手の内を知り尽くした相手であり、高さとパワーのある攻撃は脅威だ。決勝トーナメント1回戦で優勝候補の一角であるブラジルを破っており、勢いにも乗っている。スピードのあるトップをいかに前を向かせずに止められるかがカギだった。


試合を通してみると、オランダ戦同様、かなり日本ペースで試合ができていた。相手が思ったほどきついプレスを掛けてこなかったので、最終ラインから中盤もけっこう前にスペースがあり、なでしこ得意のパスワークが機能していた。時に中盤で前を向かれることもあったが、早めのプレスで決定機を与えることはほとんどなかった。

攻撃でも、DFラインの裏を狙った早い縦パスと、サイドバックのオーバーラップによるサイドからの崩しを併用して、縦横にバリュエーションのある攻撃ができていた。試合前から選手たちが意識していたという「距離感」がよく、選手間の連動性が機能していた。ただ最後のクロスの精度が今一つで、決定的なチャンスにはつながらないまま、前半を終了した。


後半に入ると、暑さがこたえてきたかオーストラリアの選手たちの動きが鈍くなり、スタミナで勝る日本の攻勢がさらに強まった。コーナーキックのチャンスも増え、相手ゴール前でのプレー時間が長くなってきた。しかし最後のフィニッシュがなかなか決まらず、ジリジリした時間帯が続いた。

後半27分、佐々木監督が最初の交代カードを切る。FW大野に代わって岩渕を投入。彼女の果敢なドリブルで膠着状態を破ろうという狙いだっただろうが、これが最終盤で見事に的中する。

後半41分、敵陣深い位置で阪口が相手のパスをカット。PA正面の岩渕にラストパスを送ったが、シュートは相手DFに阻まれ、左CKに。宮間の中央へのCKは相手DFに弾かれたが、こぼれ球に宇津木が鋭く飛び込んでゴール前にけり込む。岩清水が相手GK・DFと混戦になりながら粘り、しぶとく右足でラストパス。これを詰めていた岩渕が右足で押し込み、ゴールネットを揺らした。岩渕のW杯初ゴールは、膠着状態を破る値千金の先制ゴールとなった。

(この得点シーンは、こぼれ球に思いきり飛び込んだ宇津木も見事、その宇津木が蹴りこんだボールをしぶとくつないだ岩清水も見事、そして岩渕のポジショニングも見事。なでしこらしい粘りが生んだ執念のゴールだった)

この岩渕の初ゴールは、個人的にもメチャクチャうれしい。前回ドイツ大会・グループリーグ初戦のニュージーランド戦での彼女の果敢なドリブルに「一目惚れ」してしまった私は、以来ずっと応援していた。今大会はケガのため大会当初は練習でも調整メニューだったようだが、ようやくコンディションを取り戻し、後半途中出場したオランダ戦では、得意のドリブルとステップで敵陣をかき回した。そしてついにこの試合で、最高の結果に結実したのだ。


試合後のインタビューで「素直にうれしいです」と答えた岩渕。才能あふれる若手選手に待望のゴールが生まれ、チームはますます乗っていけるだろう。試合内容的にも、グループリーグでは不完全燃焼だったのが、決勝トーナメントに入ってからは、試合を重ねるごとに「なでしこらしさ」が出てきている。

この上昇気流に乗って、次の準決勝に臨んでほしい。相手はイングランド、前回大会ではグループリーグで0−2と苦杯を喫した強敵だが、絶好のリベンジのチャンスがやって来たとも言える。今の流れなら、なでしこジャパンはどんな強豪相手でも負けることはない。絶対に勝てる!



posted by デュークNave at 10:57| Comment(0) | スポーツ-サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月25日

相変わらずの「終盤でのハラハラ」だったが・・・なでしこ、ファインゴールで8強 〜 Women’s World Cup Canada 2015 Vol.2 〜

決勝トーナメント1回戦の相手は、世界ランク12位でW杯初出場のオランダ。グループA3位でしぶとく決勝Tに進出してきたが、3トップのスピードと破壊力はあなどれない。一方の日本は、グループCを3連勝で順当に1位通過したものの、最終戦のエクアドル戦でわずか1点しか取れず(カメルーンが6点、スイスは10点奪った相手だっただけに、なでしこも華麗なるゴールラッシュを見せてくれると期待したファンも多かっただろう)、「決定力不足」という懸念が湧き上がっていた。


結果的に言えば、このオランダ戦はグループリーグの3試合と比べるといい試合ができていたと思う。グループリーグでは人工芝に慣れていなかったせいか、中盤でのイージーなパスミスが目立ち、なでしこの生命線であるパスワークがうまく機能していなかった。しかしこの試合ではそういうミスが少なかったし、大儀見・大野の2トップをはじめとして高い位置からのプレスを積極的に掛けていたので、守備面でも危ない場面はほとんどなかった。

先制点は前半10分、宮間が大野とのワンツーで左サイドを攻め上がり、アーリークロス。大儀見のヘッドはクロスバーを叩いたが、こぼれ球を右SB・有吉がグラウンダーのシュート。ボールはGKの右手をかすめてネットの左隅を揺らした。待望の先取点が、いい時間帯に、いい形で生まれた。

この後も日本はリズムのいいパス回しと高い位置でのディフェンスが機能し、いい流れを保ったまま前半を終了。オランダは攻撃でのいい形がほとんど作れなかった。


この流れは後半も続いたが、やや「攻めあぐね感」が見えてきた後半21分、大野に代えて岩渕を投入。前回ドイツ大会でも果敢なドリブルで試合の流れを変えたが、この試合でも細かいステップとドリブルで前線をかき回し、新しい攻撃のリズムを作った。

そして迎えた後半33分、敵陣の深い位置で阪口が相手パスをカット、川澄から岩渕、大儀見とつないでペナルティエリア内に侵入。大儀見はキープしたボールを宮間にヒールで流す。宮間が中央にグラウンダーのクロスを送ると、岩渕がシュートフェイクでスルーし、フリーで受けた阪口が左足で鮮やかにゴール左隅に叩き込んだ。まるでバルサを見ているような、PA内での華麗なパス回し、そして目にも美しいフィニッシュだった。

(それにしてもこのシーン、大儀見へのパスといい最後のスルーといい、岩渕という選手はサッカーセンスの塊だなと思う。故障上がりなのでフルには使えないのかもしれないが、スーパーサブとしてこれからもどんどん使ってほしい。彼女の果敢でセンスを感じさせるプレーは、なでしこにすばらしいインパクトを与えている!)

これで2点リード。精神的にゆとりが出た上、35分には攻守の支柱・澤を投入。これでさらにプレーのテンポが良くなり、ピッチ全体に躍動感が出てきた。正直、「これでどうして1点取られたんだ?」と思ったが(この試合は録画で見たが、新聞の夕刊で結果は先に知っていたのだ)、アディショナルタイムでGK海堀がまさかのイージーミス。キャッチすべきところを、時間を稼ごうとしたのか胸トラップで落とそうとして、後ろにそらしてしまった。まあこれは1点差だったら絶対にやらないプレーなので、次戦への教訓とすればいいだろう。

ここにきていい感じになってきたなでしこジャパン。次戦(準々決勝)は、同じアジアで互いに手の内が知れているオーストラリア。サドンデスの厳しい戦いが続くが、この試合のような流れでプレーできれば、どんな相手にも負けることはないと思う。次の日曜は早朝からテレビにかぶりついて、遠くカナダに「勝利の念力」を送ろう!

posted by デュークNave at 06:39| Comment(0) | スポーツ-サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする