2016年04月17日

「羽生結弦 王者のメソッド」 (野口美惠・著) 

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今や押しも押されもしないフィギュアスケート・男子シングルの第一人者、羽生結弦のジュニア時代から現在に至るまでの歩みを、彼の「メソッド」を中心に克明に綴った秀作である。

この作品の読みどころを書き出そうとすると膨大な量になるので、「あとがき」に著者がまとめた彼の「メソッド」をここに引用する。


@ 「言葉にして宣言する」

⇒ 「考えただけじゃ人間の脳は忘れる。口にすることで心に残る」


A 「ちゃんと考えて、課題を見つけて取り組めば、壁を越えられる」

⇒ 敗因・勝因を追求し、課題を見つける。この「振り返り」と「分析」がすべてのメソッドを生み出す原動力


B 「成功したら、いったん喜んでから、次に向かう」

⇒ 成功を連続させる(SPとFSともにいい演技をする)ために、「慢心」や「重圧」を排除する


C 「弱さが見つかって嬉しい」

⇒ 自分の弱さと向き合う勇気があれば、「失敗」だって「伸びしろ」になる


D 「試合のために練習する」

⇒ 何事も、目的意識がない準備は結果に繋がらない


E 「冷静と闘志のバランス」

⇒ 自分の心と対話して、バランスを問う。「闘志は大事だけど、自分に集中することも必要」


F 「ノーミスや順位ではなく、演技中は一つひとつに集中」

⇒ 無意識の欲を捨てるための思考法


G 「応援を味方にすること、感謝すること、信じること」

⇒ 最後の最後には、自分のまわりにあるもの全てを味方につけ、信じる


これらのメソッドは、彼の数々の試合での成功と失敗の中から生まれ、次へのステップにつながっていったものである。

読み終わってつくづく思ったこと:それは、

「スポーツって心の持ちよう、精神状態がこんなに大きく結果に影響するんだな」

という深い感慨だった。そしてその精神を数々のメソッドでコントロールしてきたからこそ、羽生結弦の今があるのだ。


トップアスリートの精神、魂のすごさがズンズン迫ってくる。これはフィギュアスケートファンならず、全てのスポーツファンの必読書だろう。

そしてこの数々のメソッドは、彼のみならず、またスポーツのみならず、全ての人にとって仕事や人生そのものの教訓、道しるべになるのではないだろうか。私も彼のメソッドを心に刻み、我が人生に取り入れていきたいと強く思った。


posted by デュークNave at 07:18| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月14日

「ハーバードでいちばん人気の国・日本」 (佐藤智恵・著)

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駅前の書店の店頭でふと目に入ったが、2016年の我が最大目標を達成するための一環として「本は持っているものを繰り返し読み、新たには極力買わない」と決めたため、一度は思いとどまった。しかしどうにも気になって、翌日その書店で購入し、すぐ読み始めた(手持ちの未読の本を消化している最中だったので、本来なら後回しにするところだが、このタイトルとチラと読んだ内容に魅かれたのだ)。読み始めるや、読書スピードが決して速いとは言えない私が、仕事を挟んで3時間ほどで読み切ってしまった。硬い内容のビジネス書なのに、その面白さにグイグイ読み進んでしまったのだ。

タイトルにある「ハーバード」とは、ハーバード大学経営大学院のこと(以下ハーバード)。これまで政界や実業界に数多のリーダーを輩出してきた、世界最高峰の教育機関である。このいわば「世界最高の知性」が集結したハーバードで、今日本が「一番人気」を誇っているという。その理由を解き明かしたのが本書である。

250ページ余りと長くはないのに読みどころ満載の本書は、それをすべて書いたら膨大な量になってしまうので、私が感銘を受けた箇所を抜粋して以下に記す。


【 序章:なぜハーバードはいま日本に学ぶのか 】

日本はとてつもない力を秘めた国です。政治システムも安定しています。経済状態が悪くなっても、暴力的な事件や、暴動が起きるわけでもありません。日本がいかに平和で安定しているかというのは、経済問題を抱える他国と比較してみればよくわかります。日本は『平和で安定した国家をつくる』という偉業に成功した国なのです
(金融史を教えるデビッド・モス教授)


ハーバードで学んでいると、日本で働いていたときよりも、『日本はすごい国なんだ』と感じます。日本の価値を再発見する毎日です」「お金で人を動かすには限界がある、というのをハーバードでは大真面目に学ぶのです。しかし、社員の自主性や責任感を育てる日本企業では、それは当たり前のこと。日本の企業文化は、じつは欧米の先を行っているのではないかと感じることもあります」(日本人留学生・杉本洋平さん)

「日本にいると欧米がすべて先進的なことをやっているかのように思いますが、じつは伝統的な日本の企業文化のほうが進んでいることもあるのではないか、と思います」(日本人留学生・向山哲史さん)


【 第1章:オペレーション−世界が絶賛した奇跡のマネジメント 】

ハーバードを席巻するテッセイ「7分間の奇跡」「新幹線お掃除劇場」

「『カイゼン』は、優れた品質の製品や新しい技術を生み出すだけではない。働く人々に仕事の意味と誇りを与える。トヨタの成功の秘訣は、従業員のマインドにある(20年以上オペレーションを教えるアナンス・ラマン教授)

オペレーションの目的は「普通の人々が力を合わせて大きな偉業を成し遂げること」


【 第2章:歴史−最古の国に金融と企業の本質を学ぶ 】

なぜ日本は明治時代、アジアで唯一、近代化に成功することができたのか。一つには、すでに江戸時代に『高度に発展した特殊な文明社会』ができあがっていたこと。欧米よりも早く都市化が進み、国民の教育水準や識字率は驚くほど高かった。もう一つには、日本の支配階級が武士だったこと。黒船来航により、彼らはアメリカ人の武器を見て脅威を感じ、その危機感が明治維新につながった。また戦闘集団である彼らは、社会制度を力ずくで変革した。これが学者や知識人が国を動かしていた中国や他のアジア諸国との大きな違いだった」(20年以上日本の経営史を研究する、ハーバードを代表する知日派、ジェフリー・ジョーンズ教授)


【 第3章:政治・経済−「東洋の奇跡」はなぜ起きたのか 】

なぜ日本は奇跡的な経済成長を遂げることができたのか。その要因を学べば、学生は、発展途上国の経済成長にさらに貢献することができます。世界には戦後の日本と同じように貧困に苦しんでいる人々がたくさんいます。数千万人もの人々が、『日本人のように経済を復興させて、豊かな生活を送りたい』と願っているのです(「ビジネス・政府・国際経済」を教えるフォレスト・ラインハート教授)

政府主導によって資本を民間企業に配分する経済システムを作ったことが最も大きな原動力になったと思います。とくに中心的な役割を果たしたのが大蔵省と通商産業省(ともに当時)です。特定の産業や企業に対して低利融資を行ったり、補助金を付与したりすることによって、産業政策を推進していきました」(同)

「皆さんが思っているほど、日本経済は“悪くない”のです。日本人はもっと楽観的になった方がいいと思います。日本人とドイツ人は内省的で、“自分に厳しい”のです。とくに日本人には「謙遜の精神」がありますから無理もありません。日本人が悲観的になる気持ちもわかりますが、悲観主義が経済成長の妨げになっていることを理解してほしいと思います(前出・ジェフリー・ジョーンズ教授)

「日本に問題がないとは言いません。問題があるのは事実です。しかし、日本の人々が思っているよりも、はるかに日本経済は強い、と私は信じています。日本の強みは、結果的に弱点を凌ぐほどの威力を発揮してくれるはずです。長期的にみれば、日本の将来は明るいと私は思います」(前出・デビッド・モス教授)


【 第4章:戦略・マーケティング−日本を代表する製造業からIT企業まで 】

「意図的戦略」:経営コンサルティング会社や経営企画室が、市場の客観的なデータをもとにトップダウンで考える戦略
「創発的戦略」:現場からボトムアップで生まれてくる戦略
⇒ 日本企業が圧倒的に得意なのは「創発的戦略」であり、戦後の日本企業の躍進は、ほぼこの「創発的戦略」、つまり現場からの発想によるところが大きい


【 第5章:リーダーシップ−日本人リーダーのすごさに世界が驚いた 】

ハーバードの必修科目で教えられている日本の事例の中で、学生に最もインパクトを与えているのが、「楽天の社内英語公用語化」の事例:英語圏の学生と英語が苦手な留学生との相互理解のきっかけになる
⇒ 最初の授業で、留学生が英語の授業がいかに苦痛かを口々に訴え、それを聞いた英語圏の学生が驚く。そしてその後はクラスの空気が変わり、英語圏の学生が留学生の話を積極的に聞こうとし、クラス全体に協調的な雰囲気が生まれる

日本人が「英語化」に過剰反応する理由:@アイデンティティ A苦手意識が強い

福島第二原発をメルトダウン(炉心溶融)から救った増田尚宏所長と現場作業員たち
⇒ 冷却機能を復旧させるためのケーブル敷設:通常なら重機を使って1か月かかる作業を、作業員たちの人海戦術で、不眠不休で2日間でやり遂げた

これを可能にしたもの:増田所長の「センスメーキング」(置かれた状況を能動的に観察し、理解する)と「センスギビング」(周りの人が状況を理解する手助けをする)


【 終章:日本人が気づかない「日本の強み」を自覚せよ 】

インフラ先進国・日本、その理由:@戦後、すべてのインフラをゼロから再建しなくてはならなかった A日本国民の意識の高さ、社会に対する責任感 B秩序と清潔を重んじる日本人(ロザベス・モス・カンター教授)

☆最も多くの教授たちが指摘したのは「人的資本」:日本の強みは日本人そのもの
@高い教育水準:読解力・数的思考力で世界第1位
A分析的な特性:客観的事実とデータを重視
B美意識、美的センス
世界では、技術と美的センスを組み合わせた製品は高く評価されます。iPhoneはその象徴として有名ですね。日本は技術と美的センスの両方をすでに備えている国です。こんな国はほかにないでしょう」(前出・デビッド・モス教授)

日本の方々は、どんな些細なことでも、何か自分なりに少し工夫を加えようとするでしょう。そこに私は“芸術的センス”を感じるのです。だから日本の製品は美しくて魅力的なのだと思います。
 お店で商品を買えば、商品も美しければ、包装の仕方も美しい。街を歩けば、鮮やかな色のほうきで掃除をしている人がいる。日本には日常的に美意識が育成される環境があります。日本人の美的センスは、日本の強みとして大いに生かせると思います
(日本文化に造詣が深いジョセフ・バダラッコ教授)

C人を大切にするマインドと改善の精神:社員を人間として大切にする企業文化
D環境意識と自然観:限られたものをどうやったら有効に使えるか
E社会意識:公益を重視する企業ビジョン


≪ 日本の課題 ≫

T.グローバル化の遅れ

原因@:変化への極度の抵抗
原因A:日本人全体の内向き志向/グローバル派が「出る杭」とみなされる
「日本が非常に快適な社会であるがために、わざわざ不快な異国に行こうとは思わない。若者は世界に挑戦する必要性を感じない。これが内向き志向を生み、成長が停滞してしまった」(前出・ジェフリー・ジョーンズ教授)

U.イノベーション創出の停滞:「快適な国」もその一因

「このままの状況が進めば、日本は『博物館のような国』になってしまいます。過去の功労者ばかりがいる国、先人が築いた過去の遺産が並んでいる国、という意味です」(ジョン・クエルチ教授)

「高齢化社会であることはイノベーションを起こすチャンス」
(前出・ロザベス・モス・カンター教授)

V.若者と女性の活用

「少子高齢化が進む中、若者と女性という巨大な労働資源が日本の中に眠っているのです。日本企業が本来の力を発揮できていないのは、時代に合わせた能力開発やリソース活用ができていないからだと思います」(前出・デビッド・モス教授)

もっと海外に出て行って、新しいことに挑戦していただきたいと思います。日本には『恥の文化』があることを知っています。素晴らしい『謙遜の精神』もあります。こうしたものを維持しつつも、『日本が世界に教えられることはたくさんある』ということを認識していただきたいのです。自分の仕事は日本だけではなく、世界の人々に役立つ、と考えてください。
 日本人は、目の前にあるものを改善することが得意です。細部にこだわる精神も素晴らしいと思います。そのマインドセットをぜひとも、世界の人々と共有してほしいと願っています」(前出・アナンス・ラマン教授)


「抜粋して」といいながら、けっこうな長さになってしまった(苦笑)。だがお読みいただいた通り、我々日本人への敬愛あふれるメッセージの数々に、ついついたくさん書き出してしまった。

かつて私は、日本と日本人が好きになれなかった。過去における朝鮮・中国をはじめとするアジア諸国への侵略戦争、その際に行った残虐行為の数々。この「負の遺産」が心に重くのしかかった。そして現代においても、欧米の洗練されたゆとりある社会・文化と比べると、何かせわしくせせこましく、狭い島に大勢の人間がゴチャゴチャひしめいている国、という感じがした。自分の母国・わが民族でありながら、日本と日本民族を誇りに思えなかったのだ。この不快感はその後社会に出て、会社の必要以上に厳格な上下関係、不合理な指示命令や組織運営にさらされたことでさらに増幅し、「日本はアホだ、何だこの国は」との思いがさらに強くなった。

それが時を経て徐々に和らぎ、最近では逆に日本と日本民族を見直し、誇りにさえ思えるようになってきた。理由は2つあって、1つには自分が一番苦しい時に国に助けてもらったこと。もう1つには、世界の他の国々と見比べれば、日本は依然として世界でトップクラスのいい国であると知ったことだ。

この国だからこそ、この平和で安定した豊かな国だからこそ、私はこうして生き永らえることができている。そして今の生活も、決してリッチとは言えないが、世界の他の国の人々と比べれば、安全で安定した心穏やかな暮らしができている。

2002年にベストセラーになった「世界がもし100人の村だったら」に、こんな一文がある。

If you have money in the bank, money in your wallet and spare change somewhere around the house, you are among the richest 8.

(銀行に預金があり、財布にお金があり、家のどこかに小銭が転がっている人は、いちばん豊かな8人のうちの1人です)

私も一応、この”richest 8”には入っている。


こんな国に生まれて暮らしていけることは、とても幸運でありがたいことなのだ。そしてこんな国を作ってくれた偉大なる先人たちに、我々今を生きる者たちは深く敬意を表し、心から感謝しなければならないのだ。

ありがとう日本、ありがとう偉大なる先人たち。私もこの国を担う一員として、何かをやろう。何かを残そう。何ができるかはわからないが。



posted by デュークNave at 04:25| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月18日

「ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは『信じること』」 (生島淳・著)

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なぜラグビー日本代表はW杯イングランド大会で3勝を挙げることができたのか、そしてエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が帰国後の記者会見で「(2019年の日本大会での8強進出は)非常に難しい」と語ったのはなぜか。この本を読めば、その原因と理由がよくわかる。

この本はW杯イングランド大会の直前に出版されたものであり、当然作中にはW杯の結果についての記述はない。もしその時点で読んでいたら、私はこれほどの説得力と感銘を受けなかっただろう。あの日本ラグビー史に残る輝かしい結果を出したあとだからこそ、読み手にグイグイ迫ってくるのだ。これが率直な感想であり、この自分自身の受けた感銘で、「スポーツは結果がすべてなんだな」と改めて思った。

非常に濃くて読み応えのある内容であり、その「読み応えポイント」を書こうとすると膨大になってしまうので、ここではごくかいつまんで、私が特にインパクトを受けた点に絞って書く。


1. コーチングはアートである

「アート」という言葉が作中何度も出てくる。《選手一人ひとりにとって何が必要なのか、選手個々の能力を引き出すにはどのようなコミュニケーションを取るべきなのか。それを見極めるのがコーチングにおけるアートなんです。》

コーチの仕事は選手の能力を最大限に引き出すことであり、そのために創意工夫を凝らすのが「アート」。たとえば戦略を立て、それを選手たちに伝えて実践させる。その時《コーチは優秀なセールスマンでなければいけない》という。《選手に信じてもらうために、私は自分の戦略を必死で売るのです。》

これは「目からウロコ」だ。日本では監督やコーチは選手たちに「説明」するだけで、「必死で売る」なんてことはしない。「上意下達」がいまだこの国の基本だ。しかしエディーHCのこの姿勢はまったく「上から目線」ではなく、フラットな立ち位置で選手たちに対している。まずここが根本的に違うのだ。


2. 数字を戦略的に活用する

あらゆるデータを収集し、それを分析して、選手の育成や試合での戦略に活用するのが現代スポーツの最先端だ。

その一例:収集した膨大なデータからエディーHCが導いた結論「パスとキック『11対1』の黄金律」「ボールポゼッション54%以上」。

エリアを重視する「テリトリー型」のチームが世界では主流であり、パスとキックの比率も「4対1」が一般的だ。しかしジャパンにとっては「11対1」が最適な比率だという。つまりボールの保持を重視する「ポゼッション型」を志向しているのである。となるとポゼッション率をいかに高めるかが重要になるが、エディーHCは「54%以上」を日本代表の生命線とする。

W杯での4試合でこの数字がどうだったかはわからないが、いずれの試合でも「ポゼッション型」を貫いていたことはわかる。南ア戦での「逆転サヨナラトライ」は、敵陣深い位置で縦突進と左右への展開を繰り返し、常にマイボールをキープし、幾度ものフェーズを経た末に勝ち取ったものだった。あの戦い方が”JAPAN WAY”なのである。


3. 日本の課題を整理する

@ クリエイティビティ(創造性)を重視せよ

メジャーリーグのイチローや青木宣親、サッカーの香川真司が世界で活躍できているのは、自分の能力をクリエイティビティを使って最大限に発揮しているから。これを称賛しないのはもったいない。》

この選手にとってのクリエイティビティは、エディーHCのいう「コーチングにおけるアート」と共通するものを感じる。頭を使い、インテリジェンスを生かして創意工夫をすることでは同じだからだ。つまり指導者にとっても選手にとってもアートが重要であり、日本はもっとこの面にフォーカスすべきだということなのである。


A 指導者も選手も「プラス面」に焦点を当てよ

日本代表の選手との1対1の面談で『自分の強みは何ですか?』と質問すると、彼らは必ず自分のマイナス面についてまず答えるんです。私はそんな質問はしていない、あなたの得意なことを聞いているんだよと質問し直すと、視線が落ちて言いにくそうにする。そして少し経ってからようやく自分が自信を持っているところを話し出します。》

日本代表選手にしてこれだから、他は推して知るべしだろう。「自分の否定的なところから入り、自分が向上できる部分を探し、成長ルートを導き出す」のが日本人であり、これはスポーツに限らず、老若男女ほとんどすべての日本人に共通するマインドだろう。

しかしこれでは、「自分を肯定し、長所に気付く」時は未来永劫やってこない。どんなに成長し、力をつけても「いやまだここができない、ここがダメだ」とマイナス面ばかりを見つめ続けるからだ。「自分に厳しい・謙遜」は悪いことではないが、これではスポーツにせよ仕事にせよ、高いモチベーションで楽しくやることはできないだろう。

だがエディーHCは、これは選手だけではなく、指導者側、ひいては日本のスポーツ界の体質の問題でもあると指摘する。

《戦後の日本は社会の『リクリエーション(再創造)』に成功しました。しかしスポーツではリクリエーションの本質から目を背けてしまった。学校や企業などの組織では、戦争によって覆された社会の規律を改めて落とし込むために、スポーツを道具として使ったのではないでしょうか? 具体的なコーチングの方法として、戦前の軍隊的な風習が根強く残ってしまった。上意下達の命令形で、いまだに日本のスポーツ界は、その呪縛から逃れられないように思えてなりません。

「パワハラ」という言葉が社会問題化している日本、エディーHCのこの指摘はまったく「仰せの通り」だ。「上意下達の軍隊的風習」によって、指導者と選手との間に上下関係が生じ、指導者はただ上から「命令」し、選手はそれに盲目的に、自分で考えることをせずに従う。こんな環境の下では、選手にアートだのクリエイティビティだのが芽生える余地はあるまい。

W杯からの帰国後の記者会見でエディーHCが「(2019年の日本大会での8強進出は)非常に難しい」と語った理由がここにあるのだ。自分がHCに就任している間は、自らの経験とメソッドを総動員して代表選手たちに刺激を与え続け、彼らの心に革命を起こさせ、すばらしい結果につなげることができた。しかし自分が退任したあと、「エディーの遺産」をきちんと引き継ぎ、4年後につなげることができるか。エディーHCは日本のスポーツ界、ひいては日本社会の現状を鑑み、この点を非常に疑問視しているのだろう。「自分のような強烈なリーダーシップを持ち、世界で勝つための正しいメソッドを精力的に実践し続けない限り、今回同様、さらにそれ以上の結果を出すことは難しい」と(事実、彼がかつてGMを務めたサントリーは、彼が去ったあとは元に戻ってしまったという)


著者の生島淳氏がプロローグで《ラグビーというスポーツは、日本、いや、世界各国の社会情勢や文化を映す鏡なのだと改めて感じる機会にもなった》と書いているが、上記の通り、そのごく一部を抜粋しただけでも、日本社会の病巣が浮き出ているのがわかる。そしてその問題点をどうすれば改善し、克服できるかをも、エディーHCがこの本で語ってくれている。そして彼のメソッドの正しさが、今回のW杯で示されたのではないか。


私もこの国でン十年生きてきて、「上意下達の軍隊的風習」の根強さをそちこちで味わい、耳に目にしてきた。この病根はあまりにも深いので、これをいい方向に変えるためには膨大なエナジーを要するだろう。しかしあきらめては何も始まらないし、何も変わらない。まず自分の周囲から、できるところから手をつけ、少しずつ改善していくしかない。その小さな積み重ねが、いつか大きく花咲くことを信じて。


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2015年09月06日

「決定版 日本のいちばん長い日」 (半藤一利・著)

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今公開されて話題を呼んでいる(と思われる)、映画「日本のいちばん長い日」の原作である。私はこの映画の岡本喜八監督バージョン(1967年公開)を以前テレビで観ているのだが、恥ずかしながらこの作品に原作があることを知らなかった。たまたまネットで知って購入し、読んでいるうちに以前観た映画の方も観たくなり、すぐにDVDを購入して観た。以前観た時のインパクトも強烈だったが、原作を読んでから改めて観ると、その相乗効果が大きい(このブログにも書いたが、かつてNHKドラマスペシャル「坂の上の雲」で味わった、小説と映像の相乗効果の大きさを思い出した)

(ちなみに1967年公開の映画は、阿南陸相が三船敏郎、鈴木首相が笠智衆、米内海相が山村聡、下村情報局総裁が志村喬という、当時の名優が勢揃いの超豪華キャストだ。すばらしい原作にこのキャスティングだから、名作になったのもむべなるかな、である)

原作は、1945年8月14日の正午から翌15日正午、つまり昭和天皇の聖断によりポツダム宣言受諾が決定したあと、玉音放送が行われるまでの24時間を、1時間ごとに章を分け、その激動の時間を克明に描いている。その迫真の描写、重量感は圧倒的で、読む側をぐいぐい惹きつけ、のめり込ませる(私は主に通勤電車の中で読んでいたのだが、のめり込みすぎて一度は電車を乗り越し、一度はあと10秒で乗り越すところだった)。描かれているシーンが何度も脳裏に浮かび、読み手は終戦間際の時代に心身ともにタイムスリップする。こんな圧倒的な迫力と重量感を味わったのは、上記の「坂の上の雲」以来かもしれない。

その凄さをここで書こうとすると膨大になってしまうので、興味のある方はぜひ原作をお読みいただきたい。そのあとで映画を観れば、私が味わった相乗効果を味わうことができるので、これもお勧めだ。

ちなみに原作を読み、1967年バージョンの映画を観た私は、2015年バージョンの方を今日観る予定にしている。「日本のいちばん長い日・三部作」をすべて読み、観たあとに自分がどう感じ、何を吸収するのか。自分で自分が楽しみだ。


posted by デュークNave at 06:37| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月12日

「女性資本主義論」 ”The Theory of Feminine Capitalism” (橋仁・著)

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まさに「目からウロコ」の連続の、メチャクチャ面白い本だった。エステサロン「ミュゼプラチナム」(エステサロン経営動向調査において、2014年売上No.1を獲得)を中心に多角的に事業展開する株式会社ジン・コーポレーションの代表取締役社長を務める著者が、これまでの自身の経営を振り返り、「経済を動かすシステムは、旧来の『おっさん資本主義』から新しい『女性資本主義』へと確実に変化している」と論じている。


旧来のエステ業界では、スタッフへの「契約ノルマ」と「ノルマ達成度合いでの歩合給」が一般的で、ノルマを達成できるスタッフが評価され、給与も高く、サロンでの立場も上になった。こういう環境でやっていくためには、顧客に対して強引な勧誘をやっても罪悪感を感じない「強さ」が必要であり、自分自身に対しても「これは仕事のためだから」と本心をごまかして耐えた。またサロンの同僚たちも仲間ではなくライバルだから、本心を打ち明けることもできない。こうして外からの飴とムチのストレス、自分自身の内部での葛藤というストレスを抱えて疲弊して辞めていく。これが旧来のエステ業界の実態だった。

これに対し著者は、この業界では異例の「ノルマなし」「勧誘なし」「スタッフ全員が固定給の正社員」という経営を行った。スタッフ個人が営業成績を上げてもそれだけでは評価されず、周りのスタッフとともにどれだけ成長できたか、サロン全体(お客様とスタッフ)をハッピーにさせることにどれだけ貢献できたか、ミュゼの理念をどこまで追求できたかが問われる。その結果、スタッフのモチベーションが上がってサロンの雰囲気が良くなり、サービスや顧客応対も向上し、お客様に信頼され、愛されるようになった。そしてこれが口コミで広がり、今では業界No.1の売り上げを挙げるに至ったのである。

著者の論によれば、この旧来のエステ業界のやり方が「おっさん資本主義」であり、ミュゼでのやり方が「女性資本主義」なのである。


【 「おっさん資本主義」の定義と弊害 】

では、「おっさん資本主義」とは何か。キーワードは「勇敢・利己的・排他的・独善・野心的・即断・戦略性・冷徹さ」である。規模の拡大と市場開拓を目指す男性的な資本主義であり、永遠の資本の増殖と己の利潤を追求し、未開地を求めて「狩猟」「開拓」「征服」を繰り返し、地球上を覆い尽くしてきた。まさに旧来の資本主義の形といえる。

ところが近年、この「おっさん資本主義」の弊害が顕著になってきた。南米やアフリカ諸国の経済発展により、未開地はほぼなくなり、フロンティア精神を適用する場所も機会も失った。またグローバル資本主義の拡大に伴い、国家(政府や中央銀行)による経済統制が効かなくなり、おっさん資本主義は「病めるモンスター」と化した。この「狩猟」「開拓」「征服」に進む先がなくなって向かった先は、実体経済を離れた高度なマネーテクノロジーの世界だったが、これもサブプライムローンの破綻がリーマンショックを引き起こした。

このおっさん資本主義を支えていたのが、冒険心・闘争心・行動力・ヤル気・集中力をもたらす男性ホルモン「テストステロン」しかし未開地を失い、既存市場でもストレスフルな戦いを強いられる現代の行き詰った状況で、これを出して独りよがりな行動や言動を強めた結果、ますます市場にもパートナーにも相手にされなくなり、さらにおっさん化に突き進むという悪循環に陥っている。またおっさん資本主義を追求してきた結果、それに関わる「おっさんたち」のストレスや不安、イライラは増大する一方であり、これは人的にも経済的にも何ら貢献していないばかりか、多くの損失が発生している。


【 「女性資本主義」とは 】

これに対し、「女性資本主義」とは何か。キーワードは「誠実さ・利他的・共感力・表現力豊か・忍耐強さ・愛情の深さ」である。

「おっさん資本主義」ではうまくいかない部分に「信頼」や「共感」、「育成」や「共有」という女性的価値観・資質を生かすものであり、不毛な新天地の開拓競争をするのではなく、今すでにあるもの、今いる場所をリメイクして、幸せな経済活動をしながら生きる。

これを支えているのが、「信頼」や「愛情」、「絆」を活発化させる脳内神経伝達物質「オキシトシン」だ。この分泌を高めることで、競争によって相手を制圧するのではなく、「信頼」や「愛情」、「絆」を深めて長期的な相互互恵関係を構築し、経済的・精神的な恩恵がもたらされる(女性資本主義=オキシトシンの分泌を高める経済活動とも言える)

女性資本主義を支えるもう1つの脳内神経伝達物質が「セロトニン」。ストレスや不安、イライラを抑制し、「笑い」や「心が動かされること」で分泌が高まる。これを大事にすればいい雰囲気の中でいい仕事ができ、結果的に生産性も高まることになる。

おっさん資本主義で行われてきたのは自分の見栄やステイタス誇示のために「ドヤ顔消費」だったが、新しく経済を回していく女性資本主義は「笑顔型消費」、つまり商品やサービスを買うだけではなく、それを提供されている時間そのものや心地よさ、同じ好みを共有できる喜びなどを時間をかけて楽しむものだ。


要するに女性資本主義とは、従来型資本主義の代替案ではなく、人間の本質と人間を取り巻く環境に根差した経済システムである。性差や地域、文化の違いなどあらゆる属性の違いを超えて、それぞれの場所で「もっとも価値の高い状態」を作り出せるものなのだ。狩猟よりは「育てる」、開拓するよりは「愛される」、戦うよりは「共感する」。この概念が、実際に経営やマネジメントでの成果に結びついているのである。


【 これからの資本主義、経営のあるべき姿 】

世の中や経済に女性資本主義の兆しが現れることは、「男の負け」を意味するものではない。男が女性的価値観を身に付けることで、より男にとっても女にとってもよいことが増えるのだ。今、そしてこれからの時代において女性的価値観・資質を男たちが獲得することは、ブレークスルー技術を獲得すること、イノベーターとなることに等しい。つまり「勇敢さ」「野心」「緻密な戦略性」などの男性の資質や能力(ハードウェア)をこれからの時代にもうまく適応させて発揮していくために、「女性資本主義」という新しいファームウェア(機器組み込みソフト)をインストールするということだ。

企業や経営者が「強さ」ではなく「温かさ」を前面に出し、従業員に対しても日ごろから聴く姿勢を持ち、経営へのアイディアを吸い上げ評価する仕組みを作っていれば、従業員も自発的に企業にとって望ましい行動をとるようになる。また顧客がその企業やブランド、接するスタッフを評価するのは、「強さ」ではなく、目の前の人間が「信頼に足るか」「温かいか」である。

つまり、すべての価値の源泉は「信頼」なのである。この信頼は、顧客と企業との間だけではなく、企業・経営者と社員・スタッフとの間にも存在しなければならない。


以上がこの本の要点である。これで思い出したのが、このブログでかつて書いた「ガタイがデカいとなかなか変われないんだなあ」(2011.6.10)という記事だ。これはNHKの「英語でしゃべらナイト」という番組をネタにしたもので、ある大手化粧品メーカーの海外事業担当者が、本社に海外拠点の担当者を呼んで会議を行った。その時に彼女らが口々に語っていた「もっと現地のニーズに合わせた商品作りやキャンペーンを行ってほしい」という要望について、私が思ったことを次のように記している。

「10年以上も前に海外進出しているのにこんな要望が現地から上がってくるということは、この会社は海外でも日本と同じ商品を販売し、同じキャンペーンをやっていたことになる。海外に進出するなら、まずは事前にその国や地域の事情を調査し、どういう商品が売れるのか、その国ごとの販売戦略を立てるのが当たり前だ。この会社は業界でも指折りの大手なのに、こんなごく基本的なこともやらずに海外に進出していたとは驚きだ。

この本の趣旨でいえば、この化粧品会社のやり方は「おっさん資本主義」であり、私が「当たり前」と主張したやり方は「女性資本主義」ということになる。こういう意味でこの本は「我が意を得たり」の部分が多く、強い共感を受けながら読み進んだ。

この本は、これまでの自分の人生の来し方に大いなる反省を促し、今後の人生行路に大きな指針を与えてくれた気がする。この出会いに心から感謝したい。


posted by デュークNave at 11:43| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする