2017年01月11日

イーブンボールの激しい争奪戦:ラグビーの醍醐味を堪能! 〜全国高校・大学ラグビー決勝〜

7日(高校決勝:東福岡VS東海大仰星)・9日(大学決勝:帝京VS東海)の2試合は、ラグビーの醍醐味を心ゆくまで堪能させてもらった。それぞれのカテゴリーでのライバル同士、互いへのリスペクトを抱きながらの頂上決戦。「すばらしい試合を、感嘆して見つめるだけ」。こんな感慨を味あわせてくれた両チームに、ただただ感謝だ。


【 高校決勝 】

春の選抜・夏のセブンスと併せて3冠がかかる東福岡、連覇を狙う東海大仰星。これが4大会連続8度目の対戦で、これまで東海大仰星の4勝3敗。このうち6度は勝った方がその大会で優勝している。まさに宿命のライバルである。

細かい試合経過はここには記すまい(結果:東福岡28−21東海大仰星)この試合のすばらしさを簡潔な文章で表してくれた、毎日新聞の谷口拓未記者の記事を抜粋してここに引用する。


「地を揺らすような歓声が起こり、記者席でも感嘆の声が上がるほどだった。高校ラグビー界の最高峰でのライバル対決だった」

「球際で激しくぶつかり、終盤まで足を止めなかった両チームの発奮を見れば、特別な間柄とよく分かった」

「特別な場所で何度も戦ってきた思い入れがある」(東海大仰星・湯浅大智監督)

「仰星は特別だ。選手が最もリスペクトしている」(東福岡・藤田雄一郎監督)

「培った力、誇りや意地。全てをぶつけられる相手を目標に高め合い、成長してきた」

「ライバル対決はスポーツの華だ。ファンに訴えかけるものがあり、人気拡大にもつながる。歴史を紡ぐような激しいつばぜり合いに、これからも期待したい」



【 大学決勝 】

帝京の8連覇がかかった、2年連続同カードの頂上決戦。もし達成すれば、カテゴリーは違うが、新日鉄釜石と神戸製鋼の日本選手権7連覇を超える偉業である。

ここも、細かい試合経過は記すまい(結果:帝京33−26東海)。FWの圧力で押し込む東海、SO松田の効果的なキックを生かしたスピードと展開力の帝京。東海が先行して帝京が追いつく展開だったが、後半になると東海が消耗して出足が鈍り、帝京の連続トライに突き放された。それでも1トライを返して7点差に迫り、さらに帝京陣深く攻め込んだが、ボールがこぼれて蹴り出され、ここでノーサイド。帝京の前人未到の8連覇がついに成った。


高校・大学とも、スピーディーで激しい攻防が展開される、見応えたっぷりの決勝戦だった。特に目を見張ったのは、イーブンボールの争奪戦。タックルを受けた選手のサポートと、ボールを奪おうとする相手との激しいせめぎ合い。タックルを受けてダウンボールする際の姿勢が少しでも悪かったり、サポートがわずかに遅れると、相手の厳しい突っ込みでボールを奪われる(ターンオーバー)。このイーブンボールへの仕掛けが両チームとも非常に鋭く、一瞬のうちに攻守が入れ替わってしまう。観る側もわずかな目を離す暇もない、すばらしくスリリングな試合だった。


宿命のライバル同士の、決勝戦での大激戦。競馬でいえば1番人気と2番人気がハナ差で1・2着したようなもので、こんなレースが面白くないわけがない。ともに「ハナ差決着」となった2つの決勝戦、ラグビーの魅力がたっぷり詰まった、史上に残る名勝負だった。


私はもともと展開ラグビー・ランニングラグビーが好きで、ゴチャゴチャした密集戦は好きではなかった。しかし帝京が大学選手権を初制覇したあたりから、密集戦での激しいせめぎ合い、一瞬のスキがターンオーバーにつながってしまうスリリングな戦いにも魅力を感じるようになっていた。ピッチを広く使った華麗な展開ラグビーも魅力たっぷりであり、こういうラグビーが好きなのは今も変わらないが、激しくスリリングな密集戦もまたラグビーの大きな魅力の1つだ。密集戦、コンタクトプレーに新たな魅力を見出してから、私のラグビー観戦は楽しみの幅が広まり、深まった。ラグビーはやっぱり面白い!

posted by デュークNave at 06:02| Comment(0) | スポーツ-ラグビー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月24日

またも「歴史的瞬間」を現場で目撃! 〜スーパーラグビー:サンウルブズ、劇的初勝利〜

またもやラグビーの「歴史的瞬間」を、現場で目撃した。秩父宮ラグビー場で行われた、スーパーラグビー・サンウルブズVSジャガーズ。激しい点の取り合いのシーソーゲームの末、サンウルブズが後半に逆転、最後にはとどめのトライを挙げ、参戦後8試合目にして念願の初勝利を挙げたのだ。


【 降って沸いたスーパーラグビー観戦チャンス 】

もともと私は土曜は仕事なので、すべて土曜日であるサンウルブズの秩父宮での試合はもとから観られないとあきらめていた。ところが昨23日(土)が急に休みになった。これがわかった時はまったく頭になかったのだが、当日の早朝にパソコンを見ていたら、「あれ、今日って秩父宮でサンウルブズの試合があるんじゃなかったか?」と急に思い出した。秩父宮のサイトを調べたらその通りで、「こんなチャンスはめったにない。これは観に行かなきゃ」と、すぐに歩いて1分のセブンイレブンに行った。「こんなビッグイベントのチケットが当日に取れるかな」と不安だったが、マルチコピー機でオーダーしたらすんなり取れた。5,500円とラグビーのチケットとしてはかなり高いが(バックスタンドのA指定席で、記念グッズがもらえる特典付き)、こういう時の出費はケチらないのが私の主義だ。こうしていい席を確保し、早めの昼食を済ませて、勇躍秩父宮へと向かった。

試合開始の1時間半前に着いたのに、正面入口前は大賑わいだった。メインスポンサーのアンケートに答えてステッカーをもらい、記念グッズ交換所でサンウルブズのロゴ入りのクッションを受け取り、バックスタンドへ。席は最上段の1つ前だったが、ラグビー観戦ではこれでも不満はない(全体のフォーメーションがよく見えるから)。客の入りはさすがによく、試合開始時には8割がたが埋まっていた(最終的な観客数は14,940人)。サンウルブズの初勝利を願い、その瞬間を目撃したいファンの熱気が伝わってくる。

相手のジャガーズも、今シーズンからスーパーラグビーに参戦したニューカマーだ。しかしメンバーは去年のW杯でベスト4入りしたアルゼンチン代表を中心としており、かなり手ごわい相手である。


【 シーソーゲーム:なかなか流れをつかみきれないサンウルブズ 】

試合は手に汗握るシーソーゲームになった。開始5分、サンウルブズは敵陣10mライン付近でペナルティをもらい、SOピシがロングPGを決めて先制。しかしその直後の7分、ジャガーズはショートパントをナイスキャッチして敵陣深く侵入、最後は密集サイドを突いて逆転トライを決める。さらに10分には、ドライビングモールで大きく前進したのちに左へ大きく展開、左隅にトライを決めた(S3−10J)。

パワーとスピードで奪われた連続トライ。「前半早々に簡単に連続トライを許すなんて、また負けパターンかな」と一瞬思ったが、当のサンウルブズフィフティーンは全くめげていなかった。20分、相手のペナルティで敵陣に入り、密集を連続支配してじりじりと攻め込む。ここから左に展開し、SOピシの股下を通す巧妙なパスからCTB立川〜WTB笹倉とつなぎ、笹倉が左隅にスーパーラグビー初トライ。ピシが難しい角度のコンバージョンを決めて、サンウルブズが同点に追いついた(S10−10J)。場内は総立ち、スタンディングオベーションでサンウルブズの初トライを称えた。

32分、ピシがハーフウェイ付近からのロングPGを鮮やかに決め、サンウルブズが逆転に成功。しかしジャガーズは直後の34分、右に展開し、得意のショートパントからのキャッチをまたもや決め、再逆転のトライ(S13−15J)。逆転してもすぐ取り返される試合展開で、サンウルブズはなかなか流れを持ってこれない。37分、敵陣左中間からのPGを名手ピシがこの試合初めて外し、逆に終了間際にPGを許す。前半は13−18と5点ビハインドで終えた。


【 得点直後のインターセプトトライ:「負けパターンか」と思ったが 】

後半5分、敵陣22mライン内側でPGを得、FBフィルヨーンが難なく決める。続くジャガーズのキックオフが直接タッチラインを割り、サンウルブズボールのセンタースクラム。これは逆転へのいい流れになってきたと思ったが、スクラムからのサインプレーのパスをインターセプトされ、ポスト下に独走のトライを喫する。もちろんコンバージョンも決まり、この試合で最大の9点差になった(S16−25J)。

再び「これは負けパターンかな」の思いが胸をよぎった。点の取られ方が悪いのだ。しかしここでもサンウルブズの勇者たちはひるまない。しぶとく敵陣に攻め込み、56分、22mライン上のスクラムから右に展開、SOピシ〜CTB立川とつなぎ、カットインしたCTBカーペンターが立川のパスを受け、鮮やかにラインを突破してインゴールに飛び込んだ。コンバージョンをピシが難なく決め、サンウルブズが再び2点差に迫った(S23−25J)。


【 PGの応酬で逆転、再逆転・・・そして歓喜のエンディング 】

66分、敵陣左中間からのPGをピシがきれいに決め、ついにサンウルブズが逆転に成功。しかしその2分後、ジャガーズがPGを返して再逆転。自陣でミスをした方が負けるという厳しいせめぎ合いになった。70分、HOのキャプテン堀江が鋭い突進で敵陣に侵入、密集からのボールにジャガーズがたまらずオフサイドの反則。難しい角度のPGをピシが見事に決め、サンウルブズが再々逆転に成功した(S29−28J)。

残り10分足らずで1点リード。ここからは自陣でミスをせず、いかに敵陣でプレーできるかが歴史的初勝利への方程式になる。73分、自陣10mライン付近でのジャガーズボールのラインアウト。ここでサンウルブズFWはボールホルダーに鋭く絡み、アンプレアブルにしてマイボールスクラムに変える。解説の吉田義人さんが絶賛したナイスディフェンスだった。さらにこのスクラムでジャガーズがコラプシングを犯し、サンウルブズはタッチキックで敵陣深く攻め込む。「歴史的初勝利への方程式」が着々と組み上げられていく。

ここからはピッチと電光掲示板の時計をチラ見しながらの観戦になった。「あと4分…あと3分…あと2分!」残り時間は刻々と減っていく。そしてサンウルブズはここでも「勝利の方程式」を貫き、確実にマイボールをキープするプレーに徹した。79分、WTB笹倉が突進し、FWにつないでインゴールに入ったがキャリーバックで、ポスト右での5mスクラム。吉田義人氏が興奮気味に「できればゴールに近いところでトライを決めて7点入れたいです。7点入ればほぼ勝利を手に入れることができます」と語ったその直後、No.8カークのパスからSOピシが突進、フォローしたCTB立川がポスト下に、勝利を決定づけるトライを決めた。場内は再び総立ちのスタンディングオベーション、そして立ったまま皆座ろうとしない。ピシのコンバージョンが決まったところでノーサイド。日本ラグビーの聖地・秩父宮で、サンウルブズが世界デビュー年に記念碑的な初勝利を挙げた。


この日の早朝にふと思い出し、急きょ駆けつけた秩父宮。そこで目撃した歴史的勝利。これを幸運と言わずに何と言おうか。この幸運への感謝の念と大きな充足感を抱きながら、私は秩父宮を後にした。この興奮と満足感は、帰路もなかなか消えなかった。

posted by デュークNave at 06:15| Comment(0) | スポーツ-ラグビー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月03日

「オリンピック出場決定」の瞬間を初めて現場で見た! 〜ライブ観戦の楽しさ・その4〜

先の日曜日(11月29日)、女子7人制ラグビー(セブンス)のアジア予選を観に、秩父宮ラグビー場に行ってきた。15人制のラグビーは何度も秩父宮で観たことがあるが(今年も2度行った)、7人制は見たことがなかったし(テレビで観たのも、男子セブンスが来年のリオデジャネイロ五輪への出場権を決めた香港戦が初めてだった)、何より「オリンピック出場決定の瞬間を現場で目撃したい」と思い、仕事に挟まれて疲労困憊の体にムチ打って出かけて行った。


【 予選トップ通過でリオ五輪出場権獲得 】

リオ五輪への出場権を懸けたこの大会、日本代表(通称「桜セブンス」)は第1ラウンドである香港大会で優勝しており、この第2ラウンド・日本大会でも優勝すれば、リオ五輪への出場が決まる。前日の試合で3戦全勝しており(特に香港大会で敗れた中国に20−7で快勝したのが大きかった)、この日の残り2試合で連勝すれば文句なしに出場権獲得という状況だった。


【 球場前の長蛇の列:ラグビー人気の高まりがここにも 】

チケットは事前に入手していたものの(セブンイレブンの多機能コピー機で簡単に買える)、自由席だったし(前売りで2,000円。当日だと2,500円になる)、五輪出場がかかる試合なのでかなりの客足になるだろうと思い、試合開始(10:00)の30分前に秩父宮に着いた。案の定、当日券売り場には長蛇の列ができており、チケットを持って開場を待つ客の並ぶ列も、「ここが最後尾です」という看板を持った係員がいるほどの長さになっている。「ああ、やっぱりチケット買っておいてよかったな。少し早めに来たのも正解だった」と胸をなでおろした。それにしてもこの客足、五輪出場がかかっていることもあるだろうが、15人制男子のW杯での大活躍の好影響が、ここにも及んでいるようだ。また先に男子が五輪出場を決め、その試合が地上波で放送されたことで、女子の試合への関心も一気に高まったのだろう。球場前のこの賑わいを見て、とてもうれしくなった。


【 ボールがよく動いてエキサイティングなセブンス:五輪を機に人気スポーツになるか? 】

この日は日本の3試合を含め、9試合が行われた。セブンスは試合時間が7分ハーフ・ハーフタイム2分・計16分(決勝は10分ハーフ・計22分)と短いため、1日でたくさん試合を行うことができるのだ。これも観る者にとっては大きな楽しみだ。

セブンスはFW3人(左右プロップとフッカー)・BK4人(スクラムハーフ・フライハーフ(15人制のスタンドオフに相当)・センター・ウインガー/フルバック)で構成され、フィールドは15人制と同じ広さのピッチを使う。スクラムはFW3人で組み、球出しも早い。15人制よりも密集戦が少なく、パスとランプレーが多くなるため(ボールを持った選手が何10メートルも独走するシーンも多く見られる)、選手にはフィジカルの強さよりもスピードとスタミナが求められる。1人1人の運動量が15人制に比べて格段に多いため、試合時間も短くなっているのだ。プレーする方はかなりのタフネスさを求められるが、観る側にとっては、ボールの動きがわかりにくい密集戦が少なく、スピーディーでピッチを広く使ったパスとランプレーが多いため、かなりスリリングで面白い。ラグビーにさほど詳しくない人でも十分に楽しめるので、五輪の正式種目に採用されたのを機に、これから日本でも人気が高まるのではないだろうか。


【 「ラグビー愛」を共有する心地よい雰囲気 】

さて、試合である。桜セブンスは第1試合でスリランカに49−0で圧勝し、リオ五輪まであと1勝にこぎつけた。このあと中国−香港、カザフスタン−グアム戦が行われ、2試合目のインターバルの間には日本のジュニアチームの試合が行われた。秩父宮のラグビーファンはかなりディープなファンが多く(年齢層も比較的高い)、日本代表と関係のない試合でも、ちゃんと観てちゃんと応援する。つまり「ラグビーが好きで、ラグビーが観たくて」来ている「アツい」ファンが多いのだ(私もその一人)。この「ラグビー愛」を共有した心地よい雰囲気の中、2試合目が始まった。


【 「勝てば五輪決定」だったが・・・ 】

予選プールの最終戦は、日本大会でともに4戦全勝の日本−カザフスタン。日本はカザフには香港大会で2連勝しており(7−5、22−0)、この試合で引分け以上で五輪出場が決まる。しかし大一番で硬くなったのか、前半終了間際に先制トライを挙げたものの、後半にトライ・ゴールで逆転され、そのまま敗戦。五輪出場決定は決勝戦でのカザフとの再戦に持ち越しになった。

決勝戦までは2時間以上の間があり、ここで出場が決まっていたら、もしかしたら帰宅していたかもしれない(この日は遅い時間からの仕事が控えていたし)。しかしこんな状況で帰るわけにはいかないので、日が傾いて肌寒くなってきた秩父宮で、じっと決戦の時を待った。

この間、さまざまな年代の女の子たちによるチアリーディングショーが行われた(アメフトのハーフタイムショーのようなものか。あれほど派手ではないけれど)。私の前方の席におそろいのパーカーを着たママさんと思しき人たちが座っていて、「あれは何だ?」と思っていたのだが、チアリーディンググループの名前を記したパーカーだったのだ。「なるほど、娘の晴れ舞台を見に来ているわけか」と納得した。彼女らはそれぞれデジカメを構え、我が娘を熱心に撮影している。オトコ比率の高い秩父宮だが、こういうイベントで女性客が増えるならそれもよしだろうし、ショータイムとしてもけっこう楽しめる。激しい戦いの場でのいいクッションだなと思った。


【 いざ、決戦! 熱狂的声援の果てに・・・ 】

さて、試合再開。5位決定戦・グアム−スリランカ戦、3位決定戦・中国−香港戦を経て、ついに決勝戦。場内の盛り上がりは最高潮だ。我がバックスタンド側は7〜8割が埋まり、熱気が渦巻いている。試合前の国歌斉唱、最初は君が代を黙って聞いていたが、周りのかなりの人たちが歌うのにつられて途中から声が出た。こういう現場ならではの臨場感はやはりいいものだ。

試合は日本が早いボール回しで主導権を握り、3分にトライ・ゴールで先制。しかし終了間際、相手ゴールライン寸前まで攻め込みながら決め切れず、前半は7−0で終了。ややフラストレーションが残る終わり方で、余韻がよくなかった。

すると案の定、後半開始直後にラインブレイクを許し、トライ・ゴールで同点にされる。いやなムードが漂ったが、桜セブンスは冷静だった。この後ブレイクダウンでカザフが反則を繰り返し、日本がいいリズムで敵陣に攻め込む。そして後半7分、敵陣22mライン付近のPKからすばやく攻め、パスを受けた小出が外を向くと見せかけて内に切れ込み、ポスト下に勝ち越しトライ(ゴール)を決めた。

この時の場内の熱狂はすごかった。密集になるとカザフが反則し、日本が着実に敵陣に押し込んでいく。そうしてじわじわとムードが高まっていたところに、鮮やかなラインブレイクからの中央へのトライ。スタンドは全員総立ち、大歓声と興奮の坩堝と化した。私も久しく味わっていなかった激情を、周囲の「濃い人たち」とともに堪能させてもらった。

試合は日本7点リードのまま、歓喜のエンディングへと向かう。残り10秒、場内でカウントダウンが始まる。そしてノーサイド。日本が苦闘の末、リオ五輪への出場権を獲得した。スタンドはまたも総立ち、満場のスタンディングオベーションで桜セブンスを称えた。

試合後、カザフスタンの選手たちがバックスタンドの前へ大きく手を振りながらやってきた。それを日本の選手たちと同様、総立ちの拍手で迎える観客たち。これぞノーサイド精神、すばらしい戦いを見せてくれた彼女らへの心からの称賛、「敵ながらあっぱれ!」なのだ。これは感動的な光景だった。「だから俺はラグビーファン好きなんだよな」と改めて思った。


【 知らなくてよかった「朗報」:おかげで味わえた大感激 】

翌日の新聞で、この決勝戦は、たとえ負けても22点差未満ならトップ通過で出場権獲得だったことを知った。私はこれを目にした時、「知らなくてよかった・・・!」と胸をなでおろした。もしこれを決勝戦の前に知っていたら、応援はかなり気が抜けたものになっていただろう。「勝たなきゃ五輪に行けない」そう思い込んでいたからこその必死の応援であり、それゆえ味わえた大きな感激だったのだ。朗報は早く知った方がいいのが世間の常識だが、知らない方がいい朗報もあることを、人生で初めて知った。


やっぱりライブ観戦はいい。特に秩父宮は、ラグビー観戦にこれほどすばらしい場所はない。次は大学選手権か、また観に来よう(トップリーグは日曜日にやってくれないから観れないんだよな〜)。

posted by デュークNave at 07:47| Comment(0) | スポーツ-ラグビー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月07日

Long time no see, 秩父宮! 〜久方ぶりに味わった、生観戦の臨場感〜

ラグビーW杯・イングランド大会決勝の記事の最後で「宣言」した通り、先の日曜日(11月1日)、秩父宮ラグビー場に観戦に行ってきた。秩父宮は、4年前のW杯NZ大会の日本・フランス戦のパブリックビューイングに行って以来だ。(その時の記事:http://keep-alive.seesaa.net/article/225393368.html?1446843139行われる試合は、関東大学ラグビー対抗戦、明治VS慶応と帝京VS早稲田の2試合である。

ともに人気と注目度の高いカードであり、先のW杯での日本代表の大活躍でラグビーへの注目がにわかに高まっているので、「当日券売り場は長蛇の列ができてるんじゃないか。やっぱり行くのやめようかな」と最初は思った。しかし長年のラグビーファンを自認している身としては、「ラグビー人気の復活をこの目で確かめるのがファンの務めだ」と思い直し、結局行くことにした。

行ってみると、思ったほど長蛇の列にはなっていなかった。試合開始の1時間半前だったこともあるだろうし、試合が大学であり日本代表の選手が出るわけじゃないからかなとも思ったが、ちょっと拍子抜けした。列に並んでいるのはほとんどが男性で、けっこう年配の人が多い。ファンの年齢層が比較的高く、「目の肥えた」ファンが多いのがラグビーの1つの特徴だ。


【 「いい席」「いい環境」でゆるりと観戦 】

チケットも、いい席が簡単に取れた。メインスタンドのA指定席が一番高い4,000円、次がバックスタンドのA指定席の3,000円、メインスタンドのB指定席(A指定席の両脇)の2,500円、一般席の1,500円となっていた。私はこの中からバックスタンドのA指定席を選んだ。メインのBと500円違いならこっちの方がいいし、バックスタンドは日当たりがいいのも選んだ理由の1つだ(ラグビーは秋から冬の試合が多いが、上に「傘」があるメインスタンドは日陰になって肌寒いのだ)。

買う時「前段と後段はどちらがいいですか」と聞かれ、迷わず後段を選んだ。これもラグビー観戦の特徴なのだが、後段の方が全体のフォーメーションが見やすいのだ。だから秩父宮では、あえてスタンドの最上段の席を選ぶ人がけっこういるのだ。

11時15分、開門。ピッチの横を通ってバックスタンドの通路を進み、スタンドへの階段を昇る。昇り切ると、広々とした緑の芝生が目に飛び込んできた。陽光に映え、実に目に鮮やかだ。これを見ただけで「ああ、来てよかったな」と思った。鮮やかな緑は日本人の心の琴線に触れる色なんだな、と改めて実感した(もっともこれは、日本人に限らず世界共通かもしれないけど)。

席は後段も後段、最上段の1つ前だった。しかしここからでも、ピッチは十分によく見えるし、全体がまんべんなく見渡せるのがいい。秩父宮には国立競技場のようなトラックがないので、観客席とピッチとの距離が近いのだ。これがラグビー専用球場の大きなメリットであり、「ラグビー観るなら、国立よりも秩父宮」なのだ。

試合開始を待っていると、私の席の左側の3席に、年配の男性3人組が座った。彼らの話に耳を傾けてみると、3人とも明治OBで、選手個々のこともよく知っており、相当年季が入ったディープなファンであることがわかる。「こういう長年のファンにラグビーは支えられてきたんだよな」とうれしくなった。


【 早慶戦に「食われた」? 明治−慶応の伝統の一戦 】

さて、いよいよ第1試合の選手入場。左隣の明治OBのお三方はもちろん、あちこちから拍手が起こる。校歌斉唱になると、立ち上がって腕を振りながら歌う人もいる。神宮球場の六大学野球での7回のエール交換ではよく見る光景だが、ここ秩父宮でも多くはないが行われている。「母校愛」が伝わってくるいい光景だ。

試合は、2試合ともほぼ一方的な展開になった。明治VS慶応は、慶応がPGで先制したが、さらに攻めながらミスで流れを失い、明治に連続トライを許した。隣のお三方や周囲の明治ファンは沸きに沸いている。

前半のラストワンプレー、明治が敵陣深い位置でペナルティをもらったが、タッチキックではなくスクラムを選択した。すると隣の男性が「あそこでタッチキックからのラインアウトはできないんですか」と聞いてきた。私は「ええ、できないですね。W杯での日本と南アフリカ戦で同じシーンがありました」と答えた。

ちょっと詳しく説明すると、日本VS南ア戦の後半ラストワンプレーで、日本がペナルティを得、スクラムを選択した例のシーン。「逆転トライを狙うなら、タッチキック〜ラインアウト〜ドライビングモールという選択肢もあるんじゃないか」と思った。だがこの時、TV解説の元日本代表主将・菊谷崇氏が「ラストワンプレーなんで(タッチキックからの)ラインアウトはできないんで」とコメントしたのを聞いて、こういうルールがあることを初めて知ったのだ。

試合は結局42−10で明治が圧勝。まあ順当な結果だろう。考えてみれば、明治−慶応戦を秩父宮で観たのは初めてだ。いつもはNHKのEテレで放送するのだが、この日は野球の早慶戦と重なり、Eテレは早慶戦を放送する予定になっている。ラグビー人気が再燃する気配とはいえ、早慶戦と重なったんじゃ負けるな。


【 弱くなった早稲田:長年の早稲田ファンとしては寂しい 】

続く第2試合。帝京VS早稲田は、数年前までなら対抗戦随一の好カードなのだが、近年は帝京の強さが圧倒的で、早稲田は苦戦を強いられている。今回は特に、ポイントゲッターであるWTB藤田慶和がセブンスに参加しているため、さらに苦戦が予想された。しかし試合は、「苦戦」どころではなかった。

早稲田がPGで先制したが、さらに攻め込みながらハンドリングミスなどで攻め切れず、帝京の猛反撃を浴びる。次々とトライを奪われ、あっという間に主導権を渡す。後半に入るとさらに帝京の「トライショー」。早稲田はたまにいいプレーが出てトライを返すが、ほとんどは帝京の思うがままになった。

隣のお三方は、神宮球場のスコアボードに目を移し始める。早慶戦が始まったのだ。神宮球場は秩父宮のすぐ右隣にあるので、我々の席からでもスコアボードが十分に見えるのだ。勝てば早稲田の優勝が決まる大事な一戦。目の前の「惨状」を見れば、ディープな早稲田ラグビーファンでもお隣に目が行ってしまうのは仕方あるまい。

(この試合を見ている間、隣のお三方の話の中に「堀越」の名が何度も出てきた。堀越とは、1988年〜1991年度に活躍した早稲田のスクラムハーフ・堀越正巳のこと。今泉清・藤掛三男とともに「スーパー1年生トリオ」と呼ばれ、1989年の大学選手権を制し、日本選手権でも優勝した伝説のチームの主力だ。あの年の早稲田はすばらしかった! でもこんなノスタルジーを感じるようでは、長年の早稲田ファンとしては寂しい

試合は92−15、14トライで帝京の圧勝。こんなスコア、下位の青学や立教相手ならわかるが、優勝を争うはずの早稲田がこれほどの惨敗を喫するとは!(ちなみに慶応も89−10、13トライで完敗している)帝京が強いというより、早稲田が弱くなったというのが正直な印象だ。しかし、帝京が圧倒的に強いのも事実。これでは15日の明治も勝てそうにない。対抗戦は完全なる「帝京1強」状態になっているようだ。



久しぶりの秩父宮、そして久しぶりの生のラグビー観戦。前日の夜中にW杯の決勝・オールブラックスVSワラビーズを観て「目が肥えて」いるので、それと比べると大きく見劣りしたのは否めない。しかし久しく味わっていなかった、現場の臨場感。これはテレビでは味わえないものであり、「やっぱり、来てよかった」と素直に思った。これからも折を見て、またこの臨場感を味わいに来よう。


posted by デュークNave at 05:38| Comment(0) | スポーツ-ラグビー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月01日

美しくすばらしき連覇、オールブラックス/SOカーター、「神の左足」 〜ラグビーワールドカップ・イングランド大会:決勝〜

世界ランキング1位・ディフェンディングチャンピオン。すべてのチームから挑戦を受けるこの重圧を跳ね返し、ニュージーランド代表・オールブラックスが見事に史上初のW杯連覇を果たした。

NZと決勝で相まみえたのは、世界ランク2位のオーストラリア代表・ワラビーズ。ともに過去2回の優勝を誇るこの南半球の両雄がW杯の決勝で顔を合わせるのは、意外にも初めてである。「優勝3回の単独トップに立つのはどちらか、そしてNZの史上初の連覇はなるか」が注目された頂上決戦だった。


【 名キッカー同士がPGの応酬、そして初トライ 】

試合開始当初から双方とも激しいコンタクトの応酬で、期待通りの熱戦となった。8分、NZは敵陣22mライン手前でペナルティを得、SOダン・カーターが先制のPGを決める。しかしAUSは13分、敵陣22mライン中央でペナルティを得て、SOフォーリーがPGを返して同点に追いつく。

27分、AUSは自陣でハイタックルの反則を犯し、カーターが左中間38mのPGをきれいに決めて勝ち越す。さらに35分、AUSは自陣10mライン手前でオフサイド。右中間40mの角度のあるPGを、カーターがまたもど真ん中から決める(TV解説の吉田義人氏は「美しいとしか言いようがないですね」と感嘆の声を上げた)


ここまでは両チームの名キッカーによるPGの競演だったが、前半終了間際、ついにこの試合の初トライが生まれる。38分、NZは敵陣ゴールライン10mのラックから右に展開、CTBC・スミスが縦突進から鋭く内に返し、SHA・スミス〜FLマコウ〜WTBミルナースカッダーとつないで鮮やかに右隅に飛び込んだ。難しい角度のコンバージョンをカーターがまたもや決める。オールブラックスのバックス陣が演じた芸術的なトライで、前半はNZが16−3とリードして終えた。

ボール支配率で圧倒し、何度も敵陣ゴール前に攻め込みながら、AUSの堅固なディフェンスにあってなかなか突き放せずにいたNZだったが、終了直前に待望の初トライを挙げた。後半、AUSはどう立て直し、反撃してくるか。


【 シンビンからNZがAUSの猛反撃を浴びる 】

後半開始早々の42分、NZは敵陣10mライン手前のラックから出たボールを受けたCTBノヌが、コンタクトをかいくぐって快走。ステップを切ってタックルをかわし、40m独走のトライを左中間に決める(21−3)。「世界屈指のラインブレーカー」が挙げた目にも鮮やかなトライ。これにはさすがのワラビーズも意気消沈するかと思ったが、ここから猛反撃に出る。

52分、AUSが敵陣ゴールライン寸前まで攻め込んだところで、NZのFBスミスが危険なタックルでシンビン(10分間の一時退場)処分を受ける。この数的優位を生かしてAUSはすかさず反撃に出る。ラインアウトからドライビングモールを仕掛け、NO8ポーコックが初トライ。フォーリーがコンバージョンを確実に決めて21−10と追い上げる。さらに64分、敵陣10mライン手前のラックからSHゲニアが裏のスペースに蹴りこみ、これに追いついたSOフォーリーがCTBクリンドラニにラストパス。クリンドラニは激走、ポスト右に飛び込む。フォーリーがコンバージョンを余裕で決め、AUSがついに4点差に迫った(21−17)FBをシンビンで欠くNZのディフェンスの薄さを巧妙に突いたSHゲニアの好判断が光った。


【 AUSの追い上げを振り切ったカーターの「マジカル」DG 】

これでAUSが一気に勢いづくかと思われたが、ここでオールブラックスが世界に誇る名手の「魔術」が飛び出す。70分、AUS陣10mライン付近のラインアウトからNZは左に展開。フェーズを3つ続けたあとに密集から出たボールを、SOカーターが意表を突くドロップゴール! ボールは2本のポールの間をきれいに通り抜けた。AUSの守備陣のみならず、観る者すべてにあっと言わせたであろう、カーターの「マジカル」DG。解説の吉田氏は「凄いとしか言いようがない」とまたも感嘆の声を上げた。これで7点差、ワンプレーでは逆転されない得点差に再び広がった。

さらに75分、ハーフウェイラインわずかに内側の地点で得たペナルティで、カーターがPGを狙う。距離は51m。解説の吉田氏が「今日のカーターは、PGもコンバージョンも、先ほどのDGも、もうゾーンに入っているといっていい精度です」と語る中、カーターはこの超ロングPGを見事に決める(27−17)。

残り時間を考えると、この芸術的PGで事実上「勝負あった」。あとはAUSが意地のトライを返せるかだったが、79分、NZ陣22mライン付近に攻め込んだAUSのパスのこぼれ球を、FBスミスがインターセプト。前方へ蹴ったパントを、後ろから走りこんだWTBバリットが拾い、インゴール中央に飛び込んだ。フィナーレを飾るにふさわしい鮮やかなトライで今大会を締めくくったオールブラックスが、W杯史上初の連覇を果たした。


1991年W杯でNZ代表の「ハカ」を初めて見て以来のオールブラックスファンである私にとっては、オールブラックスが連覇、そして史上最多の3回目の優勝を、他のチームに先んじて果たしてくれたことはこの上なくうれしい。エディージャパンの大活躍とオールブラックスの連覇で、イングランド大会はすばらしくメモリアルな大会になった。そして私のラグビー熱も再燃した。この熱を4年後まで続けるべく、我が「秩父宮通い」を再開しよう。


posted by デュークNave at 06:32| Comment(0) | スポーツ-ラグビー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする