【 映画:MFCで味わった「違うことの面白さ」 】
私は「映画ファン」というほどディープではないが、映画はいろいろ観てきた。私の子供の頃は特撮映画の全盛期で、ゴジラ、ガメラ、キングギドラ、ギャオス、モスラやエビラが登場する怪獣映画や、大魔神シリーズが大人気だった。その後興味は洋画に移り、「ゴッドファーザー」や「パピヨン」、「燃えよドラゴン」などを夢中で観ていた。特に我々男子がブルース・リーから受けた影響はすさまじく、「アチャー」の掛け声でカンフーごっこをやったり、手製のヌンチャクを作って学校に持ってきて、休み時間に教室の後ろでブルース・リーのまねごとをやるのだが、頭や顔や鼻にぶつけて血を流しているバカもいた(笑)。
またこの頃始まった「刑事コロンボ」シリーズにもメチャクチャはまった。ピーター・フォーク扮する猫背で貧相なコロンボ警部が、社会的地位のある裕福な殺人犯にネチネチ迫るストーリー展開が抜群に面白かった。口癖の「ウチのカミさんがね」など、小池朝雄さんの吹き替えの妙とも相まって、絶大な人気を博した。
その後も、「ロッキー1・2・3」、「宇宙戦艦ヤマト」、「ディア・ハンター」、「E.T.」、「アマデウス」、「JFK」など、決して頻繁にではないが、新作映画も何度か映画館に観に行った。またテレビの映画番組もよく観ていた。
こういうそれなりの映画鑑賞歴を持つ私だったが、前述の”Writer’s Club”の活動をメンバー不足でストップすることになり、その代わりとして私が考えたのが、月1の映画鑑賞会“My Favorite Cinema”(MFC)だった。毎回誰かがホストまたはホステスになり、自分のお薦めの映画のビデオまたはDVDを持参し、映画の見どころを説明する。観終わったあとで、それぞれが感想を述べ合う、というもの。ものを書くよりも参加のハードルが低かったので、初回からなかなかの参加人数になった(ちなみに初回は私がホストで、映画は「マイ・フェア・レディ」)。
面白かったのは、同じ時間に同じ映画を一緒に観たのに、メンバーが語る感想にはずいぶんと違いがあることだった。興味を持ったシーンも人によって違うし、同じシーンでも受ける印象が違う。その違いが面白くて、特に自分がホストでお薦め映画のビデオを持ってくる時は、「今日はどんな感想が出てくるかな」と楽しみにしていた。
このMFCも、私がどん底に落ちる少し前に活動を停止してしまったが、「この会に参加しなかったらまず観ることはなかっただろうな」という映画をいくつも観ることができ、とてもいい経験をさせてもらった。活動期間は長くはなかったが、発案者としては、十分意義のある会だったと思っている。
(振り返って印象的な作品は、「ショーシャンクの空に」「ナビィの恋」「初恋のきた道」「遠い空の向こうに」「キル・ビル」かな)
最近(といっても2年以上も前だが)観た映画は、かの「ボヘミアン・ラプソディ」だ。私はさほどディープなクイーンファンではないのだが、”We are the champions”が好きで、若い人たちが館内でえらく盛り上がっている映像をニュースで観て、「じゃあ1度観に行ってみるか」と出かけた。結果、7回も観てしまった(笑)。そのうち5回はいわゆる「応援上映」で、つまり映画を観るというより、歌いたくて行ったようなものだ。…ということで、お次は「歌・音楽」でございます。
2021年01月23日
2019年06月24日
大河ドラマ「いだてん」:「スポーツ」と「歴史」が同時に展開して、私にとっては最高に魅力的!
今年の大河ドラマ「いだてん」は、昨日の放映で第1ステージを終えた。主人公・金栗四三が、故郷の熊本から上京してマラソンに目覚め、日本初のオリンピック選手として1912年のストックホルム五輪に出場〜4年後のベルリン五輪が第一次世界大戦のために中止・失意の中で駅伝を発案し、箱根駅伝を創設〜1920年のアントワープ五輪に出場〜女子校の教師になって女子のスポーツ教育に尽力〜関東大震災後の支援・復興に奔走・・・という激動の生涯を描いた。そしてこの間々に昭和の大真打・古今亭志ん生の生き様をナレーションを兼ねて描き、大正末期と戦後の東京五輪の時代を行ったり来たりするという、とてもユニークなストーリー展開になっている。
しかしこの「いだてん」、視聴率がかなり悪いらしい。2週間前の放映ではついに大河ドラマ史上最低視聴率をマークしてしまったそうで、出演者や番組制作者の顔を曇らせているのだ。
その原因を、私なりに考えてみた。
視聴率低迷の原因・その1:描かれる時代が近すぎ、しかも馴染みがない
大河ドラマで描かれて人気を博すのは、やはり戦国時代や江戸幕末〜明治維新の動乱期が多い。またこの2つ以外の時代を描くにしても、源平合戦や応仁の乱、明治維新後の近代国家創設期など、ダイナミックに動いた時代が取り上げられる(去年の「西郷どん」もまさにそう)。そしてこれらに共通しているのは、「ある程度古く、歴史上有名な時代」なのだ。
しかし今年の「いだてん」で描かれているのは、第1ステージは明治末期から大正時代、第2ステージは昭和戦前から東京五輪というかなり近代で、これまでの大河ドラマではほとんど取り上げられなかった時代だ。大河ドラマファンにとっては「時代が近すぎて重みがない。しかもよく知らない」ということなのだろう。これが人気低迷の原因の1つだと思う。
視聴率低迷の原因・その2:主人公がさほどの有名人ではない
大河ドラマで人気を博す、戦国時代と幕末動乱期。この2つの時代は歴史上名高い人物を多く輩出しているので、主人公として取り上げるべき人材は枚挙にいとまがない。織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の「戦国の三大英傑」や、坂本龍馬・西郷隆盛・大久保利通・桂小五郎(木戸孝允)・勝海舟ら「幕末の風雲児・元勲」たちは、主役・脇役として何度登場したのか数えきれないほどだ。そしてこういう「歴史上の有名人」が登場する時代は、ドラマを観る側もなじみがあり、期待度も高くなる。
しかし今年のドラマの主人公は英傑でも元勲でもなく、歴史の大きな流れの中では、すごい有名人というわけではない。第1ステージの主人公・金栗四三は、日本初のオリンピック出場選手ということはスポーツ好きの人なら知っているだろうが、一般的には有名人とは言えない。さらに第2ステージの主人公・田畑政治は、東京五輪の誘致と開催に奔走した人なのだが、これはスポーツ大好き人間の私でもよく知らないし、まして一般の人はさらに知らないだろう。
「時代をよく知らない」「主人公もよく知らない」このダブルパンチが、人気低迷の原因になっていると思う。
(NHKが今年のテーマにこの時代とこの2人を選んだのは、言うまでもなく来年の東京五輪・パラリンピックを意識して、その「前年祭」的に盛り上げようという狙いだったのだろうが、「大河ドラマは、ある程度古い時代で、ある程度の有名人が出てくるのでないと観る気がしない」という、いわば【大河ドラマ原理主義者】によって、あえなく拒絶されてしまっているようだ)
・・・でも私にとっては、この「よく知らない時代と人物」を描いていることが逆にすごく新鮮で、世間の不人気とは対照的に、いつもより大いに楽しんでいる。何より我が大好物である「歴史」と「スポーツ」、これを同時に味わえているのがとても楽しいのだ。
金栗四三がオリンピックに出場するまでの過程は、まさに日本のスポーツが世界に歩み出す曙を描いているわけだし、ベルリン五輪が世界大戦のために中止となり、大きな失意の中で駅伝競走を発案し、今や正月の風物詩となっている「箱根駅伝」を創設したエピソードも興味津々だった。アントワープ五輪のマラソンでまたも敗れ、またも失意の中で、敗戦国・ドイツの女性たちがスポーツに打ち込む姿に感銘を受け、帰国後女子校の教師になって生徒たちにスポーツを教えて女子スポーツの先鞭をつけ、その流れの中から人見絹枝(1928年アムステルダム五輪で日本女子初のメダル(銀)を獲得)を輩出するというエピソードも、女子スポーツの草創期を描いていて、これまた興味津々だった。
加えて、合い間に描かれる古今亭志ん生の半生も面白い。志ん生を演じるたけしの語りも面白いし、志ん生の目線から見た世の中も面白い。大正のころと東京五輪のころを行ったり来たりする描き方も面白い。今年の大河ドラマは、これまでとは全くカラーが違う新鮮さとユニークさにあふれていて、私はそれを大いに楽しんでいる。
だから私は、世の不人気など全く気にならない。「こんなに面白いのに、何でわからないの?」と言いたいぐらいだ。でも、わからない人たちはどうでもいいし、そういう人たちを批判しても仕方がない。要は自分が楽しいんだからそれでいいのだ。
これから始まる第2ステージがどう展開していくのか、大いに楽しみだ。また新鮮な驚きと感銘を与えてくれることを期待したい。
最後に、QUEENの"Radio Ga Ga"の歌詞をもじって、エールを送らせていただく。
IDATEN, someone still love you!
(「いだてん」、忘れないでくれ。まだ君のファンがいるってことを!)
しかしこの「いだてん」、視聴率がかなり悪いらしい。2週間前の放映ではついに大河ドラマ史上最低視聴率をマークしてしまったそうで、出演者や番組制作者の顔を曇らせているのだ。
その原因を、私なりに考えてみた。
視聴率低迷の原因・その1:描かれる時代が近すぎ、しかも馴染みがない
大河ドラマで描かれて人気を博すのは、やはり戦国時代や江戸幕末〜明治維新の動乱期が多い。またこの2つ以外の時代を描くにしても、源平合戦や応仁の乱、明治維新後の近代国家創設期など、ダイナミックに動いた時代が取り上げられる(去年の「西郷どん」もまさにそう)。そしてこれらに共通しているのは、「ある程度古く、歴史上有名な時代」なのだ。
しかし今年の「いだてん」で描かれているのは、第1ステージは明治末期から大正時代、第2ステージは昭和戦前から東京五輪というかなり近代で、これまでの大河ドラマではほとんど取り上げられなかった時代だ。大河ドラマファンにとっては「時代が近すぎて重みがない。しかもよく知らない」ということなのだろう。これが人気低迷の原因の1つだと思う。
視聴率低迷の原因・その2:主人公がさほどの有名人ではない
大河ドラマで人気を博す、戦国時代と幕末動乱期。この2つの時代は歴史上名高い人物を多く輩出しているので、主人公として取り上げるべき人材は枚挙にいとまがない。織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の「戦国の三大英傑」や、坂本龍馬・西郷隆盛・大久保利通・桂小五郎(木戸孝允)・勝海舟ら「幕末の風雲児・元勲」たちは、主役・脇役として何度登場したのか数えきれないほどだ。そしてこういう「歴史上の有名人」が登場する時代は、ドラマを観る側もなじみがあり、期待度も高くなる。
しかし今年のドラマの主人公は英傑でも元勲でもなく、歴史の大きな流れの中では、すごい有名人というわけではない。第1ステージの主人公・金栗四三は、日本初のオリンピック出場選手ということはスポーツ好きの人なら知っているだろうが、一般的には有名人とは言えない。さらに第2ステージの主人公・田畑政治は、東京五輪の誘致と開催に奔走した人なのだが、これはスポーツ大好き人間の私でもよく知らないし、まして一般の人はさらに知らないだろう。
「時代をよく知らない」「主人公もよく知らない」このダブルパンチが、人気低迷の原因になっていると思う。
(NHKが今年のテーマにこの時代とこの2人を選んだのは、言うまでもなく来年の東京五輪・パラリンピックを意識して、その「前年祭」的に盛り上げようという狙いだったのだろうが、「大河ドラマは、ある程度古い時代で、ある程度の有名人が出てくるのでないと観る気がしない」という、いわば【大河ドラマ原理主義者】によって、あえなく拒絶されてしまっているようだ)
・・・でも私にとっては、この「よく知らない時代と人物」を描いていることが逆にすごく新鮮で、世間の不人気とは対照的に、いつもより大いに楽しんでいる。何より我が大好物である「歴史」と「スポーツ」、これを同時に味わえているのがとても楽しいのだ。
金栗四三がオリンピックに出場するまでの過程は、まさに日本のスポーツが世界に歩み出す曙を描いているわけだし、ベルリン五輪が世界大戦のために中止となり、大きな失意の中で駅伝競走を発案し、今や正月の風物詩となっている「箱根駅伝」を創設したエピソードも興味津々だった。アントワープ五輪のマラソンでまたも敗れ、またも失意の中で、敗戦国・ドイツの女性たちがスポーツに打ち込む姿に感銘を受け、帰国後女子校の教師になって生徒たちにスポーツを教えて女子スポーツの先鞭をつけ、その流れの中から人見絹枝(1928年アムステルダム五輪で日本女子初のメダル(銀)を獲得)を輩出するというエピソードも、女子スポーツの草創期を描いていて、これまた興味津々だった。
加えて、合い間に描かれる古今亭志ん生の半生も面白い。志ん生を演じるたけしの語りも面白いし、志ん生の目線から見た世の中も面白い。大正のころと東京五輪のころを行ったり来たりする描き方も面白い。今年の大河ドラマは、これまでとは全くカラーが違う新鮮さとユニークさにあふれていて、私はそれを大いに楽しんでいる。
だから私は、世の不人気など全く気にならない。「こんなに面白いのに、何でわからないの?」と言いたいぐらいだ。でも、わからない人たちはどうでもいいし、そういう人たちを批判しても仕方がない。要は自分が楽しいんだからそれでいいのだ。
これから始まる第2ステージがどう展開していくのか、大いに楽しみだ。また新鮮な驚きと感銘を与えてくれることを期待したい。
最後に、QUEENの"Radio Ga Ga"の歌詞をもじって、エールを送らせていただく。
IDATEN, someone still love you!
(「いだてん」、忘れないでくれ。まだ君のファンがいるってことを!)
2018年12月27日
「ボヘミアン・ラプソディ」〜"4 times repeater"になったのは、作品そのものの魅力もあるが、何といってもクイーンの楽曲のすばらしさ!
同じ映画を映画館で4度もリピートして観たのは初めてだ。世の流行に乗ったわけでもなければ、クイーンにドハマりしたというわけでもない。いいか悪いかはわからないが、何事も「広く浅く・つまみ食い」が私のポリシーなのだ。・・・しかしこの映画には、一度観たらまた観たくなる吸引力、魔力があった。
【 軽い気持ちで観に行ったが・・・ラストで涙腺崩壊! 】
フレディ・マーキュリーとクイーンを描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されていることは知っていたが、観に行こうとは思わなかった。クイーンの歌で知っているのは"We will rock you"と"We are the champions"ぐらいで、しかも歌えるのはともにサビの部分だけという、ファンともいえない程度の知識しかなかったからだ。クイーンのCDは1枚持っていたが("Greatest Hits”)、これは単に "We are the champions"を聴きたかっただけで(この歌はスポーツシーンでよく使われ、サッカーのチャンピオンズリーグの決勝戦のあとの表彰式でも、この歌がスタジアム内に大音響で流れるそうだ)、買ったあとも1度か2度通しで聴いただけだった("Bohemian Rhapsody"に至っては、冒頭の"easy come, easy go"のところで「あ、このメロディ聴いたことある!」と思っただけだった)。
ところがNHKの番組で、この映画がいわゆる「クイーン世代」の中高年だけでなく、リアルタイムで観ていない若い世代にもアピールしており、何度も繰り返し観る「リピーター」が続出していることを知った。「これは1度観てみようか」と思い、家から一番近い豊島園近くの映画館に観に行った。
ウイークデーの朝一番早い上映時間であり、場所も都心ではないせいか、館内はすいていた。NHKの番組では、満員の観客がペンライトを振っているシーンが描かれていたが、ここにはそんな熱気はない。「あれ、こんなもんか」と最初は拍子抜けした。
しかし映画が始まると、そんな周りのことなどどうでもよくなった。フレディの若き日の不遇、伝説のバンド・クイーンの誕生、プロデューサーや音楽配信会社との軋轢、メンバー同士の衝突や葛藤、名曲"Bohemian Rhapsody"や"We will rock you"の誕生秘話、フレディのセクシャリティの苦悩、そしてクライマックスのチャリティーコンサート「ライブ・エイド」での演奏シーン。2時間半の長編なのだが、グイグイ引きつけられてあっという間に観終わってしまう。ストーリー展開の面白さはもちろんだが、何といっても最大の魅力は、作中で演じられるクイーンの楽曲のすばらしさだ。
1回目は、ラストのコンサートでの演奏シーン、とりわけ"We are the champions"のシーンがすばらしく、涙腺が崩壊してボロボロ涙があふれてしまった。観終わった帰り道、「もう1回観に来よう!」とすぐに思った。
【 応援上映にハマり、またもや涙腺崩壊 】
2回目は次の日曜日まで待ちきれず、ウイークデーの夜の最終上映を観に行った(池袋サンシャイン)。ネットで調べたら「応援上映」と書いてある。その時はその意味がわからずに行ったのだが、歌のところで英語の歌詞の字幕スーパーが出るので、「ああ、これは一緒に歌っていいってことだな」と、ようやく意味を理解した。そういえば豊島園の時と比べると、周りの観客のノリも最初からえらくよかった。"We will rock you"の時はみんな足を踏み鳴らして手拍子をしていたし、ラストの"We are the champions"も、サビの部分ではけっこうみんな歌っていた。当然、今回もここで涙腺崩壊。
「これは楽しいな。でもどうせ歌うなら、もっと大勢でやりたいな」と、次の日曜日にまた観に行った(新宿ピカデリー)。2日前にネットで調べたら、朝一番の上映のせいかまだかなり空席があったので、予約せずに当日現地で申し込んだ。ところがその後の2日で席はほとんど埋まっており、最前列近くの10席足らずが空いているだけだった。あわてて申し込んで何とか席を確保できたが、「これだけ大勢が詰めかけるんだから、今日はすごい熱狂になるだろうな」と期待が高まった。・・・ところがうかつにも、この時は応援上映ではなく、フツーにおとなしく観るバージョンだったのだ。それでも楽しめはしたが、歌の場面ではとても黙って観ておれず、声は出さないが口パクで歌っていた。"We are the champions"での涙腺崩壊も同じ。・・・しかしやはりフラストレーションは残った。
【 カラオケボックスで歌い込み、いざ再度の応援上演へ! 】
「応援上映にもう1度行きたい!」と思ってネット調べると、まだあちこちでやっている。今度は他の映画館に行きたいと思ったが、時間が合わず、同じサンシャインに行くことにした。行くからには思い切り歌えるようになっておこうと思い、カラオケボックスに行って"Bohemian Rhapsody"や"We will rock you"、そして一番歌いたい"We are the champions"を何度も歌い込んだ。"Bohemian Rhapsody"は長いし、オペラパートが速くて変幻自在で歌いにくく、とてもきちんと歌えるまでにはいかなかったが、他の2曲はそれなりに歌えるようになった。
サンシャインの応援上映はNHKの番組ほどは観客が多くなかったが、もうそんなことは気にならなくなっていた。とにかく歌がかかったら目いっぱい歌おう、と思って構えていた。"We will rock you"のシーンになると足を踏み鳴らし、手拍子を打って声を張り上げた(・・・でもこの歌はやっぱり立ち上がって歌いたかったなあ。カラオケボックスではそうしていたし。本国のイギリスやアメリカだったら、客はみんな立ち上がって、スタンディングオベーション状態で歌ってるんじゃないかな? とてもおとなしく座ってなんかいられないもんな)。
ラストの「ライブ・エイド」のシーン、"Bohemian Rhapsody"でフレディがピアノのイントロを弾き始めると、早くも我が涙腺は崩壊寸前。このバラードパートがこの歌で一番好きなパートだからだ。"Mama, just killed a man, ...Mama, ooo...I don't wanna die, I sometimes wish I'd never been born at all..." メロディは美しいが歌詞は痛切。男の私でもこうなんだから、クイーンを世界的に注目させるトリガーになった日本の女性ファンの方々は、このパートでは号泣してしまうだろうな。
そしてオーラスの"We are the champions"。練習のかいがあってサビの前のパートもかなり歌えた。しかし最高に盛り上がるサビに入ると、またも涙腺が崩壊して声が出ない、というか口がヒクヒクして開かない。カラオケでの練習では平気だったんだが、映画館で大スクリーンで大音響でド迫力のシーンを見せられると、もう本能的に涙があふれてしまう。有無を言わせない圧倒的なパワー、感激の嵐で、身も心もKOだ。私が"4 times repeater"になってしまったのは、ひとえにクイーンの楽曲がすばらしいから、これに尽きる。
【 名曲が持つ吸引力、聴く者に与える活力 】
この「楽曲のすばらしさに魅かれて何度も観てしまう」には身に覚えがある。「アマデウス」と「マンマ・ミーア!」はともにDVDを持っていて何度も観たが(前者は少なくとも10回以上、後者も3,4回は観ているだろう)、リピーターになった最大の理由は、モーツァルトとアバの楽曲の魅力なのだ。アマデウスは「あの曲が聴きたい」「あのオペラシーンをまた観たい・聴きたい」、マンマ・ミーア!は「あの歌をまた聴きたい」という思いを止めようがなく、何度も観てしまうのだ。音楽や歌の、人を惹きつけ、活力を与えてくれる力のすばらしさはこれまでも何度も味わってきたが、「ボヘミアン・ラプソディ」で改めて体感することができた。
年末にすばらしいものを観ることができた。今年はいい年だったのかどうかはわからないが(亀の歩みとはいえ前進はしているから、少なくとも悪くはなかったと思うが)、2018年の締めくくりとしてはいい経験をさせてもらった。
Thank you Queen, thank you Freddie!
P.S. (As of February, 13)実はこの後さらに3度観に行き(もちろん3度とも応援上映!)、7 Times repeaterになってしまった(笑)。さすがにここで「ボヘミ通い」は打ち止めにするが、楽しい時間を過ごさせてもらった。心身ともにすごくいい刺激をもらったし、何よりうれしいのは、我が洋楽のレパートリーが増えたことだ。"Bohemian Rhapsody", "We will rock you", "We are the champions"はほぼ歌詞を暗記したので、カラオケでもかなり流ちょうに歌えるだろう。今は"Radio Ga Ga"を鋭意習得中で、いずれこれもカラオケで歌えるレベルになると思う。いや〜歌っていうものは、本当にいいもんですね!(水野晴郎調)
【 軽い気持ちで観に行ったが・・・ラストで涙腺崩壊! 】
フレディ・マーキュリーとクイーンを描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されていることは知っていたが、観に行こうとは思わなかった。クイーンの歌で知っているのは"We will rock you"と"We are the champions"ぐらいで、しかも歌えるのはともにサビの部分だけという、ファンともいえない程度の知識しかなかったからだ。クイーンのCDは1枚持っていたが("Greatest Hits”)、これは単に "We are the champions"を聴きたかっただけで(この歌はスポーツシーンでよく使われ、サッカーのチャンピオンズリーグの決勝戦のあとの表彰式でも、この歌がスタジアム内に大音響で流れるそうだ)、買ったあとも1度か2度通しで聴いただけだった("Bohemian Rhapsody"に至っては、冒頭の"easy come, easy go"のところで「あ、このメロディ聴いたことある!」と思っただけだった)。
ところがNHKの番組で、この映画がいわゆる「クイーン世代」の中高年だけでなく、リアルタイムで観ていない若い世代にもアピールしており、何度も繰り返し観る「リピーター」が続出していることを知った。「これは1度観てみようか」と思い、家から一番近い豊島園近くの映画館に観に行った。
ウイークデーの朝一番早い上映時間であり、場所も都心ではないせいか、館内はすいていた。NHKの番組では、満員の観客がペンライトを振っているシーンが描かれていたが、ここにはそんな熱気はない。「あれ、こんなもんか」と最初は拍子抜けした。
しかし映画が始まると、そんな周りのことなどどうでもよくなった。フレディの若き日の不遇、伝説のバンド・クイーンの誕生、プロデューサーや音楽配信会社との軋轢、メンバー同士の衝突や葛藤、名曲"Bohemian Rhapsody"や"We will rock you"の誕生秘話、フレディのセクシャリティの苦悩、そしてクライマックスのチャリティーコンサート「ライブ・エイド」での演奏シーン。2時間半の長編なのだが、グイグイ引きつけられてあっという間に観終わってしまう。ストーリー展開の面白さはもちろんだが、何といっても最大の魅力は、作中で演じられるクイーンの楽曲のすばらしさだ。
1回目は、ラストのコンサートでの演奏シーン、とりわけ"We are the champions"のシーンがすばらしく、涙腺が崩壊してボロボロ涙があふれてしまった。観終わった帰り道、「もう1回観に来よう!」とすぐに思った。
【 応援上映にハマり、またもや涙腺崩壊 】
2回目は次の日曜日まで待ちきれず、ウイークデーの夜の最終上映を観に行った(池袋サンシャイン)。ネットで調べたら「応援上映」と書いてある。その時はその意味がわからずに行ったのだが、歌のところで英語の歌詞の字幕スーパーが出るので、「ああ、これは一緒に歌っていいってことだな」と、ようやく意味を理解した。そういえば豊島園の時と比べると、周りの観客のノリも最初からえらくよかった。"We will rock you"の時はみんな足を踏み鳴らして手拍子をしていたし、ラストの"We are the champions"も、サビの部分ではけっこうみんな歌っていた。当然、今回もここで涙腺崩壊。
「これは楽しいな。でもどうせ歌うなら、もっと大勢でやりたいな」と、次の日曜日にまた観に行った(新宿ピカデリー)。2日前にネットで調べたら、朝一番の上映のせいかまだかなり空席があったので、予約せずに当日現地で申し込んだ。ところがその後の2日で席はほとんど埋まっており、最前列近くの10席足らずが空いているだけだった。あわてて申し込んで何とか席を確保できたが、「これだけ大勢が詰めかけるんだから、今日はすごい熱狂になるだろうな」と期待が高まった。・・・ところがうかつにも、この時は応援上映ではなく、フツーにおとなしく観るバージョンだったのだ。それでも楽しめはしたが、歌の場面ではとても黙って観ておれず、声は出さないが口パクで歌っていた。"We are the champions"での涙腺崩壊も同じ。・・・しかしやはりフラストレーションは残った。
【 カラオケボックスで歌い込み、いざ再度の応援上演へ! 】
「応援上映にもう1度行きたい!」と思ってネット調べると、まだあちこちでやっている。今度は他の映画館に行きたいと思ったが、時間が合わず、同じサンシャインに行くことにした。行くからには思い切り歌えるようになっておこうと思い、カラオケボックスに行って"Bohemian Rhapsody"や"We will rock you"、そして一番歌いたい"We are the champions"を何度も歌い込んだ。"Bohemian Rhapsody"は長いし、オペラパートが速くて変幻自在で歌いにくく、とてもきちんと歌えるまでにはいかなかったが、他の2曲はそれなりに歌えるようになった。
サンシャインの応援上映はNHKの番組ほどは観客が多くなかったが、もうそんなことは気にならなくなっていた。とにかく歌がかかったら目いっぱい歌おう、と思って構えていた。"We will rock you"のシーンになると足を踏み鳴らし、手拍子を打って声を張り上げた(・・・でもこの歌はやっぱり立ち上がって歌いたかったなあ。カラオケボックスではそうしていたし。本国のイギリスやアメリカだったら、客はみんな立ち上がって、スタンディングオベーション状態で歌ってるんじゃないかな? とてもおとなしく座ってなんかいられないもんな)。
ラストの「ライブ・エイド」のシーン、"Bohemian Rhapsody"でフレディがピアノのイントロを弾き始めると、早くも我が涙腺は崩壊寸前。このバラードパートがこの歌で一番好きなパートだからだ。"Mama, just killed a man, ...Mama, ooo...I don't wanna die, I sometimes wish I'd never been born at all..." メロディは美しいが歌詞は痛切。男の私でもこうなんだから、クイーンを世界的に注目させるトリガーになった日本の女性ファンの方々は、このパートでは号泣してしまうだろうな。
そしてオーラスの"We are the champions"。練習のかいがあってサビの前のパートもかなり歌えた。しかし最高に盛り上がるサビに入ると、またも涙腺が崩壊して声が出ない、というか口がヒクヒクして開かない。カラオケでの練習では平気だったんだが、映画館で大スクリーンで大音響でド迫力のシーンを見せられると、もう本能的に涙があふれてしまう。有無を言わせない圧倒的なパワー、感激の嵐で、身も心もKOだ。私が"4 times repeater"になってしまったのは、ひとえにクイーンの楽曲がすばらしいから、これに尽きる。
【 名曲が持つ吸引力、聴く者に与える活力 】
この「楽曲のすばらしさに魅かれて何度も観てしまう」には身に覚えがある。「アマデウス」と「マンマ・ミーア!」はともにDVDを持っていて何度も観たが(前者は少なくとも10回以上、後者も3,4回は観ているだろう)、リピーターになった最大の理由は、モーツァルトとアバの楽曲の魅力なのだ。アマデウスは「あの曲が聴きたい」「あのオペラシーンをまた観たい・聴きたい」、マンマ・ミーア!は「あの歌をまた聴きたい」という思いを止めようがなく、何度も観てしまうのだ。音楽や歌の、人を惹きつけ、活力を与えてくれる力のすばらしさはこれまでも何度も味わってきたが、「ボヘミアン・ラプソディ」で改めて体感することができた。
年末にすばらしいものを観ることができた。今年はいい年だったのかどうかはわからないが(亀の歩みとはいえ前進はしているから、少なくとも悪くはなかったと思うが)、2018年の締めくくりとしてはいい経験をさせてもらった。
Thank you Queen, thank you Freddie!
P.S. (As of February, 13)実はこの後さらに3度観に行き(もちろん3度とも応援上映!)、7 Times repeaterになってしまった(笑)。さすがにここで「ボヘミ通い」は打ち止めにするが、楽しい時間を過ごさせてもらった。心身ともにすごくいい刺激をもらったし、何よりうれしいのは、我が洋楽のレパートリーが増えたことだ。"Bohemian Rhapsody", "We will rock you", "We are the champions"はほぼ歌詞を暗記したので、カラオケでもかなり流ちょうに歌えるだろう。今は"Radio Ga Ga"を鋭意習得中で、いずれこれもカラオケで歌えるレベルになると思う。いや〜歌っていうものは、本当にいいもんですね!(水野晴郎調)
2018年12月09日
「ロストフの14秒」:我がベスト3に入る、濃密なスポーツドキュメントの絶品
こんなすごい、見ごたえのあるスポーツドキュメントは久しぶりに観た。観終わった瞬間、「これは『江夏の21球』・『延長17回』と並ぶ、オレにとってのスポーツドキュメント・ベスト3だな」と確信した。
「ロストフの14秒」これは、日本のサッカーファンにとっては忘れられない、今年のワールドカップロシア大会・決勝トーナメント1回戦、日本VSベルギー戦の後半アディショナルタイムで起こった、ベルギーの高速カウンターによる決勝ゴールのことだ。MF本田が左コーナーキックを蹴ってからMFシャドリが決勝ゴールを決めるまで、わずか14秒。このわずかな時間を、多角的な映像と、このプレーに関わった選手たちや関係者の証言・コメントで綴った、すさまじく濃密なドキュメンタリーである。
冒頭、「この14秒を28台のカメラの映像であらゆる角度から分析し、あのプレーの真相を描き出す」という番組の設定を聞かされた時、「これはものすごいドキュメンタリーになるな」と、私はすでにこの時点で心臓ドキドキの興奮状態にあった。そしてその内容は、この興奮と期待を裏切らない、いやそれをはるかに上回るものだった。
本田のCKを、GKクルトワはパンチングではなくキャッチを選ぶ〜これを読んでいたMFデブルイネはキャッチする前から前方へのダッシュを始める〜クルトワがデブルイネにパスを送り、デブルイネはトップスピードでドリブル突進〜ピッチの中央でボールを奪おうと対峙したMF山口蛍を、デブルイネはドリブルのスピードとリズムを変えていなし、DF長友がマークする中央のFWルカクではなく、右サイドを駆け上がるDFムニエにスルーパスを送る〜GKとDFの間へのキラーパスを防ごうとムニエへのマークに入った長友を見て、ムニエはダイレクトの横パスを出す〜MF長谷部がルカクをマークしてシュートコースを消していたが、ルカクは4秒前に左にシャドリがいるのを確認しており、迷いなくスルーを選ぶ〜ルカクがスルーした瞬間、シャドリは周囲がスローモーションに見えた。まさに「ZONE」:これがこの14秒の概略だが、番組では各シーンをさらに多角的に詳細に描いている。これを文章にすると膨大になってしまうので、これ以上はやめる。というより、ヘタに文章にすると稚拙になってしまう気がするので、あえてやめる。とにかく、すさまじく濃密なドキュメンタリーだった。
日本が喫したこの「サヨナラゴール」には、賛否両論がある。番組の中でも、元イングランド代表監督のファビオ・カペッロ氏は「日本は過信した。試合終了まで14秒しかなかったのに、ありえないCKを蹴った」と非難する。一方元日本代表監督のイビチャ・オシム氏は、ファウルでベルギーのプレーを止めなかったことについて「故意の反則は日本らしくない。フェアプレーを重視することで日本人は損をすることが多いが、それが日本人なのだ」と、日本人の民族特性を評価する。長友は、この試合の前のポーランド戦で、決勝トーナメント進出のために後半最後の10分間をボール回しで時間稼ぎをしたことに選手がみなもどかしさを感じ、「次の試合はどんなことがあっても真っ向勝負でぶつかっていく」という気持ちがみんなあった、と語る。
良くも悪くも、これが日本人気質、サムライスピリッツなのだ。ラグビーワールドカップ2015で、南アフリカ戦の最終盤、PGで同点にできる場面であえてスクラムを選択し、見事に「サヨナラトライ」を決めたエディジャパン。こういう劇的で華々しい勝利もあれば、西野ジャパンのように劇的に散ることもある。勝利にも敗北にも「美学」を求める、これが日本人なのだ。
「ロストフの14秒」。冒頭に書いた通り、これはスポーツドキュメントでは双璧と思っていた、1979年日本シリーズ・広島VS近鉄の第7戦の9回裏の攻防を描いた「江夏の21球」、1998年夏の甲子園準々決勝・横浜VSPL学園の死闘を描いた「延長17回」に並ぶ傑作だと思う。今こうして書いていても、まだ興奮が収まらない。素晴らしいものを観せてくれた。さすが天下のNHK、我がスポーツドキュメント・ベスト3に入る絶品に、「大あっぱれ」!
「ロストフの14秒」これは、日本のサッカーファンにとっては忘れられない、今年のワールドカップロシア大会・決勝トーナメント1回戦、日本VSベルギー戦の後半アディショナルタイムで起こった、ベルギーの高速カウンターによる決勝ゴールのことだ。MF本田が左コーナーキックを蹴ってからMFシャドリが決勝ゴールを決めるまで、わずか14秒。このわずかな時間を、多角的な映像と、このプレーに関わった選手たちや関係者の証言・コメントで綴った、すさまじく濃密なドキュメンタリーである。
冒頭、「この14秒を28台のカメラの映像であらゆる角度から分析し、あのプレーの真相を描き出す」という番組の設定を聞かされた時、「これはものすごいドキュメンタリーになるな」と、私はすでにこの時点で心臓ドキドキの興奮状態にあった。そしてその内容は、この興奮と期待を裏切らない、いやそれをはるかに上回るものだった。
本田のCKを、GKクルトワはパンチングではなくキャッチを選ぶ〜これを読んでいたMFデブルイネはキャッチする前から前方へのダッシュを始める〜クルトワがデブルイネにパスを送り、デブルイネはトップスピードでドリブル突進〜ピッチの中央でボールを奪おうと対峙したMF山口蛍を、デブルイネはドリブルのスピードとリズムを変えていなし、DF長友がマークする中央のFWルカクではなく、右サイドを駆け上がるDFムニエにスルーパスを送る〜GKとDFの間へのキラーパスを防ごうとムニエへのマークに入った長友を見て、ムニエはダイレクトの横パスを出す〜MF長谷部がルカクをマークしてシュートコースを消していたが、ルカクは4秒前に左にシャドリがいるのを確認しており、迷いなくスルーを選ぶ〜ルカクがスルーした瞬間、シャドリは周囲がスローモーションに見えた。まさに「ZONE」:これがこの14秒の概略だが、番組では各シーンをさらに多角的に詳細に描いている。これを文章にすると膨大になってしまうので、これ以上はやめる。というより、ヘタに文章にすると稚拙になってしまう気がするので、あえてやめる。とにかく、すさまじく濃密なドキュメンタリーだった。
日本が喫したこの「サヨナラゴール」には、賛否両論がある。番組の中でも、元イングランド代表監督のファビオ・カペッロ氏は「日本は過信した。試合終了まで14秒しかなかったのに、ありえないCKを蹴った」と非難する。一方元日本代表監督のイビチャ・オシム氏は、ファウルでベルギーのプレーを止めなかったことについて「故意の反則は日本らしくない。フェアプレーを重視することで日本人は損をすることが多いが、それが日本人なのだ」と、日本人の民族特性を評価する。長友は、この試合の前のポーランド戦で、決勝トーナメント進出のために後半最後の10分間をボール回しで時間稼ぎをしたことに選手がみなもどかしさを感じ、「次の試合はどんなことがあっても真っ向勝負でぶつかっていく」という気持ちがみんなあった、と語る。
良くも悪くも、これが日本人気質、サムライスピリッツなのだ。ラグビーワールドカップ2015で、南アフリカ戦の最終盤、PGで同点にできる場面であえてスクラムを選択し、見事に「サヨナラトライ」を決めたエディジャパン。こういう劇的で華々しい勝利もあれば、西野ジャパンのように劇的に散ることもある。勝利にも敗北にも「美学」を求める、これが日本人なのだ。
「ロストフの14秒」。冒頭に書いた通り、これはスポーツドキュメントでは双璧と思っていた、1979年日本シリーズ・広島VS近鉄の第7戦の9回裏の攻防を描いた「江夏の21球」、1998年夏の甲子園準々決勝・横浜VSPL学園の死闘を描いた「延長17回」に並ぶ傑作だと思う。今こうして書いていても、まだ興奮が収まらない。素晴らしいものを観せてくれた。さすが天下のNHK、我がスポーツドキュメント・ベスト3に入る絶品に、「大あっぱれ」!
2018年04月17日
大越キャスターの「落ち着き」と「熱さ」がいい! 〜NHKサンデースポーツ2020〜
「テレビは好きな番組を厳選して観る」これが私のテレビ鑑賞におけるポリシーである。ダラダラとテレビをつけっ放しにするのは嫌いで、しかもスポーツ番組を除き、リアルタイムに観ることもほとんどなく、ほとんどの番組は録画し、あとで観ている。早寝早起きの私にとって、観たい番組の放送時間が遅いことも一因だが、リアルタイムに観ようとするとその時間はテレビに縛られることになるので、それが一番イヤなのだ(録画しておけば、いつでも自分の都合のいい時間に観ることができる)。
さて、この我が「厳選」によって選抜された番組はというと…、「知恵泉」(NHKE)、「歴史秘話ヒストリア」(NHKG)、「日本人のおなまえっ!」(同)、「SNS英語術」(NHKE)、「ブラタモリ」(NHKG)、「サタデースポーツ」(同)、「将棋フォーカス」(NHKE)、「サンデースポーツ」(NHKG)、「アスリートの魂」(同)、「超人たちのパラリンピック」(同)、「グッと!スポーツ」(同)。これらの番組は毎週録画し、放送後に録画版を観ている。他にも、「NHKスペシャル」(NHKG)、「プロフェッショナル・仕事の流儀」(同)、「探検バクモン」(同)、「スイッチインタビュー・達人達」(NHKE)といった番組も、その時のテーマによって録画して観ている(今Nスぺでやっている「金正恩の野望」(全3回)シリーズは面白い)。また、以前NHKGでシリーズでやっていた「超入門!落語THE MOVIE」は2回のシリーズをすべて録画したし、今月からSeason 7が始まった「孤独のグルメ」(テレビ東京)も大好きな番組だ。
私はBS・CS放送は契約していない。お金の問題もないことはないが、何より「厳選」してもこれだけ観たい番組があるのだから、これ以上増やすわけにはいかないからだ(NHKで頻繁にやっているBSの番宣には、魅力的な番組がこれまた頻繁に出てくる。これをいちいち相手にしていては、時間がいくらあっても足りない)。限られたプライベートタイムを、ただテレビを観るだけで過ごすのはあまりに非建設的だ。
余談が、すぎた。(司馬遼太郎調)閑話休題、本題に入ろう。この4月から番組編成が大きく変わり、上記の「厳選」番組も変化があった。この中で特に私にとって注目だったのが、サンデースポーツのMCに大越健介キャスターが就いたことだ。大越キャスターには以前から好感を持っており、特に数年前に放送された「大越健介 メジャーリーグを行く」はすばらしい番組だった。この番組でとりわけ大きな感銘を受けたのは、名画「フィールド・オブ・ドリームス」の舞台となったトウモロコシ畑の野球場が、今もそのまま残されており、近隣の住民たちの憩いの場となっているという事実だった。これは、アメリカ人にとって野球が日々の生活と密着しており、まさに文化として浸透していること、野球が国全体の大いなる愛情によって包まれていることを見事に示すものであり、私はこのエピソードに、アメリカという国のスポーツに対する懐の深さ、広さを感じ、大いに感動した。
そういうスポーツのすばらしさを肌身で感じ、表現することができる大越キャスターが、私が毎週欠かさず観てきたサンデースポーツのMCになる。これはいやが上でも注目した。そしてここまで3度放送を観たが、期待にたがわぬいい内容になっている。この1週間のスポーツを振り返るコーナーもいいし、先週は田嶋幸三JFA会長が生出演し、ハリルホジッチ監督の解任の真相について語った(会長の生出演!こんなことができるのはこの番組だけだろう)。
何より好感するのは、大越キャスターの語り口とそのコメントだ。かつては報道番組のキャスターを務めており、その低音の落ち着いた語り口は観る者を安心させる。加えて、もと東大のエース(東京六大学では4年間通算で8勝を挙げ、東大から初めて日米大学野球のメンバーに選ばれた)というアスリートとしてのキャリアを生かし、アスリート目線で、アスリートの心理を読んだ深みのあるコメントには感嘆させられる。そしてその言葉の端々からは、スポーツへの深い愛情、熱き想いがひしひしと感じられるのだ。
「落ち着きからにじみ出る熱さと愛情」。サンデースポーツ2020での大越キャスターに、これからも大いに期待し、大いに楽しみたい。
さて、この我が「厳選」によって選抜された番組はというと…、「知恵泉」(NHKE)、「歴史秘話ヒストリア」(NHKG)、「日本人のおなまえっ!」(同)、「SNS英語術」(NHKE)、「ブラタモリ」(NHKG)、「サタデースポーツ」(同)、「将棋フォーカス」(NHKE)、「サンデースポーツ」(NHKG)、「アスリートの魂」(同)、「超人たちのパラリンピック」(同)、「グッと!スポーツ」(同)。これらの番組は毎週録画し、放送後に録画版を観ている。他にも、「NHKスペシャル」(NHKG)、「プロフェッショナル・仕事の流儀」(同)、「探検バクモン」(同)、「スイッチインタビュー・達人達」(NHKE)といった番組も、その時のテーマによって録画して観ている(今Nスぺでやっている「金正恩の野望」(全3回)シリーズは面白い)。また、以前NHKGでシリーズでやっていた「超入門!落語THE MOVIE」は2回のシリーズをすべて録画したし、今月からSeason 7が始まった「孤独のグルメ」(テレビ東京)も大好きな番組だ。
私はBS・CS放送は契約していない。お金の問題もないことはないが、何より「厳選」してもこれだけ観たい番組があるのだから、これ以上増やすわけにはいかないからだ(NHKで頻繁にやっているBSの番宣には、魅力的な番組がこれまた頻繁に出てくる。これをいちいち相手にしていては、時間がいくらあっても足りない)。限られたプライベートタイムを、ただテレビを観るだけで過ごすのはあまりに非建設的だ。
余談が、すぎた。(司馬遼太郎調)閑話休題、本題に入ろう。この4月から番組編成が大きく変わり、上記の「厳選」番組も変化があった。この中で特に私にとって注目だったのが、サンデースポーツのMCに大越健介キャスターが就いたことだ。大越キャスターには以前から好感を持っており、特に数年前に放送された「大越健介 メジャーリーグを行く」はすばらしい番組だった。この番組でとりわけ大きな感銘を受けたのは、名画「フィールド・オブ・ドリームス」の舞台となったトウモロコシ畑の野球場が、今もそのまま残されており、近隣の住民たちの憩いの場となっているという事実だった。これは、アメリカ人にとって野球が日々の生活と密着しており、まさに文化として浸透していること、野球が国全体の大いなる愛情によって包まれていることを見事に示すものであり、私はこのエピソードに、アメリカという国のスポーツに対する懐の深さ、広さを感じ、大いに感動した。
そういうスポーツのすばらしさを肌身で感じ、表現することができる大越キャスターが、私が毎週欠かさず観てきたサンデースポーツのMCになる。これはいやが上でも注目した。そしてここまで3度放送を観たが、期待にたがわぬいい内容になっている。この1週間のスポーツを振り返るコーナーもいいし、先週は田嶋幸三JFA会長が生出演し、ハリルホジッチ監督の解任の真相について語った(会長の生出演!こんなことができるのはこの番組だけだろう)。
何より好感するのは、大越キャスターの語り口とそのコメントだ。かつては報道番組のキャスターを務めており、その低音の落ち着いた語り口は観る者を安心させる。加えて、もと東大のエース(東京六大学では4年間通算で8勝を挙げ、東大から初めて日米大学野球のメンバーに選ばれた)というアスリートとしてのキャリアを生かし、アスリート目線で、アスリートの心理を読んだ深みのあるコメントには感嘆させられる。そしてその言葉の端々からは、スポーツへの深い愛情、熱き想いがひしひしと感じられるのだ。
「落ち着きからにじみ出る熱さと愛情」。サンデースポーツ2020での大越キャスターに、これからも大いに期待し、大いに楽しみたい。