【 佐々木朗希の「あっぱれ!」 】
@ 先発として初勝利:潜在能力の高さを見せる
正直、佐々木のメジャー挑戦は「まだちょっと早いんじゃないか」と思っていた。ロッテ時代に史上最年少で完全試合を達成するなど、先発投手としての能力の非凡さは示していた。だが規定投球回数に達したことが一度もなく、シーズン通しての安定したプレーをした実績がなかった。体つきも華奢で、「試合数が多く移動距離も長く、パワーとスタミナが求められるメジャーリーガーを務めるには、まだちょっと線が細いな…」と懸念していたのだ。
しかし160qをコンスタントに超える快速球と鋭く多彩な変化球を持ち、投手としての高い能力は有していたので、デビュー当初からそれなりに結果は出した。早くも5月3日にはブレーブス戦で初勝利を挙げ、10試合(うち先発は8試合)に登板して36回1/3を投げ、1勝1敗、防御率4.46、奪三振28という成績を残した。
だが初勝利から2週間も経たない5月15日に右肩の故障で故障者リストに入り、長期離脱を余儀なくされる。やはりMLBでは、長いイニングを投げるスターターはまだ荷が重かったのか…?
A PSMでリリーフで大活躍:不安定だったドジャース救援陣を救う
今季のドジャースは、ナショナルリーグ西地区の優勝は「例年通り」果たしたものの、その道のりは昨季以上のいばらの道だった。同地区のライバル・パドレスと最後までデッドヒートを繰り広げ、辛うじて優勝はしたが、勝率はナ・リーグ地区優勝3チーム中最低だった。そのため今季のPSMは、一番下のワイルドカードシリーズ(WCS)からの長丁場になってしまった(昨季はその一つ上のディビジョナルシリーズ(DS)からだった)。
その大きな要因は、リリーフ陣の不安定さにあった。先発陣が5回以上を安定した投球で投げ切り、勝利投手の権利を得て降板しても、救援陣が打ち込まれて逆転負けを喫してしまう。私見ではその最大の被害者が山本由伸で、このパターンで勝ち星を逃したことが何度もあった(これがなければ今季の山本は15〜6勝はできていたはずで、ナ・リーグの最多勝を争っていただろう)。PSMに入ってもこの不安定さは解消できず、勝ちはするものの終盤に失点するという試合がいくつもあった。
そこに現れたのが、故障者リストから復帰した佐々木である。レッズとのWCS第2戦で、9回に登板してしっかりと最後を締めた。これを皮切りに、「救世主&新守護神」ロウキ・ササキの快投が始まる。
フィリーズとのDS第1戦で9回を抑えて初セーブを挙げると、続く第2戦でも、9回の1点差に詰め寄られた窮地で見事に火消しを果たす。さらに第4戦では、8〜10回に打者9人をパーフェクトに抑える快投を演じ、11回のサヨナラ勝ちにつなげた。このあたりから、佐々木がブルペンからマウンドに向かうと、場内から「ロウキ!」コールがさかんに沸き起こるようになった。
ブリュワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第1戦では、PSMで初めて打ち込まれて抑えに失敗したが、再びリリーフした第3戦では9回を三者凡退に仕留め、リベンジを果たす。
そして迎えたブルージェイズとのWS、史上に残る延長18回の死闘となった第3戦。同点の8回表、1死1・2塁のピンチで登板し、内野ゴロ2つに討ち取る。9回も無失点に抑えてしっかりと役目を果たした。さらに第6戦でも、2点リードの8回から登板し、無失点で切り抜ける。9回、死球と2塁打で無死2・3塁となったところでグラスノーのリリーフを仰いだが、グラスノーが後続を断って事なきを得た。
このPSMでは打たれることもあったが、レギュラーシーズンのほとんどを棒に振った佐々木がリリーフとしてPSMから復帰し、期待以上の大活躍を見せたのはサプライズ、うれしい誤算だった。新守護神・佐々木が、不安定だった「後ろ」に安定をもたらしたのだ。
B 来季への期待:スターターかクローザーか
今季のファイナルではリリーフとして存在感を示したくれたが、来季はどうなるのか。もともとは先発志望のはずなので、「これを機にクローザーに転向」にはたぶん抵抗があるはずだ。これは本人の意思とロバーツ監督らの方針との兼ね合いだが、まだ若く、才能にあふれる前途有望な選手なので、その能力を最大限に生かす道を進んでほしい。これがMLBファン、ドジャースファンのピュアな願いである。




