2018年11月07日

オイラーって何だ?と思ったら 〜フィギュアスケート・新ルール〜

今季のフィギュアスケート・グランプリシリーズは、はや前半の3戦を終えた。日本勢は、男子は平昌五輪でワンツー・フィニッシュを決めた羽生結弦宇野昌磨がともに優勝。女子も宮原知子が優勝、坂本花織が2位と3位で24点を獲得し、ファイナルへの有力候補になっている。昨季の世界選手権銀の樋口新葉が表彰台を逃したのは残念だが、期待の新星・山下真湖が見事2位に入り、日本勢の層の厚さを世界に示した。

対する外国勢は、男子はネイサン・チェンが優勝、ミハル・ブレジナが2戦とも2位で26点を獲得。女子はやはりロシア勢が強く、平昌五輪金のアリーナ・ザギトワ、エリザベータ・トゥクタミシェワがともに優勝。五輪銀のエフゲニア・メドベージェワは3位とやや出遅れたが、最終戦のフランス大会で優勝すればファイナル進出はほぼ確実だ。


今のところ実力者の大きなつまずきはほぼなく、このままいけばGPファイナルは、男女ともトップクラスの選手たちによる熾烈でハイレベルな戦いになりそうだ。フィギュアファンとしては、ぜひそういう戦いを見たいものだ。


ところで今季は、大幅なルール変更が行われた。主な変更ポイントをまとめると、

@ 男子のFSの演技時間が4分30秒から4分に短縮

A 男子のFSのジャンプが8本から7本に減少

B GOE(出来栄え点)の幅が、−3〜+3の7段階からー5〜+5の11段階に拡張

C ジャンプの基礎点が減少

D 演技後半のジャンプの基礎点が、「すべて1.1倍」から、「SPでは最後のジャンプのみ、FSでは最後の3つのジャンプのみ1.1倍」に変更

E FSの4回転ジャンプのリピートが、2種類から1種類に減少



この変更の狙いを鑑みると、GOEの幅を増やし、ジャンプの基礎点や数を減らしたのは、より精度の高いジャンプを求めていることになる。また後半のジャンプのプラスアルファを限定したのは、昨季のザギトワやメドベージェワのような、SPもFSもジャンプをすべて後半に持ってくるような演技構成は無意味になるということだ。要するに演技全体の構成のバランスを求めているのだろう。


このルール変更で1つ懸念されるのは、ジャンプの精度を求めることで、よりハイレベルなジャンプへの意欲がそがれるのではないかということだった。女子ではこの変更前からその傾向は出ており、唯一の3アクセルジャンパー・浅田真央の引退以降、3アクセルに挑む選手はほぼ消滅してしまった(トゥクタミシェワが4年前にチャレンジして見事決めたが、その後低迷し、チャレンジへの気運は潰えた)。

しかし今季の3戦を見る限り、上記の懸念は杞憂にすぎなかったかもしれない。女子では、4年前のチャレンジャー・トゥクタミシェワが復活し、第2戦のスケートカナダで3アクセルを鮮やかに決め、4年ぶりのGPシリーズ優勝を飾った。そしてわが日本期待の超新星・紀平梨花が、次戦・NHK杯でGPデビューする。昨季の全日本で3アクセルー3トウループのコンビネーションを世界で初めて決め、見事表彰台に上って鮮烈なシニアデビューを飾った。今季からGPシリーズに本格参戦するが、「伊藤みどり〜浅田真央」と続く「日本の3アクセルの系譜」を継ぐことができるか、大注目である。

そして男子では、五輪連覇の王者・羽生結弦が、またも大胆なチャレンジを見せてくれている。第3戦のフィンランド大会(今季から中国大会に代わって開催される。これは大正解。中国大会はいつも観客の入りが悪く、見るたびに「これしか客が入らないんなら他の国でやればいいのに」と思っていた)のFS後半に、4トウループー3アクセルのシークエンスを組み入れているのだ。これも世界初の試み。残念ながら着氷が乱れてGOEでマイナス評価になってしまったが、決して現状に満足しない彼らしい試みである。


・・・と、ここで「あれっ?」と思ったことがあった。4トウループー3アクセルは、コンビネーションではなくシークエンスになる。つまりトウループは右足着氷なので、コンビネーションにできるのは同じトウループかループしかない。3アクセルを跳ぼうと思ったら、ターンして左足で踏み切らなければならないのだ。だからこの組み合わせは、コンビネーションではなくシークエンスと呼ばれるのだ。

こう考えていたら、羽生や宇野らトップ選手たちがよく跳ぶ「3−1−3」のコンビネーション、あれは羽生なら3アクセルー1ループー3サルコウ、宇野なら3アクセルー1ループー3フリップと呼ばれていたが、セカンドジャンプがループなら、サードジャンプはトウループかループしか跳べないんじゃないか。今まで実況や解説でセカンドジャンプをループと呼んでいたのを何の疑問も持たずに聞いていたが、羽生の4−3.5について考えていたら、「3−1−3」のコンビネーションについてこういう疑問が沸いてきたのだ。

そしてその時ふと頭に浮かんだのが、「そういえば今季は3−1−3のセカンドジャンプを『オイラー』って呼んでるな。オイラーって何だ?」という疑問。そこでネットで調べてみたら、呼び方がループからオイラーに変わったとのこと。オイラーとはハーフループの別名で、Euと表記される。基礎点は1ループと同じになるので、コンビネーションの基礎点も従来と変わらない。なるほどハーフループなら、踏み切る足を左に変えてジャンプできるわけだ。ということでこの疑問は解消、納得しました。


さて、さまざまなルール変更が加わった今季のフィギュア界。この変更がどのような変化をもたらすのか、それとも大勢に影響はないのか。シリーズ後半戦を刮目して見つめよう。



posted by デュークNave at 23:03| Comment(0) | スポーツ-フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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