2018年07月01日

「ゲルマン魂」は潰え、「大和魂」は生き残った 〜 2018 FIFA World Cup Russia 一次リーグ総括(2)〜

【 Group E 】(カッコ内は勝ち点)

@ ブラジル(7) Aスイス(5) Bセルビア(3) C コスタリカ(1)

母国開催だった前回大会、最後の2試合(準決勝・3位決定戦)で計10失点を喫したサッカー王国・ブラジル。今大会はその雪辱を誓った大会だった。初戦でスイスと引き分けた時はどうなることかと思ったが、その後はさすがの安定感を見せて連勝、トップ通過を果たした。スイスはセルビアとの接戦を制し、コスタリカ戦でも終始試合をリードする持ち前の堅実さを発揮し、2位で予選通過。セルビアは初戦で勝利したがスイスに競り負け、最終戦のブラジル戦では力負けした。コスタリカは前回ベスト8のような旋風は起こせなかったが、最終・スイス戦で引き分けに持ち込む粘りを見せた。


【 Group F 】

@ スウェーデン(6) Aメキシコ(6) B韓国(3) Cドイツ(3)

一次リーグ最大の大波乱。前回大会優勝のドイツは、初戦でメキシコに0−1で敗れ、次戦のスウェーデン戦でも後半アディショナルタイムまで1−1の同点。しかしラストワンプレーのFKからクロースが起死回生の決勝ゴールを決め、辛くも生き残った。

最終戦は、このグループで最も実力の劣る韓国。当然ドイツが快勝するだろうと誰もが思ったし、同時進行のメキシコ−スウェーデン戦でスウェーデンがリードしており、ドイツは韓国に勝ちさえすれば決勝トーナメントに行ける状況になった。

ところが、圧倒的に攻めながらもゴールが奪えない。何よりシュートが枠に行かない。こうして攻めあぐねているうちに後半のアディショナルタイム、韓国のカウンターに遭い、コーナーキックからゴールを決められる。一度はオフサイドの判定になったが、VAR(ビデオ判定)によってゴールが認められた。さらにアディショナルタイム6分、GKノイアーが敵陣に攻め上がったが、ボールを奪われて自陣に大きくけり出され、無人のゴールにけり込まれた。0−2で韓国に敗れたドイツは、得失点差で韓国を下回り、まさかのグループ最下位での敗退となった。

過去4大会連続ベスト4以上という、抜群の安定感を誇ったドイツ。今大会も第2戦で最後の最後で決勝ゴールを決めるという「不屈のゲルマン魂」を見せてくれた時は、「何だかんだ言って、今回も決勝トーナメントには勝ち進むんだろうな」と、ドイツファンの私は楽観視していた。韓国戦の後半、なかなか点が取れずに苦しんでいても、「いや、最後にはきっとゴールを決めるだろう」と信じていた。韓国に負けるなんて、しかもグループ最下位で敗退するなんて、まったく思いもしなかったのだ。

日本人なんだから、普通ならお隣の韓国を応援し、韓国の奇跡的な勝利を喜ぶべきなのだろうが、私はかなりのドイツファンなので、この衝撃の結末には言葉を失っている。もしドイツが2位ででも勝ち上がっていれば、決勝トーナメント初戦でブラジルと当たっていた。これは前回ブラジル大会準決勝の再現であり、ブラジルにとっては「マラカナンの惨劇」のリベンジマッチになる。これは世界中が注目する一戦になったはずだ。しかし、そのドリームマッチも夢と消えた。今はただ、残念!としか言いようがない。


【 Group G 】

@ ベルギー(9) Aイングランド(6) Bチュニジア(3) Cパナマ(0)

このグループは順当な結果になった。FIFAランク3位の「赤い悪魔」ベルギーは、その得点力をいかんなく発揮して実力通りの首位通過。イングランドもパナマから6点を奪うなど、伝統国の強みを見せた。チュニジアはパナマに逆転勝ち、40年ぶりのW杯勝利を挙げた。初出場のパナマは、チュニジア戦で先制したが守り切れず、全敗で大会を終えた。


【 Group H 】

@ コロンビア(6) A日本(4) Bセネガル(4) Cポーランド(3)

最終的な勝ち点差から見ると、一次リーグ最大の激戦地となった。第3戦を前に、日本は勝ち点4で首位。ポーランド戦で引き分け以上で決勝トーナメント進出決定。敗れても、セネガルがコロンビアに勝てば進出決定、コロンビアが勝てば日本とセネガルとの得失点差などの争いになる。また日本が敗れてセネガルとコロンビアが引き分けると、日本は一次リーグ敗退。こういう状況だった。


日本は過去2試合から先発メンバーを6人入れ替え、フレッシュな顔ぶれとなる。FW武藤、MF酒井(高)、DF槙野は初出場だ。これは疲労度を鑑みての西野監督の判断だったが、決勝トーナメントに万全のコンディションで臨みたいという狙いもあったに違いない。

前半は2試合ともスコアレスで終了。このままなら日本は1位か2位で通過できる。しかし後半14分、懸案のセットプレー(FK)からまたも失点する。このままでは敗退が決まってしまう日本は懸命に攻めるが、なかなか決定機が作れない。しかし後半30分ごろ、コロンビアが先制点を挙げたという情報が入る。このままだと、日本とセネガルが勝ち点・得失点差・総得点で並び、直接対戦も引き分けのため、「フェアプレーポイント」という、警告や退場をポイント化したものが少ない方が上位という選定方法が用いられる。この時点で日本は4、セネガルは6。このまま行けば勝ち残れると知った西野監督は、武藤に代えてキャプテン長谷部をピッチに送り、攻めずにボールをキープして時間を使う戦術変換を指示した。サムライブルーたちは自陣でパスをひたすら回す。ポーランドの選手たちも、勝って勝ち点3獲得で満足と、無理にボールを取りに行かない。しかしこれは、大きな賭けだった。もしセネガルが同点に追いついたら日本は敗退だ。もしそうなっていたら、西野監督は批難を囂々と浴びていただろう(実際私も、テレビ画面に向かって「もしセネガルが同点に追いついたらどうすんだよ!」と叫んでいた)。

試合はこのまま終了、0−1で日本の負け。その直後、コロンビア勝利・セネガル敗戦の報が伝わる。西野監督とサムライブルーは、苦渋の選択の末、賭けに勝った。フェアプレーポイント差での一次リーグ通過は、この制度が制定されてから初めてのことだった。まさに熾烈、際どい戦いだった。

ポーランド戦終盤での戦術変換には、海外のメディアからかなりの批判が浴びせられているようだ。しかしこれは今大会のグループCの第3戦・フランス−デンマーク戦でも行われていたことであり、過去のW杯でもたびたび起こったことだ。それにデンマークの場合は、フランスと引き分ければ一次リーグ通過が決まり、リスクは全くなかったが、日本の場合は、セネガルが同点に追いついていたら敗退という大きなリスクがあったのだ。だから西野監督の決断はまさに「賭け」であり、冷静に考えてみれば賢明な判断だったといえる。

それと結果的に大きかったのが、ポーランド戦で先発メンバーを6人替え、「主力」と思われるメンバーを休ませて温存できたことだ。西野監督は試合前にこう語っている。「過去2度決勝トーナメントに進出した時は、(一次リーグで)全てを出し尽くした感じで、チームに余力があったかどうか」。これを鑑みての今回の主力温存だったわけだが、そのためにポーランドに2点以上取られて負けていたら敗退が決まっていたわけで、こういう意味ではこの主力温存ももう1つの賭けだったといえる。この重要な局面で2つもの賭けに打って出る西野監督はすごい戦略家だと思うが、その賭けに2つとも勝ってしまうところは、元日本代表GKの川口能活選手が語っていた通り、確かに「勝ち運の持ち主」だなと思う。

さて、決勝トーナメントである。日本にとっては3度目だが、相手のベルギーは、2002年のトルコ、2010年のパラグアイよりもはるかに強敵だ。世界ランク3位、一次リーグではトップの9得点を挙げ、その攻撃力・決定力は脅威である。こんな強敵が相手となったら、もう思い切りぶつかっていくしかない。相撲で言えば、横綱・大関級の力士に真正面から当たっていくようなものだ。小細工はせず、世界の強豪にどれだけ通用するか、堂々たる戦いを見せてほしい。

posted by デュークNave at 06:20| Comment(0) | スポーツ-サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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