2017年11月20日

宇野昌磨、執念のファイナル進出/ロシアティーネージャーがまたもや席捲 〜フィギュアGPシリーズ第5戦・フランス杯〜

GPシリーズもいよいよ大詰め。4戦を終えて男子はミハイル・コリヤダ、女子はエフゲニア・メドベージェワ、カロリーナ・コストナーがファイナル進出を決めている。今大会も、順位によってファイナル進出が決まる選手が男女ともいる。さて、結末はいかに?


【 女子 】

ポイントランキング上位の3選手が順当に表彰台を占め、順当にファイナル進出を決めた。しかしその演技内容は、SP・FSともミスが散見し、やや低調だった。

ケイトリン・オズモンドはSPは完璧だったが、FSでは演技後半ジャンプにミスが目立ち、4位にとどまった。しかしSPの貯金が効いて表彰台は確保し、2年連続のファイナル進出を決めた。得意の豪快なジャンプがファイナルでも炸裂するか。

アリーナ・ザギトワは中国杯と同様、SPでジャンプにミスが出てまさかの5位発進。しかしその遅れをFSで取り戻すのも中国杯と同じ展開で、7つのジャンプをすべて後半に持ってくるタフなプログラムを、またもや完璧にこなした。中国杯を上回るPBをマークし、またもや逆転優勝。堂々の初のファイナルの椅子を手にした。FSでのこの爆発力、とてもシニアデビューとは思えない。ファイナルの大舞台では、2戦ともミスが出たSPをどう仕上げるかが課題になるだろう。

ミスが出た上位2選手を尻目に、SP・FSとも抜群の安定感を見せたのがマリア・ソツコワだった。持ち前の優雅で柔らかな演技を今回もふんだんに見せ、華麗な舞いを披露した。この人はザギトワのような爆発力はないが、確実に上位を占める堅実さがあり、観ていて安心できる。ここでも総合2位を確保し、昨季に続いてのファイナルの座をつかんだ。


三原舞依はまたも惜しいところで表彰台を逃した。SPのコンビネーションジャンプで、壁に近づきすぎてセカンドジャンプが乱れ、4位と出遅れる。FSではすべてのジャンプをきれいに決め、ほぼ完璧な演技を披露したが、上位3選手の牙城を崩すには至らなかった。あのSPでのジャンプのまさかのミスがなければ…と悔やまれる。この悔しさを、暮れの全日本に思い切りぶつけてほしい。

白岩優奈はSPをノーミスでこなし、PBをマークして3位発進。FSでもきらびやかな笑顔を見せながら、のびのびとした演技を披露した。最後の3ループで転倒したのが惜しかったが、ここでもPBを更新し、総合は6位。完璧ではなかったものの、本人としては今大会はかなり満足度が高かったのではないだろうか。暮れの全日本で、また華のある演技を見せてほしいものだ。


この結果、ファイナルへの椅子は5つが埋まり、残るは1つ。24ポイントで待つ樋口新葉の初のファイナル進出なるかは、最終戦・スケートアメリカの結果次第だ。


【 男子 】

今大会の男子シングルは、1人の選手以外語る気がしない。宇野昌磨! 第2戦・スケートカナダで優勝後にインフルエンザを発症し、練習を再開したのは1週間前。表彰台を確保できれば3年連続のファイナル進出が決まる今大会、コンディションが万全なら十分射程内なのだが、体力不足・練習不足で、果たしてどこまでできるのか。


SP、冒頭の4フリップで転倒。飛び上がった瞬間、軸が傾いていた。「やはりこれは無理なのか」と観ていたが、後半の4トウループ・3トウループを見事に決める。これはもう「根性! 気合い!」としか言いようがない。続く3アクセルもやや揺らぎながらこらえる。PBには遠く及ばないものの90点台は確保し、フェルナンデスに続く2位につけた。

そしてFS。フェルナンデスが優勝すれば4位でもファイナル決定という状況だったが、今のコンディションでは4分半の長丁場、ジャンプがガタガタになってもおかしくはない。実際直前の6分間練習でも、4ループは跳ばず、4フリップはことごとく抜けていた。観る側も、恐らくは本人も不安なまま、演技に入った。

冒頭、練習では避けていた4ループに挑み、見事に降りる。続くイーグルからの3アクセルは、好調時と変わらない、流れるような着氷。3ルッツは着氷が乱れたが、大きなミスはないまま演技は後半へ。大きな山場・4フリップを、両足着氷ながら降りる。これも「気合い!」である。しかしこの後4トウループで転倒、続く4トウはこらえるが、宇野のトレードマークといえる3アクセル−1ループ−3フリップ(サードジャンプをサルコウではなくフリップにするのが宇野オリジナル)で転倒。しかし最後のジャンプ・3サルコウ−2トウを決め、コレオシークエンス〜コンビネーションスピンと、最後までスピードが落ちなかった。これまた「根性!」である。「今は自分が一番の敵」と語っていた宇野、守りに入らずに攻め続けた。FSでは1位、総合ではしっかり2位を守り、ファイナル進出を手にした。

試合後のインタビューで「これ以上につらい試合は、今後一切ないかなと思います。『この辛さがあったから今がある』と、今シーズンの後半に言える試合にできたらいいなと思います」と語った宇野。まさに万感の思いがこもった言葉だろう。最悪の状態でも踏みとどまることができる精神力と、それを支える技術力。大事な五輪シーズンにこういう経験ができたことは、彼をさらに大きく成長させるのではないか。この意味で今回のこの苦境は、まさに「禍転じて福」。それを世界に知らしめる大舞台が、間近に迫っている。


男子は第5戦を終えて、まだファイナルへの椅子が4つも残っている。大本命・羽生結弦がリタイアし、常連のフェルナンデスやパトリック・チャンがほぼ無理という状況だからだ。最終戦・スケートアメリカではネイサン・チェン、ボーヤン・ジンの「驚異の4ジャンパー」や、セルゲイ・ボロノフ、アダム・リッポンらが最後の椅子を争う。結果次第ではジェイソン・ブラウンが残る可能性もある。さて、6人の顔ぶれはどうなるのか!


posted by デュークNave at 06:30| Comment(0) | スポーツ-フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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