2017年10月30日

宇野昌磨、もはや貫禄の優勝/本田真凜はほろ苦いシニアデビュー 〜フィギュアGPシリーズ第2戦・スケートカナダ〜

男子は昨季の世界選手権銀メダリスト・宇野昌磨と、2011〜13年に世界選手権3連覇のパトリック・チャン、ジェイソン・ブラウンが登場。女子は参戦4年目の本郷理華と、これがシニアデビューとなる本田真凜の日本勢に、アンナ・ポゴリラヤ、マリア・ソツコワのロシアティーネージャー、アシュリー・ワグナー、昨季世界選手権銀メダリストのケイトリン・オズモンドと実力者がひしめき、激戦が予想された。


【 女子 】

五輪シーズンにシニアデビューとなった本田。このGPシリーズの結果も「2枠」の重要な選出基準になる。それがプレッシャーになったのか、SPではジャンプにミスが出た。冒頭の3ルッツ−3トウのセカンドジャンプで転倒。後半の3ループはきれいに決めたが、2アクセルがシングルになってしまい、規定により得点にならず。演技後の表情は曇ったままだった。しかしFSではふっ切れたのか、本来の伸びやかなスケーティングが戻った。冒頭の3ルッツをきれいに決め、続く3フリップ−3トウも流れよく決める。後半のコンビネーションジャンプもクリーンに降り、ほぼノーミスの演技。SPの10位から総合5位にジャンプアップした。課題は残ったものの、まずまずのデビュー戦か。次戦は中国杯に「連闘」で臨む。この経験をどう生かすか。

本郷はSP・FSとも大きなミスなくまとめたが、ジャンプで着氷のわずかな乱れや回転不足が散見し、得点が思ったより伸びなかった。不調に終わった昨季からの巻き返しを図る今季だが、昨季も苦しんだジャンプの微妙な乱れをまだ修正しきれていないようだ。しかし総合6位にとどまったので、次戦に望みを残した。

ワグナー(3位)とソツコワ(2位)はともに持ち味を発揮した。ワグナーはジャンプにわずかな乱れがあったものの、持ち前のダイナミックな演技を披露し、SP7位から表彰台へ。ソツコワも優雅で柔らかな表現力を存分に見せ、SP3位からポジションを上げた。この人の高いレベルでの安定感は、女王メドベージェワにも迫る感がある。

SP2位のポゴリラヤと1位のオズモンド。FSの曲はともに「ブラックスワン」だが、明暗が分かれた。オズモンドはジャンプに抜けや転倒があったものの、持ち味のスピードあふれるダイナミックな演技をふんだんに見せ、SPのリードを守って優勝。昨季世界選手権2位の実力を示した。かたやポゴリラヤは、前半のジャンプはきれいに流れよく決めたが、後半のコンビネーションから乱れが見え始め、抜けや転倒、スピンでも転倒するなど、まさに負の連鎖。シーズン前にケガをし、十分に練習ができないままに迎えた本番だったそうだが、後半にその不安が出てしまった形だ。昨季のシリーズ連勝・ファイナル3位で一皮むけたかと思った彼女だったが、また試練が襲ってきている。大事な五輪シーズン、立て直しはできるのか。


【 男子 】

無良崇人のFSの曲は「オペラ座の怪人」。2014年の同じスケートカナダで圧巻の演技を見せて逆転優勝した、メモリアルな曲だ(私の中では、この時のFSでの演技が無良のベストパフォーマンスだ)。五輪シーズンに思い入れの強い曲を再度持ってきて勝負してきたが・・・、ジャンプにことごとくミスが出て、総合12位に沈んだ(本人も「ここ数年で一番悪い出来だった」と嘆いた)。本人もこのままでは終われまい。次戦のスケートアメリカまで、どう持ち直してくるか。

パトリック・チャンはジャンプに乱れが出た。「熟成派」のチャンは、ジャンプを完璧に決め、得意の表現力、演技構成で高得点を狙う戦略だが、そのジャンプにミスが出ては、「高目追求派」の宇野には勝てない。このままでは今季は苦しい戦いを強いられそうだ。

ジェイソン・ブラウンは、もともと4ジャンプはほとんど跳ばない(SPでは回避)。昨今の「4回転戦争」には背を向け、その独特の表現力と演技構成で勝負する。そのため残念ながら優勝を争うには至らないのだが、彼の芸術的な演技は観る者を魅了してやまない(私も彼の演技の大ファンである)。今大会もSP・FSとも、彼にしかできないステップや振付を披露して見事に2位をゲット。次戦・NHK杯で、日本のファンの前でまたすばらしい芸術作品を見せてほしい。

SPで100点台をマークして首位発進の宇野。FSの曲は、2年前に演じた思い入れのある「トゥーランドット」。そして演技構成は、4ジャンプ4本、そのうち3本を後半に入れ、コンビネーションも後半に3本入れる、極めてハイレベルなジャンプ構成だ。この過酷な構成を、やや乱れはあったものの最後までやり抜き、FSでも200点近い高得点。総合では300点を超え、2位に40点近い差をつけての優勝。シニア3年目の今季、もはや貫禄さえ感じさせる圧勝劇である。五輪シーズンに極めて意欲的なプログラムで挑む宇野。そのより高みを目指す姿勢には、羽生結弦と同じ目線の高さを感じる。今季、どこまで飛んでいくのか、目が離せない。


posted by デュークNave at 06:16| Comment(0) | スポーツ-フィギュアスケート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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