2013年01月17日

「史上初」にふさわしいラグビーを見せてくれた! 〜帝京大、大学選手権4連覇達成〜

ラグビー大学選手権決勝は、大会史上初の4連覇を目指す帝京大と、国立大学として初めての大学日本一を狙う筑波大との決戦になった。ともに関東大学対抗戦で6勝1敗の成績を挙げ、明治と並んで同率優勝を遂げているが、帝京の1敗は筑波に敗れたもの。帝京としてはこの時のリベンジの思いが強かっただろう。かたや初の決勝進出となった筑波は、昨年の準決勝で帝京に敗れている。筑波にとっても前年の雪辱を期しての頂上決戦だった。

勝負のポイントは前半18分から20分の攻防にあった。FWの平均体重で8キロ上回る帝京がFWのプレッシャーとBKの展開とのミックスで先制トライを挙げ、その後両チームがPGを取り合い、8-3と帝京リードで迎えた筑波のキックオフ。帝京のノックオンでボールを奪った筑波が、WTB彦坂匡の鮮やかなサイドステップと突進でゴールライン寸前まで迫り、相手のペナルティを誘う。ここで筑波はPGを狙わずにタッチキックを選択し、ラインアウト〜ドライビングモールからのトライを狙う。しかしこのモールで筑波はアクシデンタルオフサイドを犯し、帝京ボールのスクラムに替わる。

自陣ゴールラインまで5m地点でのマイボールスクラム。普通なら、そしてこれまでの帝京の3連覇の歩みなら、とりあえずタッチキックで陣地を挽回するところだ。しかし今シーズンの帝京は、これまでとはプレースタイルが違う。この自陣深い地点からボールを果敢に回し、CTB荒井が抜け出して一気にハーフウェイ近くまでボールを戻す。さらにここからもボールをつなぎ、密集を連続支配してBKに展開、最後はSO中村が相手ディフェンスのギャップを突いてインゴールに飛び込んだ。BKのスピードと密集への速いサポートが生んだ見事なトライだった。筑波の大きなトライチャンスだったのが、逆に帝京が自陣からつなぎまくり、一気に逆襲のトライを決めた。この攻防が、この試合の大きなターニングポイントになった。

帝京はさらに32分にも、相手DFの裏へのパントをWTB小野がインゴールで押さえてリードを広げる。しかし筑波も1年生WTB福岡が個人技で反撃のトライを挙げ、前半は22-10で折り返した。

後半も試合は帝京ペースで進む。11分、敵陣22mラインのラックから左に大きく展開し、FL松永がトライ。さらに16分には、ハーフウェイラインのラックから左に展開し、FB武田が抜け出して敵陣深く攻め込み、早い球出しから今度は右に大きく展開して、最後はPR森川が右スミにトライ。まさにFW・BKが一体となったすばらしいトライだった。そして31分には、自陣22mライン付近からの筑波ボールのラインアウトを奪い、ここからつないで左サイドを突破し、最後はFB武田が左スミにトライ。この試合の帝京の「つなぐラグビー」を象徴するような鮮やかなトライだった。

しかし筑波もここから意地を見せ、35分にWTB彦坂匡がトライ、さらに40分にもSH内田啓がポスト下にトライを決める。しかし反撃もここまで、帝京が39-22で筑波を破り、大学選手権史上初の4連覇を達成した。

この試合の帝京の勝因:それはTV解説の薫田真広さんが再三指摘されていた「ブレイクダウンの攻防」にあった。タックルを受けてダウンボールした際のポイントへの2人目・3人目の飛び込みが速く、マイボールを確実にキープでき、しかも速い球出しができる。これによって攻撃がスピード豊かに継続するとともに、密集を少人数でこなしているため数的優位を得ることができ、オープンにスペースが生まれる。このピッチを大きく使った連続攻撃に筑波のディフェンスがついていけず、次々にゲインラインを切られてトライを奪われた。

準決勝の早稲田戦もそうだったが、帝京の「変身」には目を見張った。過去の3連覇はFW戦に偏重した、私に言わせれば「つまらないラグビー」だったが、今年はガラリとプレースタイルが変わった。重量FWによる縦へのプレッシャーはこれまでと同じだが、今年はスクラムやモール・ラックからの球出しが速く、それを果敢にBKに、しかも左右にワイドに展開するプレーが多い。こういう「私好み」のラグビーを見せてくれると自然と応援してしまうし、大学ナンバーワンのチームがこういうトータルフットボールに変貌してくれたのは、日本ラグビーの将来のためにも大変いいことだ。

一方の筑波。得意の展開力を生かしたスピーディーな攻撃を見せたが、敵陣に深く攻め込んでからのラインアウトやモール・ラックでミスを犯し、チャンスを生かし切れなかったのが痛かった(上で指摘した前半18分の攻撃もその一つ)。しかし昨年のベスト4からさらに1歩駆け上がっての初の決勝進出は、選手たちには大きな自信になっただろうし、この初の決勝戦の大舞台を経験できたのは、今後への大きな糧になるだろう。

帝京が「史上初」にふさわしい素晴らしいラグビーで4連覇を果たし、今シーズンの大学ラグビーシーンは幕を閉じた。残るは日本選手権、変貌した帝京のトータルフットボールが社会人チームにどこまで通用するか、見ものである。

posted by デュークNave at 03:20| Comment(0) | スポーツ-ラグビー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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