2016年08月28日

My Best 5 Scenes of Japanese Players in Rio 2016

リオ五輪が閉幕した。あまりメダルのことばかり言いたくはないが、日本選手団は金12・銀8・銅21、合計41個という五輪史上最多のメダルを獲得し、4年後の東京五輪に向けて力強いバトンタッチを果たした。

大会を通じて多くの感動のドラマ、衝撃のシーンに遭遇した。オリンピックとはいつも多くの感動と衝撃を味わわせてくれるものだが、今回は特に日本選手が大活躍してくれたため、いつにもまして印象に残る名シーンが多かった。この数多の名シーンの中から、我が独断と偏見で”My Best 5 Scenes”を選んだ。


No.5:卓球男女団体/ちょっぴりほろ苦い、しかし胸張るアベックメダル

卓球の団体戦は、男女ともスリリングかつ感動の嵐だった。女子は準決勝で、ドイツとの4時間にわたる死闘の末惜敗。何とか気持ちを持ち直して臨んだ3位決定戦、初戦で福原愛が競り負けたが、その後シングルスで石川佳純、ダブルスで福原・伊藤美誠ペアが連勝。最後は15歳の伊藤が世界ランク4位のシンガポールのエースに堂々のストレート勝ちを収め、2大会連続のメダルを獲得した。

それにしても返す返すも惜しかったのは、ドイツとの準決勝だ。第1試合で伊藤が、最終ゲーム9−3と大きくリードしながら、痛恨の逆転負け。ここでそのまま勝てていれば、続く石川も当然勝利。さらにダブルスでも、初戦の勝利で気を良くしていたであろう伊藤が、さらに力を発揮して勝てていたのではないか。ここを勝ち上がって福原と石川に、ロンドン五輪決勝のリベンジマッチをやらせてあげたかった。そして勢いのある伊藤という新戦力を加え、絶対女王・中国ともかなりいい勝負ができていたのではないか。こう思うと、つくづく残念な準決勝での競り負けだった。


男子は、個人戦で史上初の銅メダルを獲得したエース・水谷隼が絶好調。準決勝のドイツ戦で、それまで対戦成績で1勝15敗と圧倒されていたボルにストレート勝ち。続くダブルスで丹羽孝希・吉村真晴が競り勝ち、メダル確定に王手をかける。そして第4戦、またも水谷がストレート勝ちを決め、ついに悲願の決勝進出を決めた。

決勝の中国戦でも、第2戦で水谷が、最終ゲームで3マッチポイントを握られながら逆転勝ち。結局続く2戦で敗れて中国の牙城を崩すことはできなかったが、あの絶対王者・中国から1勝を挙げ、続く丹羽・吉村のダブルスも第1ゲームを奪い、「これはもしや」と思わせた。中国相手にこんな手ごたえは久しく味わえなかったものであり、これは日本に大きな自信をもたらしたに違いない。


No.4:レスリング女子/怒涛のゴールドラッシュを呼んだ「逆転の日本女子」

初日に48キロ級・登坂絵莉、58キロ級・伊調馨、69キロ級・土性沙羅と立て続けに優勝。しかもいずれも、第2ピリオドの残り時間わずかなところからの逆転勝ちだった。まさに「逆転の連鎖反応」。この勢いを受け、翌日には63キロ級で川井梨紗子が、こちらは圧勝の金。今大会から階級が6に増え、「日本の新たなお家芸:レスリング女子」は勢いを増すばかりだ。


No.3:陸上男子400mリレー/アメリカを破り、ボルトに迫った銀メダル

金ではないのでNO.3にしたが、受けたインパクトの大きさは、私的にはNo.1だった。私はこの衝撃のニュースを仕事中に携帯電話で知ったのだが、この時は「金はボルトのいるジャマイカだろうけど、銀ってことはアメリカに勝ったってことか? アメリカがバトンパスでミスして失格になったのかな」と思っていた。

ところがこの日の夜にNHKのデイリーハイライトを観ると、日本の銀はアメリカの失格による繰り上げではなく、しっかりと2着でゴールしてのものだったのだ! 確かにアメリカはバトンパスでもたついたし、実際に失格にもなっているが、それを割り引いても、短距離王国・アメリカに先着したというのはものすごいことだ。

日本の4選手(山縣亮太・飯塚翔太・桐生祥秀・ケンブリッジ飛鳥)は、100mでいずれもまだ9秒台を出していないし、いずれもこの大会の決勝には残れていない(山縣とケンブリッジは準決勝、桐生は予選で敗退。飯塚は200mの予選で敗退)。その4人がリレーで世界2位になった。これは熟成を重ねたバトンパスの成果ともいえるが、何より4人の実力が、(個人では決勝に残れなかったものの)これまでになく世界トップに近づいていることの証明だろう。つまり日本短距離陣の層の厚さがもたらした、五輪史上最高の銀メダルなのだ。


※ それにしてもこの決勝のレースで、日本がジャマイカの隣のレーンになったことが最高の名シーンを生んだ。最終走者はジャマイカがウサイン・ボルト、日本がケンブリッジ飛鳥。第3走者の桐生が快走し、日本はジャマイカとほぼ並んでバトンをパスした。ボルトとケンブリッジが最後の直線を並走。世界最速の男・ボルトがケンブリッジを、やや戸惑いの表情で横目で見る。これは夢のような名シーンだった。この並走シーンは新聞にも大きく掲載されたし、Numberの特別増刊・五輪総特集の表紙もこの写真が飾っている。やはりこのレースは、インパクトの大きさではダントツのNo.1だ。


No.2:バドミントン女子ダブルス/「タカ・マツ」ペア、抜群のコンビネーションが生んだ史上初の金

大会前から大きな期待が寄せられていた、世界ランク1位の橋礼華・松友美佐紀の「タカ・マツ」ペア。準々決勝で初めて1ゲームを落としたものの、順当に決勝進出。この時点で日本女子ダブルスの2大会連続のメダルは確定した。

残るは「史上初の金なるか」だった。デンマークペアとの決勝戦、第1ゲームは接戦の末落としたが、続く第2ゲームは圧倒して奪い返した。流れはこちらに来たかと思いきや、最終ゲームは中盤までは互角だったが終盤に突き放され、ついに16−19と、あと2点で敗れるという窮地に立たされた。

しかしここから、前衛の松友が多彩なショットを放って3ポイントを連取し、同点に追いつく。これに気押されたのか、デンマークペアは続く2ポイントで、それまでは返せていた橋の強打を返球できず、ついにゲームセット。追い詰められてからの5連続ポイントで、「タカ・マツ」ペアが初の五輪金メダルを日本バドミントン界にもたらした。

強打と軟打、左右への打ち分け、そして2人の前後左右に動くコンビネーション。「バドミントンってすごく面白いスポーツだな」と改めて思った。そしてその魅力を堪能させてくれた彼女らに心から感謝し、そして心からの祝福を捧げたい。


No.1:体操男子団体/王者・内村がついに手にした、悲願のオリンピック団体金

やはりNo.1はこれしかない。個人総合のディフェンディングチャンピオンであり、世界選手権では前人未到の6連覇を続けている「至高の王者」内村航平その内村が、何としても手にしたかった団体での金メダルが、ついに彼の手に、そして12年ぶりに日本にもたらされた。

しかしそれまでの道のりは、まさにいばらの道だった。初日の予選で、4年前と同じ、いやそれ以上のミスが相次ぎ、まさかの4位。これによってチーム戦略は大きな変更を余儀なくされた。2位までなら、決勝の演技ローテーションは「ゆか〜あん馬〜つり輪〜跳馬〜平行棒〜鉄棒」の順だった。着地が多く、もっとも体力を要するゆかを最初に演技し(日本の得意種目なので勢いにも乗れる)、苦手のあん馬とつり輪は堅実につなぎ、これも得意の跳馬〜平行棒〜鉄棒でフィニッシュ」これが日本チームの描いていたシナリオだった。

ところが予選が4位となったため、ローテーションは「あん馬〜つり輪〜跳馬〜平行棒〜鉄棒〜ゆか」となってしまった。苦手のあん馬とつり輪から始まり、疲れている最後にもっとも体力を使うゆかという、ほぼ最悪の演技順になってしまったのだ。


内村は大会前、「12年前の冨田さんの映像は、そろそろ塗り替えなければいけない」と語っていた。「12年前の冨田さんの映像」とは、2004年のアテネ五輪・団体決勝での、最終種目・鉄棒の最終演技者、エース・冨田洋之の、ピタリと決めた着地のシーンだ。NHKの刈屋富士雄アナの「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!」の名実況とともに、強烈に記憶に残るシーンである。

内村は今大会で、自らがこのシーンを演じることを念願していたに違いない。しかし演技ローテーションが変わってしまったことで、「最後の鉄棒で着地をきれいに決め、金を取る」という念願が夢と消えてしまったのだ。

水鳥寿思監督は、当初はすべての種目で最終演技者と考えていた内村の演技順を、大きく変更した。特に鉄棒のあとの最後のゆかに疲れが残らないように、鉄棒は2番手、そしてゆかを最終演技に変えたのだ。


しかしこの思わぬ展開の中でも、王者・内村は揺るがなかった。最初のあん馬でいきなり15点台の高得点。続く山室光史が落下して暗雲が垂れ込めたが、その後のつり輪では堅実にこなし、致命傷には至らない。3種目目の跳馬で最年少の白井健三が高得点を挙げ、この時点で2位に浮上。続く平行棒と鉄棒で内村にわずかなミスが出たが、加藤凌平田中佑典が高得点をそろえ、最終ローテーションのゆかを残してついに日本がトップに立った。

ここで日本に大きく流れを持ってきたのが、跳馬で高得点を出して日本を上向けた白井だった。もっとも得意とするゆかで、「ひねり王子」の面目躍如のすばらしい演技。唯一の16点台を叩き出し、金を大きく手繰り寄せた。続く加藤も、持ち前の抜群の安定感でしっかりと演技をまとめる。

残るは内村。大きなミスがない限り、日本の12年ぶりの金は手の中にあった。この日6種目目、すでに体力は限界に来ていたが、内村は4年越しの悲願達成のために気力を振り絞った。それぞれのシリーズで微妙に着地が乱れる。しかし何とか持ちこたえ、そしてフィニッシュ。ここでもきれいな着地はできなかったが、足はマットの中に収めた。日本が、そして内村が念願していた団体での金が決まった瞬間だった。

終わってみれば、2位のロシアに2.5点以上の差をつけての圧勝。絶対王者・内村のふんばりと、致命的なミスをしなかった4人の高いレベルでの安定感がもたらした、12年ぶりの五輪王座だった。


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2016年08月20日

「逆転の日本女子」 〜リオ五輪終盤戦・ドラマチックなゴールドラッシュ〜

レスリング女子は48キロ級・登坂、58キロ級・伊調、69キロ級・土性と、たて続けに金メダルを獲得。1日に3個の金と、まさに「ゴールドラッシュ」に沸いた。


【 逆転のトリプルゴールド 】

これも我が疫病神のますますのご繁栄の賜かと気をよくした私だったが(ライブで観られるのを、疫病神を遠ざけるためあえて観ず、試合後に結果のみを知った)、その試合内容は、その日の夜のNHK「デイリーハイライト」で初めて知った。何と決勝の3試合とも、相手に終盤までリードを許しながらの逆転勝ちだったのだ。

登坂はスコア1−2の残り12秒からの片足タックル〜バックを取る攻撃で2点を奪う。伊調は同じく1−2の残り30秒で相手のタックルをこらえ、残り3秒でついに脚を抜いてバックを取り、土壇場で逆転。土性は0−2の残り40数秒で片足タックルに行き、逆にバックを取られそうになったが、うまく身をひるがえして相手を仰向けに倒し、同点に追いつく。レスリングでは同点の場合、大きなポイントを取った方が勝ちになるため、実質これで逆転。このまま逃げ切り、初の五輪で見事頂点に立った。


【 極めつけの「逆転の金」 】

この「逆転のトリプルゴールド」もすごかったが、その翌日、「極めつけの逆転の金」を目の当たりにすることになる。バドミントン・女子ダブルス決勝。世界ランキング1位で大会に臨んだ高橋礼華・松友美佐紀の「タカ・マツ」ペアは、第1ゲームを接戦の末落とし、第2ゲームは圧倒して奪い返した。最終ゲームは中盤までは一進一退だったが、終盤に突き放され、ついに16−19と、あと2ポイントで敗れるという窮地に立たされた。

しかしここから、タカ・マツペアは世界ランク1位の底力を見せる。松友が絶妙のドロップショットをネット際に落として17−19。続いて松友が、右サイドに角度のあるショットを決めて18−19。続くポイントは長いラリーになったが、前衛同士のテンポの速いショットの応酬に松友が的確に対応し、やや浮いた返球を叩いて左サイドにスマッシュを決め、ついに同点。この勢いに押されたのか、デンマークペアは続く2ポイントとも、それまでは返せていた高橋の強打を返球できず、ゲームセット。追い詰められてからの奇跡の5ポイント連取で、タカ・マツペアが日本にバドミントンで初の五輪金メダルをもたらした。


【 日本女子のたくましさに「あっぱれ!」:精神力では男子の上をいくか? 】

この日本女子選手たちの勝負強さ、土壇場での底力はどこから来るのだろうか。練習の賜というのは簡単だが、ああいう修羅場で自分の力を発揮できる精神力は、一朝一夕で身につくものではない。彼女らのこのたくましさ、精神的なタフネスさは、男子選手を凌駕しているかもしれない。たくましき、かつ頼もしき日本女子選手たちに、心からの「あっぱれ!」を差し上げたい。

高校野球では「逆転の報徳」「逆転のPL」というように、史上に残る逆転劇を演じたチームに称号が与えられている。今回の日本女子選手たちのドラマチックな勝利は、まさに「逆転の日本女子」と呼ぶにふさわしい。

(本来なら「逆転のなでしこ」と呼びたいのだが、「なでしこ=サッカーの『なでしこジャパン』」のイメージが強いので、今のところは「逆転の日本女子」という、やや抽象的な呼び名にさせていただく。そのうちどこかのメディアがしゃれたネーミングを考えてくれるかもしれない)


P.S. レスリング女子が「ゴールドラッシュ」に沸く中、53キロ級の吉田沙保里が決勝で敗れ、伊調馨に続く五輪4連覇はならなかった。試合後吉田は悔し涙に暮れ、「選手団主将として役目を果たせず、悔しい」と絞り出すように語った。

しかし、1億2千万の日本国民の誰一人として、彼女を非難する人はいまい。女子レスリングがこれほどまでに注目されるようになったのは、「霊長類最強」と呼ばれた彼女の大活躍があってのことだ。4個目の金が銀になっても、その絶大なる功績が色あせることは全くないだろう。

それと意外なことだったが、選手団主将がメダルを取ったのは、1992年のバルセロナ大会での古賀稔彦(柔道男子71キロ級で金)以来、6大会ぶりだそうだ。谷口浩美(マラソン男子)、井上康生(柔道男子)、鈴木桂治(同)といった錚々たる面々でも逃したメダルを、その重責に負けずに手にしたのだから、こういう意味でも十分に価値のある銀メダルだと思う。


胸を張れ、吉田沙保里! あなたは今でも「霊長類最強」だ!


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2016年08月18日

準決勝の壁 〜「銀以上確定」と「勝っても銅」の巨大なギャップ〜

リオ五輪も後半戦に突入した。日本選手の獲得メダル数は、現時点で金7、銀4、銅18の計29。金は早くも前回のロンドン五輪に並び、総数では5位にランクしている。

このメダル総数に大きく貢献しているのが、18個という銅メダルの多さだ。そしてこの過半数を占めるのが、3位決定戦を制してのメダル獲得なのだ(柔道8、卓球2、テニス1)。

これが何を意味するか。「3決を制してメダルを死守した」と好意的にも解釈できるが、「準決勝(あるいはそれ以前)に敗れ、3位決定戦に回るのを余儀なくされた」こともまた、厳然たる事実なのである。



【 金だけを目指してきた選手たち:銅メダルはうれしさよりも「安堵感」か 】

「準決勝で勝つか負けるか」このギャップは巨大だ。勝てば「銀以上が確定」だが、負けると「次に勝っても銅、負けるとメダルなし」になってしまうのだ。印象的だったのが、史上最多の12個(金3・銀1・銅8)のメダルを獲得した柔道。銅メダルを取った選手たちで、満面の笑みを浮かべていた選手は誰一人としていなかった。柔道は日本のお家芸であり、すべての階級の選手が金を目指していた。しかし準決勝で無念にも敗れ、気持ちを切り替えて3位決定戦を制して銅メダリストになったものの(世界3位だから本来なら十分胸を張っていいのだが)、金メダルだけを目指して厳しい練習に取り組んできた彼ら彼女らにとっては、とても喜べる結果ではなかったのだ。8人の銅メダリストたちにとっては、「メダルなしで終わらなくてよかった」という安堵感の方が大きいのかもしれない。


【 卓球女子団体:感動のフィナーレ、しかし・・・ 】

同じく3位決定戦を制して銅メダルを獲得した卓球女子団体も、事情は同じだった。前回ロンドン五輪で念願のメダル(銀)を獲得。今大会は、「再び決勝に進出して中国にリベンジ」の思いで3選手(福原愛・石川佳純・伊藤美誠)の心は結束していたに違いない。しかし準決勝でドイツとの4時間余りの死闘に敗れ、この4年間抱いていた目標が打ち砕かれてしまった。

このあまりに大きな落胆から気持ちを切り替えるのは並大抵のことではなかったと思うが(柔道もそうだったが、今大会はこの「気持ちを切り替えて」という言葉が試合後のインタビューで何度も聞かれた)、彼女らは「メダル死守」のために3決・シンガポール戦に臨んだ。第1試合は福原がフルゲームの末落としたが、続く石川と福原・伊藤のダブルスで連勝し、メダルに王手をかけた。そして第4試合、15歳・五輪初出場の伊藤が見事なストレート勝ちを演じ、日本女子団体は2大会連続のメダルを獲得した。

試合後は3人とも涙に暮れていたが、これは柔道と同様、「銅メダルが取れてよかった」という喜びよりも、「メダルなしで終わらなくてよかった」という安堵感の表れではないだろうか(村上監督の「手放しには喜べません。70%ですね」というコメントは、まさに3選手の心情を表していると思う)


【 この「準決勝の厚い壁」を破った選手たち:「あっぱれ!」の一言 】

このわが日本の誇る歴戦の強豪たちが阻まれた「準決勝の厚い壁」を、見事打ち破って決勝に進出した選手たちは「あっぱれ!」と称えるしかない。柔道では決勝進出した4選手のうち3人が金に輝いた。


≪唯一敗れたのは男子100キロ超級の原沢選手だが、これは相手の世界王者と呼ばれる選手(もう名前も言いたくない)がほとんど柔道をせず(ほとんど技もかけず、組手争いというより組手を嫌ってすぐ手を放してしまう)、指導の数で勝つというセコい「手口」で金をかっさらっていった。NHKのデイリーハイライトで山口香さんが「男女14階級の決勝戦の中で一番最低の試合だった」と酷評していたが、あんなやり口で五輪連覇を達成して、いったいアンタは胸を張れるのかと言いたい。原沢選手、あなたは柔道で負けたわけじゃない。卑怯者の姑息なやり口にやられただけだ。「事実上の世界王者」として、胸を張って日本に帰ってきて下さい!≫


P.S. 「疫病神」を自認した私は、あのあと「体操男子団体パターン」と「錦織パターン」に徹した。バドミントン女子ダブルスの高橋・松友ペアの準決勝は、画面はつけるが音を消してチラ見する「錦織パターン」このおかげで(?)見事ストレート勝ちし、決勝進出を決めた。上記の卓球女子団体の3決も、夜中だったこともあって留守録にし(ライブで観ないんだから「体操男子団体パターン」)、翌早朝に観た。おかげで仕事前にいいものを見せていただいた。

今朝も起き抜けにテレビをつけたら、レスリング女子で3階級とも決勝進出したと知り、「ここも観なくて正解だったようだな。じゃあライブで観れる決勝もあえて観ないでおこう」と決めた。そうしたら48キロ級・登坂、58キロ級・伊調(史上初の女子選手の五輪4連覇!!)、69キロ級・土性とたてつづけに金メダルを獲得! 


どうやら我が疫病神ぶりにますます磨きがかかってきたようだ。日本スポーツ界のため、そして1億2千万日本国民のため、大会終了までのあと4日間、我が「筋金入りの疫病神」を日本選手たちからトコトン遠ざけるに徹するとしよう。ちょっぴり悲しいが・・・。


posted by デュークNave at 08:57| Comment(0) | スポーツ-五輪・世界大会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月16日

我は勝利の男神か、疫病神か 〜リオ五輪・奇っ怪な観戦レポート〜

リオ五輪が開幕して以来、たくさんの競技と試合を観戦してきた。前回の記事で書いた通り、夕方から夜にかけてのNHKの「デイリーハイライト」をメインに、ライブで観戦できるものはなるべく観るようにしている。


【 もろくも崩れた生活のリズム 】

ただ「生活のリズムを乱さないように」と心がけておきながら、幸か不幸か夏休みに入ったため、夜中も早朝も問わず、生活のリズムを乱しまくっての観戦になってしまった。錦織圭の準決勝、アンディ・マレー戦は真夜中の0時からだったのに、無理して起きていてライブで観たし(そうまでして観たのにストレート負けして、いたくがっかりした)、卓球の男子団体の準々決勝が夜中の2時からと知ると、早々に寝て2時にアラームをセットして観た(こっちは勝ったからよかったが)。我ながら呆れているが、自分のスポーツ熱がまだまだ健在な証拠だと、前向きに考えてもいる。


【 われは勝利の男神か、疫病神か 】

で、こうしてわが注目の試合をなるべくライブで観ているうちに、ふとある疑問が沸いてきた。

「オレは勝利の男神なのか、それとも疫病神なのか」

その場にいるわけじゃないんだから、自分が観ていようといまいと本来は結果には関係がないはずだ。しかし無理して夜中まで起きて観た試合で錦織が完敗し、次の3位決定戦では第1セットを6−2で取り、第2セットも2ブレークアップの5−2と”Serving for the match”まで来たのに、ここからラファエル・ナダルの驚異的な粘りに遭って追いつかれ、タイブレークの末このセットを落とした。

「これは、オレが観ていると悪い結果になるのか? オレは錦織にとって疫病神か?それならファイナルセットは観ない方がいいかも」

すごく気になったんだが、画面はつけておいて音を消し、パソコンの画面に目を向けてテレビ画面は見ないようにしていた。すると錦織が息を吹き返し、ナダルのサービスをブレークした。その後もプレーの最中は見ないようにして、チラ見を続けていた。そして錦織1ブレークアップの5−2、ナダルのサービスゲーム。「これを破れば勝つ。もしキープされても次にキープできれば勝ちだから、このゲームだけ観るか」とテレビの前に座りかけた。しかしここで「いや、ここで中途半端に観るとまた悪い流れになるかもしれない。ここは勝ちが決まるまでチラ見を続けよう」と思い直し、またパソコンの前に座った。このゲームはナダルがキープし、次は再び錦織の”Serving for the match”。少ししてチラ見したら15−30になって「ヤバい」と思ったが、ここで観たりするとさらにヤバくなると思い、我慢してまたパソコンの方に向き直った。すると40−30と盛り返し、ついにマッチポイント。ここでももちろん観ず、少しして見ると錦織がガッツポーズしている。「おおっ、勝ったんだな」と、ここで初めて安心して音を出し、テレビ画面に見入った。

しかし、よくあの状況からファイナルセットを取れたものだ。2ブレークアップの絶対有利から追いつかれ、セットを落とす。しかも相手は「ビッグ4」の一角。流れは完全にナダルに傾いていた。この窮地から自らを這い上がらせた錦織のタフネスもすばらしかったが、「これは『我が疫病神』を遠ざけたおかげも少しはあったのかな」と私は勝手に解釈していた。

思えば体操の男子団体決勝の時も、最初のあん馬を観ていたら山室が落下した。「これはオレが観ていない方がいいのかも」と思ってテレビを消したんだが(また落下を見たくないという恐怖もあった)、日本チームはその後どの選手もほとんどミスなく演技を続け、見事に念願の五輪での団体金メダルを手にした。この結果を見て、「これも『我が疫病神』を遠ざけたおかげかも」と勝手に思っていた。


【 気まぐれに入れ替わる?「勝利の男神」と「疫病神」 】

ただいつ何時も「われは疫病神」なのかというと、競技によってはそうでもないようだ。卓球の団体は男女ともライブで観ていたが、ともに準決勝に進出した(男子の初戦・ポーランド戦はかなり危なかったが)。「これは卓球にとっては『われは勝利の男神』かもしれないな」と、気をよくして女子団体の準決勝を観ていたら、第1試合でシングルス初出場の15歳高校生・伊藤美誠が、ファイナルゲーム9−3とリードしながら逆転負けを喫した。これを見た我が心中は「一天にわかに掻き曇り」、「オレは勝利の男神から疫病神に急変してしまったか」と、音を消し、パソコン画面を見ながらのチラ見(錦織パターン)に変えた。ところがそれでも、続く第2試合で石川佳純が2ゲームを連取され、あと1ゲームで日本は連敗という崖っぷちに立たされた。「これはチラ見でもヤバいらしい」と、テレビを完全に消し(体操男子団体パターン)、気もそぞろなままにパソコン画面を眺めていた。

しばらくしてテレビをつけると第3試合のダブルスが始まっており、画面に「1勝1敗」と出ている。石川があれから3ゲームを取って大逆転勝ちしたことを知り、「よし、じゃあこのダブルスも観ないでおこう」と再びテレビを消した。またしばらくしてテレビをつけると、第4試合のシングルスが始まっていて、画面には「日本1勝2敗」。「あれ、観なくても負けてしまったか。『疫病神』を遠ざけた御利益はなかったのかな」と、いささか落胆。しかし「ここで観てはさらに事態を悪化させる」と、テレビをまた消しての我慢の時が続く。

少ししてテレビをつけると、石川が2ゲームアップ。「よおし」と心の中でうなずき、またスイッチを切る。熱く応援したいのに、あえてそれを遠ざけねばならないのは何ともつらいが、彼女らに「2大会連続のメダル確定」の喜びを味わってもらうため、1億2千万日本国民のためだ、などと大げさに思っているうちに時が過ぎ、またテレビをつける。画面には「2勝2敗」、最終戦のシングルスに出る福原愛がウオームアップをしている。「そうだな、今日は伊藤はちょっと勝ち運に見放されているかもしれない。ここはチームキャプテンの福原に託すのが正解だな」。納得して再びスイッチを切った。


【 そして悲劇は起こった:やはり自分は疫病神? 】

・・・とこの流れで来ると、最終戦で福原が勝ってくれれば「我が疫病神」ぶりがまたも証明されるわけだが(これは喜んでいいのかわからんが)、そのためにはこのスイッチオフを続けることが必須条件だ。しかし残念ながら、この土壇場でずっとそれを続けられるほど我が意志は強くなかった。しばらくしてスイッチを入れると、ゲームカウント1−2でリードされている。「これはいかん」とすぐに消し、パソコンの画面を見て気を紛らわす。少ししてまたつけると、第4ゲームの終盤で福原がリードしている。普通ならここでまた切るところだが、この時はなぜかそのまま観続け、福原が押し切って第4ゲームを奪い、最終ゲームに持ち込んだ。「あれ、今度は『勝利の男神』に変わったのかな」と思って最終ゲームも観ていると、いきなり3連続失点。またまた「こりゃいかん」とすぐに消した。しばし待ってつけると、6−7まで挽回している。「おおっ」と思ってそのまま観ていると、さらに3連続得点して9−7。決勝進出まであと2点に迫った。

・・・今思うと、この時またスイッチを切っていればよかったのかもしれない。自分が観ていたら連続得点して勝利にぐっと近づいたため、「再び『勝利の男神』降臨か」といい気になってしまったのだ(あの「あと2点」という気持ちの盛り上がりでは、とても消す気にはなれなかった)。この直後、攻勢に出た福原のスマッシュがアウト。ちょっと勝ち急いだ感じで、これは第1試合の最終ゲームで、9−3とリードした直後にスマッシュミスした伊藤と同じパターンだった。いやな記憶がよみがえり、いやな予感がした。こういう予感ほど当たるもので、その後も福原は決めきれずに逆転を許し、9−10で相手のマッチポイントを迎える。

このマッチポイントでも福原は臆せず攻め、カットマンの相手との打つ・返すの応酬になった。そしていくつかの応酬ののち、相手の返球がサイドエッジに当たって下に落ちた。5試合のうち4試合がフルゲームマッチになった死闘は、日本にとってあまりにも不運で酷なエッジボールでの決着になってしまった。


試合後、私は強烈な自己嫌悪に襲われた。「なんで最後、観ちゃったんだ。『疫病神』なんだから観ないって決めてたじゃないか。観てたら連続得点したもんだからいい気になってしまったのか。あんな最悪の決着になって、しかもそれをライブで目撃してしまった。やっぱりオレは疫病神か。オレが観てなけりゃ、せめて『錦織パターン』でチラ見にとどめておけば、彼女らは念願の決勝進出できていたんじゃないか」


【 あと1週間、気にせず五輪を楽しみます 】

・・・しかしこれが本当なら、私は日本選手のどの試合も一切観れないことになってしまうし、今までライブで観た日本選手の試合はことごとく負けていたことになる。だがもちろん、そんなことにはなっていない。それどころか上に書いた通り、卓球の団体は男女とも準決勝まで勝ち上がってきたのだ。

私は勝利の男神の時もあれば、疫病神の時もあるようだ。しかしそれは結果が出て初めてわかることで、それを気にしていては五輪を楽しむことはできない。選手たち、そして彼ら彼女らを懸命に応援している1億2千万の日本国民の皆さんには申し訳ないが、この「ある時は勝利の男神、またある時は疫病神」のオッサンは、4年に1度のスポーツの祭典を、あと残り1週間、人の迷惑顧みず楽しませていただきます。どぞよろしく。


posted by デュークNave at 04:14| Comment(0) | スポーツ-五輪・世界大会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月09日

リオ五輪を生活のリズムを崩さずに楽しむ方法

リオデジャネイロオリンピックが開幕した。史上初の南米大陸での開催、日本から見れば「地球の裏側」での開催であり、当然日本とは昼夜逆で、日本の夜中に行われる競技も多い。

これをいちいちライブで観ようと思ったら、毎晩大夜ふかしをすることになる。実際先週末は、休日前夜なのをいいことにずっとテレビに見入ってしまい、翌日曜の朝4時までほぼ徹夜状態で観戦してしまった。その後も布団で寝入ることなく中継を見続け(ただそのおかげで、水泳男子400m個人メドレーでの萩野公介・瀬戸大也の1−3フィニッシュをリアルタイムで観ることができた)、日曜はほぼ終日「リオ五輪観戦デー」になった。


しかしこれは休日だからできたことで、仕事のある日はこんな過ごし方はできない。でもわが注目の競技は見逃せないし、主な競技もまんべんなく観たい。さあどうしたものかと考え、思いついたのが、NHKで毎日やる「デイリーハイライト」を録画して、仕事が終わった後、または翌早朝にゆったりと観るという方法だ。

これならその日の主な競技をほぼ網羅しているので、注目の日本選手の試合もちゃんと観ることができる。ダイジェストなのでライブ感に欠けるのが難点だが、観たい試合をライブで観ようと思ったら時間がいくらあっても足りないし、生活のリズムも崩れてしまう。「寝不足になっちゃいますね〜」なんてNHKのアナたちは気楽に言ってくれるが、そんな状態が連日続いたらさすがに仕事に影響するし、体調も崩してしまうので、ここは我慢だ。

ただ普段の生活サイクルを崩さずに観れる試合、つまり仕事前の早朝に観れる試合は遠慮なく観る。ただこれも無理して早起きはせず、あくまで生活のサイクルは守る)


これはテニスのウインブルドン観戦で身につけた観戦法だ。以前は無理してリアルタイムで観ようとして睡眠時間が短くなったりズレたりして、仕事に影響したりコンディションを崩すことが多かったのだが、近年はリアルタイム観戦をあきらめ、録画して翌早朝に観るという方法に変えた。早寝早起きの自分のライフサイクルに合わせているわけで、ライブ感には欠けるが、「自分に無理させない」やり方にしたのだ。

(それに結果を知らずに観ることになるのでかなりドキドキ感があり、心情的にはライブ観戦とさほど変わらない)



ただこの「デイリーハイライトを録画で観る」という方法をドキドキしながら楽しむには、結果を知る前に観なければならないので、その日の新聞の夕刊や、携帯やネットのスポーツニュースなどには一切目を触れないように気をつけなければならない(うかつに目に入ってしまうとドキドキ感が激減してしまう)。情報洪水の今の世の中でこの情報遮断は容易ではないが、「我がドキドキ感を守る」ために、これは徹底してやらねばならない。


・・・と、自分の相変わらずのスポーツフリークぶりになかば呆れながら、我が「リオ五輪ドキドキ観戦」の日々はこれからも続く。さて、世界最高峰のスポーツの祭典を、心ゆくまで楽しませていただきましょう!



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2016年08月02日

「ウルフ」千代の富士・逝く 〜すべてに切れ味鋭く、カッコよかった稀有の力士〜

大相撲史上どの力士が一番好きかと問われれば、私は間髪入れず「ダントツで千代の富士!」と答える。

「ウルフ」と呼ばれた精悍なマスク。力士には珍しい筋骨隆々とした締まった体つき。きれいに高々と足が上がる四股。すばやく前みつを引いて一気に前に出る、スピード感あふれ切れ味鋭い取り口。そして豪快なウルフスペシャル(相手の頭を押さえながらの上手投げ)。とにかくすべてにおいてキリリと締まった、カッコいい横綱だった。


その千代の富士、現九重親方が亡くなったというニュースをネットで見た時は、にわかに信じられなかった。最初は師匠の北の富士勝昭さんのことかと思ったが(それでも大ショックだっただろうが)、千代の富士と知って驚き、かつ大きな衝撃を受けた。61歳とまだ若かったし、「あのスーパーマンのような人がそんな若さで死ぬはずがない」と、受け入れることができなかったのだ。


第58代横綱・千代の富士は、まさに「記録にも記憶にも残る」大横綱だった。「記録」では、優勝31回(史上3位)、通算1045勝(同2位)、幕内807勝(同3位)、横綱在位59場所(同2位)、53連勝(同3位)。


記憶では、十両・平幕のころの豪快な投げ、それに伴う度重なる肩の脱臼。その「ガラスの肩」を克服するためにハードな筋トレを自分に課し、肩を筋肉の鎧で固める。取り口も肩の負担の少ない前みつを引いての速攻相撲に変身し、ここから快進撃が始まる。関脇で当時の大横綱・北の湖を優勝決定戦で破って初優勝、場所後大関に昇進。大関3場所目でまたも北の湖を破って2度目の優勝、場所後横綱に昇進。その後も北の湖、双羽黒、大乃国らとしのぎを削りながら、優勝31回を積み重ねた。


そしていまだ記憶に新しい、貴花田(のちの横綱貴乃花)との初対戦。結局最初で最後の対戦となったこの一番で敗れ、その2日後に引退を表明。「体力の限界。気力もなくなり、引退することになりました。以上です」と声を詰まらせながら語った引退会見は、今思い出しても胸が詰まる。


しかしこういう記録や記憶もさることながら、何といっても好きだったのは、上に書いた通りの「精悍さあふれるカッコよさ」。ルックス・取り口ともにキリリと締まった横綱で、あんなシャープな力士は過去もまれだったし、今後もめったに現れないだろう。大相撲史に大きな足跡を残し、その精悍な雄姿をファンの記憶に深く刻み込んだ稀有の名横綱・千代の富士。その現役時代をつぶさに見ることができた幸運に、私は深く感謝したい。今はただ、「合掌」。


posted by デュークNave at 04:40| Comment(0) | スポーツ-相撲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする