2017年07月29日

(解散)総選挙が先か、「国民ファーストの会」が先か:日本の将来を大きく左右する分水嶺

7月2日の東京都議会議員選挙での自民党の惨敗・都民ファーストの会の大躍進は、政界の空気を一変させた。あれほど安倍政権が逃げ回っていた加計学園問題について閉会中審査が行われ、安倍首相も答弁の席に立った。もっとも、言葉遣いや態度は「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と言い放ったころと比べると、かなりトーンダウンして神妙になったが、語る中身は以前と全く変わらず、逃げてかわすばかりだ。稲田防衛大臣もようやく辞任を表明したが(これは典型的な「遅きに失した」パターンだ)、こんなことは今の、そしてこれからの日本にとって些細なことでしかない。

今後の政局でもっとも注目すべきこと:それは「来年12月の衆議院議員総選挙までに(その前に解散があった時はそれまでに)、『国民ファーストの会』のような『安倍政権NO!の受け皿』ができるかどうか」だ。第二次安倍政権が成立して以降の3度の国政選挙と、今回の東京都議会議員選挙の大きな違いは何か。それは「安倍政権NO!の受け皿」があったかなかったか、だ。2013年の参議院議員選挙の時はまだ批判の声は大きくなかったが、2014年12月の衆議院議員総選挙の時は、特定秘密保護法の強引な成立に対する批判がかなり高まっていた。しかし民主党(当時)ら野党がこの批判の受け皿に十分にはなりえずに与党が勝利し、2016年7月の参議院議員選挙ではついに「3分の2」を許してしまった。これは国民の相変わらずの政治意識の低さのせいでもあるが、安倍批判票を投じるべき政党がなく、消去法的に与党に投票したり、棄権したりという有権者がかなり存在していたことが大きかった。

しかし今回の東京都議会議員選挙では、「都民ファーストの会」というはっきりした受け皿があった。さらに「もり・かけ」問題や、稲田防衛大臣・金田法務大臣ら「問題閣僚」たちの不誠実な対応や数々の問題発言が安倍政権への批判を加速度的に増幅させ、投票日前日の秋葉原での安倍総理の「こんな人たち」発言が最後のダメ押しになり、自民党の歴史的大敗につながった。国民の中で安倍政権への批判がどれほど充満していたかを、今回の選挙結果が極めて明快に示したのである。

この結果を国政に反映させるためには、国政レベルでも同じような受け皿が必要になる。あと1年半足らずの間に、「国民ファーストの会」のような新党を成立させられるかどうか。安倍政権はその延命のために、そうなる前に選挙を迎えたいだろうから、「そうなる前解散・総選挙」に打って出る可能性は十分ある。もしそうなったら、与党はそれなりに負けるだろうが、政権交代までには至らずに終わる公算が大きい。そう考えると、時間はあまりない。豊洲移転問題や東京五輪も大事だが、国全体のことの方がもっと大事だ。小池百合子知事が早く国政に進出する準備をしないと、安倍政権に「今のうち解散・総選挙」を仕掛けられて、あの暴政が生き延びることになってしまう。今が絶好のチャンス、逆に今を逃せば、もうチャンスは訪れないだろう。

・・・しかし、現状は難しいだろう。小池知事は豊洲移転問題や東京五輪など、東京都がらみの大きな課題を抱えているし、何より大勝したばかりの都議会の体制を整えるのが大変だ(都民ファーストの会の面々は政治未経験者が多いので)。とてもすぐに国政に進出できる状況ではない。そういう意味では安倍政権や与党にとっては、今回の選挙が国政選挙ではなかったこと、そしてこの小池知事を巡る状況はラッキーだ。最長1年半後の「本番」への大警告として、体制を引き締めることができる。・・・正直、「コイツらツイてるなあ、しぶといなあ」と思う。


どうにかして、来年の「本番」までに「受け皿」を作ることはできないだろうか? それができずに安倍政権を延命させてしまったら、・・・もうこの国はアカンな。


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2017年07月09日

勝って驕らず、負けて潔し 〜将棋界の超新星・藤井聡太四段〜

昨年12月のデビュー以来、破竹の29連勝で将棋界の連勝記録を30年ぶりに更新した14歳の中学3年生・藤井聡太四段彼の成し遂げたことがどれほどすごいことか、ここで改めて振り返ってみよう。


【1】14歳2か月:史上最年少のプロ棋士誕生

中学生でプロになった棋士は藤井四段で5人目。過去の4人は、加藤一二三九段、谷川浩司九段(十七世名人)、羽生善治三冠、渡辺明竜王・棋王という、いずれも一時代を築いた名棋士である。この中でも藤井四段は、最年少の14歳2か月。当然「この4人のような歴史に残る棋士になってほしい」という期待が寄せられてはいたのだが・・・。


【2】11連勝で、デビュー以来の連勝記録を塗り替える

デビュー戦で加藤一二三九段を破り(棋界最年少と最年長、「年齢差62歳の対戦」と話題を呼んだ)幸先いいスタートを切る。4月4日の王将戦予選で小林裕士七段を破って11連勝を達成し、それまでのデビュー以来の連勝記録を塗り替えた。このころから羽生三冠のデビュー時との比較が語られ始める。「羽生さんは序盤の劣勢を終盤力で逆転することが多かったが、藤井四段は序盤からスキがなく、終盤も寄せのスピードが速く、完成度が高い」。


【3】圧倒的な終盤力を支える詰将棋:詰将棋解答選手権で3連覇

連勝を続ける中、藤井四段は詰将棋解答選手権のチャンピオン戦に出場。これはA級棋士の行方尚史八段広瀬章人八段など、プロのトップ棋士も出場する最高難度の大会なのだが、何と藤井四段は奨励会員だった2年前(小学6年生)からこの大会を連覇していた。そして今回も優勝して3連覇を達成(しかもその解答スピードも他を圧倒していた)。先輩棋士たちが脅威を覚える終盤力は、詰将棋で培われたものだったのだ。


【4】そしてついに29連勝、30年ぶりの記録更新

6月26日、竜王戦決勝トーナメント1回戦。対戦相手は19歳の増田康宏四段棋界唯一の10代同士の対局を藤井四段が制し、神谷広志八段が1987年に達成した28連勝を30年ぶりに更新した。29連勝はとてつもない記録だが、それをデビューしたての新人棋士、しかもまだ中学生の14歳の少年が、デビュー以来無敗で達成してしまうとは! 小説や漫画にしたら荒唐無稽すぎて成り立たないようなドラマを現実に見せつけられた、世間の驚きは尋常ではなかった(毎日新聞は、28連勝と29連勝の記事をともに朝刊の1面トップに掲載した)


【5】周囲の喧騒に惑わされない、「14歳の『尋常ではない』落ち着き」

デビュー以来無敗で勝ち続けたことも驚きだったが、それと同じぐらいに驚き、かつ感銘を受けたのは、藤井四段の「尋常ではない落ち着き」だった。デビューそのものが「史上最年少棋士」として騒がれ、その初戦が「ひふみん」の愛称で親しまれる加藤九段との「最大年齢差」対戦。そこから連勝が続き、勝つごとに周囲の喧騒が大きくなる。しかし当の本人は、「ここまで連勝できたのは望外の結果でした」と、大人びた落ち着いたコメントを残した。それは29連勝達成の時も変わらず、「この連勝もいつかは終わる。記録のことは考えず、一局一局全力を尽くして指していきたい」と語った。驚異の連勝記録は、周囲の喧騒から超然としているようなこの落ち着きがもたらしたものなのかもしれない。


【6】ついに連勝ストップ:その瞬間に見せた潔さにまた感銘

しかし本人がコメントした通り、その連勝もついに止まる時が来た。7月2日、竜王戦決勝トーナメント2回戦、佐々木勇気五段戦。当日は東京都議会議員選挙の投票日で、私はNHKの開票速報番組に釘付けになっていたのだが、その最中にテレビ画面の上部にテロップが流れた。「藤井四段敗れる 連勝29でストップ」(確かこんな感じ)

私は彼が連勝を続けていたころ、思っていたことがあった。「この連勝もいつかは止まる。その時彼がどんな態度を見せるのか。そしてその後どうなるのか」。負けた瞬間に悔しさをあからさまに見せたりしないだろうか、さらにそのあと反動で連敗したりしないだろうか。神童とはいえまだ14歳、こういう懸念を消せなかったのだ。

しかし後日のニュースで彼の「プロ初投了」の映像を観た時、安堵とともに感銘した。藤井四段は勝った時と全く変わらない落ち着いた態度で、「負けました」と潔く頭を下げたのだ。この態度から察するに、「この時」への心の準備、覚悟はできていたのだろうが、それにしても潔い、見事な投了だった。「勝って驕らず、負けて潔し」。美しい光景を見た。将棋界のすばらしい伝統が、この新人離れしたニューカマーにもしっかりと受け継がれているのだ。

そしてその初黒星から4日後の順位戦・C級2組。藤井四段は中田功七段に勝ち、順位戦2連勝を飾った。大連勝が止まったあとの反動を心配していたのだが、そんな周囲の懸念をよそに、しっかり勝ち切った。負けを引きずらずに、すぐにいつもの自分に戻ることができる。このセルフコントロール力も、彼の強さの要因の一つなのだろう。


驚異の最年少棋士・藤井聡太四段。目下30勝1敗、今期の最優秀新人、そして最高勝率はほぼ確定だろう。今後各棋戦でどんな活躍を見せてくれるのか、そしてどんな奇手・妙手を披露してくれるのか。楽しみは尽きない。


posted by デュークNave at 13:08| Comment(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月03日

「安倍暴政」への怒りが爆発:都民ファースト第一党に・自民、歴史的惨敗 〜東京都議会議員選挙〜

昨日投開票が行われた東京都議会議員選挙で、小池百合子東京都知事が代表を務める都民ファーストの会は、追加公認を含む55議席を獲得して第一党となった。小池知事を支持した公明党・東京生活者ネットワークを含めて79議席を獲得し、過半数の64議席を大幅に上回った。一方第一党だった自民党は23議席と選挙前の57議席から激減し、過去最低の38議席をも大きく下回る歴史的惨敗を喫した。(投票率は51.27%:前回より7.77%↑)


都民 6→55  自民 57→23  公明 22→23  共産 17→19  民進 7→5  ネット 3→1  維新 1→1


それにしても、これほどの大激震になるとは予想していなかった。1週間ほど前の調査では自民と都民の支持がほぼ拮抗していたので、両者がきわどく第一党を争うことになるのだろうと思っていた(そうなったら私はかなり落胆していたと思うが)。しかしフタを開けるとこの大変動。昨夜のNHKの開票速報では、都民の当選確実が次々と決まる一方、自民はなかなか当確がつかなかった。開票結果も、都民は多くが上位当選を果たしているが、自民はぎりぎりで当選している選挙区が多い。これは当選者数のみならず、いわゆる「票田」も、都民が大きく広げ、自民は大幅に縮小してしまったことを示している。

(私の選挙区でも、都民は2人がワン・ツーフィニッシュを飾る一方、前回トップ当選を果たした自民の現職が敗れ、今回の全体の選挙結果を端的に示す形となった)

私は3日前の記事で「特にこの首都東京は地方と比べて革新の気風が強く、『潮の流れの変化』がかなりビビッドに選挙結果に出る。」と述べ、それなりの変化が起こることを予想しかつ期待していたのだが、この結果は我が予想と期待をはるかに上回った(ホリエモン的に言えば「想定の範囲外」だな)


これは国政選挙ではないが、この劇的な大変動は、明らかに「安倍一強」国政への都民の批判、拒絶反応が強く現れている。豊田衆議院議員の秘書へのパワハラ・暴言、稲田防衛大臣の問題発言、さらには今回の選挙を統括した下村東京都連会長(元文科大臣)の加計学園からの献金疑惑など、選挙直前に新たな問題が発生したことも影響したと思うが、大元は「もり・かけ問題」や「共謀罪」の強引な成立をはじめとする、安倍政権への都民の怒りである。要するに、「どうせ国民はまた忘れてくれるよ」とタカをくくった(=国民をバカにした)ことへの強烈なしっぺ返しを、都民が安倍政権に食らわせたということだ。

(今回の自民党の選挙ポスターには、例によって安倍首相の「遠くを見る」写真とともに、右下に小さく「政治は国民のもの」と書かれていた。私はこのポスターを目にするたびに、ブチ破ってやりたい衝動に駆られた。よくもしゃあしゃあと「政治は国民のもの」などと書けるものだ。本音は「政治はオレのもの」だろうが!)


さてこの結果を受け、自民党はどう反応するのだろうか。安倍首相や菅官房長官が「これは一議会選挙の結果であり、国政とは関係ない」などと言おうものなら、国民の怒りのマグマはさらに噴き上がるだろう(その方が展開としては面白いのだが)。まあしばらくは、自民党のリスクマネジメント能力、国民の「空気」を読み取る感性はどの程度のものか、お手並み拝見だな。そして国民の皆さん、この「東京の乱」をここにとどめず、全国規模に広げましょうね!


P.S. 今後の注目は、小池知事が国政への進出をいつ始動するかだ。当面は都政の足元を固めるべきだが(築地市場の豊洲移転問題や東京五輪など、大きな課題が待っている)、本人の最終的な狙いは当然国政にあるだろうし、今回の選挙結果は都民のそれへの期待の大きさを表している。今の国政では「安倍政権NO!」の意思の受け皿がない。いずれ小池氏が「国民ファーストの会」でも旗揚げし、自民党に対峙することを多くの国民が期待しているのだろうと思う。その機が熟すのはいつか、今後の政局を注視したい。

posted by デュークNave at 06:17| Comment(0) | 政治・時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月30日

東京都議会議員選挙:安倍政権低落の予兆となるか

来る7月2日投票の東京都議会議員選挙は、首都とはいえ一地方議会の議員の選挙にすぎない。にもかかわらず、どうも今回は国政選挙並みの注目を浴びているようだ。

理由の1つは、そのタイミング。先の国会で、「共謀罪」法案を委員会の中間報告を受けて(=委員会採決をすっ飛ばして)国会決議を行うという暴挙に出て、例によって強引に成立させてしまった。この「非道」は、ひとえに「早く成立させて国会を閉幕し、加計学園問題に関する追及から逃れようとしたのだ」との見方がもっぱらである(まあどう言い訳しようと、そうとしか思えないよな)。

その直後に行われるこの選挙。しかも国会閉幕後の各メディアの世論調査で安倍内閣の支持率が急落し、不支持率と支持率が逆転した。

(あわてて安倍首相が記者会見を行い、「加計学園問題については、今後も丁寧に説明する努力を積み重ねたい」などと口にした。これまでも特定秘密保護法や安保関連法など「問題法案」が成立するたびに同じことを言ってきたが、本当に丁寧に説明したことは一度としてないので、このコメントは全く信用できない

「安倍支持急落」を受けて行われるこの選挙、その結果は安倍政権への都民のYes/Noの表われであると見ていいだろう。特にこの首都東京は地方と比べて革新の気風が強く、「潮の流れの変化」がかなりビビッドに選挙結果に出る。これが今回の選挙が国政選挙並みに注目されているもう1つの理由で、その結果は安倍政権への国民の評価を先取りすると目されているのだろう。安倍晋三大嫌いの私としては、これまで「我が世の春」とやりたい放題をやってきた安倍政権に何らかの鉄槌が下され、盤石と思われてきた安倍政権が低落に向かうきっかけになってくれることを期待している。


実際、ここのところの「もり・かけ」問題と、それに対する安倍首相や菅官房長官をはじめとする閣僚たちのあまりにも誠意に欠ける国会答弁や会見に、国民の胸中には相当な怒りのマグマが噴き上げてきているようだ。これがボディーブローのようにじわじわと安倍政権を追い詰めることになるのではないか。いや、そうでなくてはいけない。「こんなメチャクチャな政治はもはや許せん」と心ある有権者は思っているだろうし、その行方は海外からも注目されているだろう。

(憲法9条改正についての安倍首相の国会答弁「自民党総裁としての考え方は読売新聞に詳しく書いてあるので、ぜひ熟読していただきたい」は、今のところ私的には「安倍語録・ダントツワースト1」だ)

都民、そして日本国民の「政治的良心」が問われる今回の選挙である。


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2017年05月21日

三権分立/機能しているアメリカ、機能していない日本

トランプ政権とロシアの不透明な関係を調査するため、アメリカ司法省はモラー元FBI(連邦調査局)長官を特別検察官に任命した。

この疑惑は、昨年の大統領選挙期間中から取り沙汰されていた(ロシアがクリントン陣営にサイバー攻撃を仕掛け、これにトランプ陣営の関係者が関わっていたとの疑い)。この捜査にあたっていたFBIに対し、トランプ大統領は突如コミー長官を解任した。これは捜査への政治的圧力との見方が強く、露骨な捜査妨害ではないかとトランプ政権への批判が高まっている。

この特別検察官任命のニュースを聞いた時、私のみならず多くの日本人はこう思っただろう。「アメリカは三権分立が、そして民主主義がちゃんと機能している国なんだな。」これ以前にも、トランプ大統領が出したかの悪名高い大統領令「中東など7か国出身者の入国を禁止する」を連邦地裁が差し止め、これを控訴裁が支持するという「慶事」があった。アメリカでは、行政のトップの決定に司法がこうして正しいブレーキをかける。そして行政府の1つである司法省でさえ、「大統領の暴挙許すまじ」と、継続捜査のために特別検察官を任命する。立法府である連邦議会でも、野党の民主党のみならず与党の共和党内からも、トランプ政権に対する批判が噴出しているようだ(もっとも、共和党からの批判は昨年の選挙中からあったが)。このバランスのすばらしさは、さすが「民主主義の総本山」である。この事件は、かつてのウォーターゲート事件をもじって「ロシアゲート事件」と呼ばれており、トランプ大統領の弾劾やら辞任やらが早くもささやかれているようだ。


三権のバランスがすばらしく取れているアメリカ。翻って、我が日本はどうか。「安倍一強時代」の今、安倍首相のやることに対して行政府からブレーキがかかることなど、全く期待できない状況だ。森友問題も昭恵夫人への喚問は実現せず、8億円減額処理の担当者たちは「適正な処置だった」と繰り返すのみ。新たに浮上した、加計学園(理事長は総理の友人)の学部新設について「総理の意向」が働いたという疑惑についても、総理本人はこれを全面否定。文科省の担当職員へのヒアリングもわずか半日で終了、「文書の存在は確認できなかった」とし、早々に調査を打ち切っての幕引きを図っている。ここにも、早くも今年の流行語大賞の本命と目される「忖度(そんたく)」が働いたのか(間違いなくそうだろうが)。

司法も、沖縄の米軍基地の移設問題で政府の意向通りの決定を下し、すでに工事が始まっている。下級審の決定によって稼働が差し止められていた原発も、上級審で覆されて稼働を再開している。下級審が下した画期的な判決や決定が上級審で政府寄りに覆されることは今に始まったことではないが、最近はその傾向がさらに顕著だ。

立法府である国会でも、安倍首相はじめ閣僚の全く誠意に欠ける答弁が目立つ。金田法相はほとんど自分の言葉で答弁ができず、ついには法務省の専門家を国会に呼んで代わりに答弁させる始末。最悪は安倍首相で、憲法改正についての答弁を求められ、「自民党総裁としての考えは読売新聞に相当詳しく書いてある。ぜひ熟読してほしい」と言い放った。憲法63条には、「閣僚は答弁のために出席を求められた時は出席しなければならない」と定められている。そして「出席したからには、答弁には誠実に対応せよ」というのがこの条文の趣旨だろう。しかるに国会での答弁において「新聞を読め」というのは、答弁への誠に不誠実な対応であり、憲法63条の趣旨に反している。つまり憲法を改正する前に、その憲法に違反することを首相はやってしまっているのだ。しかしこの傍若無人に対し、野党は有効な反撃ができていない。結局は数で押し切られ、ほとんどすべてが政権のなすがままに事が運んでしまうのだ。

そして本来は政府から独立した機関である日本銀行も、今や有名無実化したアベノミクスを後押しする、ただの「政府御用銀行」に成り下がっている。毎年発行される膨大な赤字国債を大量に買い取り、一向に改善されない財政赤字を下支えしている。


こう見てくると、「立法」「司法」「行政」の三権のうち、行政がやたらに膨張し、他の2つの「権」はこれに追随しているだけという状況になっている。行政の膨張は今に始まったことではないが、それが今の安倍政権では顕著になっている。「三権分立」が今の日本政治では機能せず、行政の膨張、いや暴走が続いているのだ。

第二次安倍政権の発足以来、つまり「安倍独裁政治」が始まって以来、安倍首相の暴走はとどまるところを知らない。特定秘密保護法、安保関連法、カジノ法、そして今度の共謀罪法案。国民の知る権利を奪い、自衛隊を危険な任務に就かせ、国民を公営ギャンブルに引き込み、そして国民を裏で監視する。この国を国民主権から国家主権へと造り変えようとしているのがはっきりわかる。そして国家主権にすることは、これすなわち行政府のトップである総理大臣自身の権力が極大になることを意味する。つまり安倍首相という人は、日本をよい国にするためではなく、国民の生活をよりよくするためではなく、己の権力を際限なく大きくするために一連の政策を進めているのだ。安倍晋三というただ一人の男の野望のために、日本国と日本国民が非常に危険な状況にどんどん流れて行っているのだ。これまでの安倍政権の歩みは、こう考えるとすべてのことがつながり、腑に落ちてくる。

そしてこの仕上げが、祖父の岸信介の念願であった憲法改正である。これによって「安倍晋三の野望」はほぼ完成し、我が愛すべき母国は「ポイント・オブ・ノーリターン」に行きついてしまう。ポスト安倍は誰になるのか知らないが、権力者というものは、手にした権力は維持したがり、振り回したがるものなのだ。だから後任が誰になっても、一度極大になった首相と政府の権力は、そのあとも猛威を振るい続けることになるだろう。まさに識者が言う「戦前回帰」、国家権力が暴走して戦争へ突き進んだ、あの時代への「時計の針の逆回し」である。これはちょっと極端な想像かもしれないが、そういうきな臭さがじわじわと広がっている恐怖感は確かに感じられる。


この「安倍の暴走」を招いた一番の原因は何か。安倍首相本人の、政治家としてそして人間としての資質の問題もあるだろう。周囲を固める閣僚らが「勝ち馬に乗れ」とばかりに乗っかってしまい、この傍若無人な首相への批判が党内から出ないという異常な状況のせいでもあるだろう。しかし私が思う最大の原因は、国民がこんな安倍政権をいまだに支持し、選挙で勝たせてしまったからだ。「3分の2」をいとも簡単に許し、数を与えてしまったがために、これまでにも増して暴走するようになってしまったのだ(共謀罪の審議はたったの30時間。安保関連法では100時間かけていたのだが)。

いくら痛烈に批判しても、選挙で勝たせてしまったら全く無意味なのだ。それはこれまでの幾度の選挙が物語っている。次の選挙はいつになるのかわからないが、日本国民の皆さん、また次の選挙でも与党に勝たせますか? そして「安倍一強」、いや「安倍一狂」状態をさらに加速させるんですか? あなたのお子さんやお孫さんの世代に、簡単には消えない禍根を残すことになりますが、それでいいんですか? 「仕事が忙しくて政治のことなんか見てるヒマない」とおっしゃるかもしれませんが、あなたの愛するご子孫が、とても危険で息苦しい状況に置かれるかもしないんですよ? それでいいんですか?


1億2千万の日本国民の皆さん、お忙しいでしょうけど、ここで一度足を止めてじっくり考えて下さい。今日本は、どんどん危ない道を進みつつあります。このすばらしい歴史ある国を、あの戦前の息苦しい時代に戻したいですか? その息苦しさ、すでにあちこちで始まっていることに気がついていますか? 


昭和戦前なんて、私にとっては「歴史」でしかなかった。あんな時代、司馬遼太郎さんが「鬼胎の時代」と呼んだ異常な時代が、またやってくるかもしれないなどとは夢にも思わなかった。ただ正直、いくら安倍首相が強権を振るったとしても、あそこまでひどいことにはならないだろうと思う。しかし、「あの時代」を思い起こさせるようなことがじわじわと進んでいるということ自体が大問題なのだ。

これだけははっきり言える。安倍晋三首相は、戦後の歴代首相の中でダントツで最悪の総理大臣だ。こんな強権、いや狂犬政治を許しては、日本国と日本国民はどんなとんでもないところへ連れて行かれるか知れたものではない。日本国民の皆さん、このこと、本気で考えて下さいね! 本気で肝に銘じて下さいね!

posted by デュークNave at 11:56| Comment(0) | 政治・時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする